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名もなき引力

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名もなき引力 あらすじ…作家を志す大島は、尊敬する川瀬教授の厚意で住み込みの書生として生活することとなった。親切な教授から注意されたことはただひとつ「あの物置に近付いてはならない…
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#小説

名もなき引力④

名もなき引力④

笑った彼の、全くもって無害なはずの細い目から、恐ろしい程の引力を感じた。引きずり込まれそうな、闇。誰かと似たような、誰か以上の。

「…え、あ!ちゃうわ!自分が危ないって意味じゃなくて…」

己の関西弁による意思疎通の齟齬に気付き、大島は手を振って否定した。この部屋は本がたくさんあって、それが崩れるかもしれないから君が入っては危ないと説明しようと、そう弁解しようとした。
しかし弁解の余地はなか

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