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【人事に効く論文】ダーク・トライアド、暗黒の三重奏に堕ちた人物には近づかないで!

Paulhus, D. L., & Williams, K. M. (2002). The Dark Triad of personality: Narcissism, Machiavellianism, and psychopathy. Journal of Research in Personality, 36(6), 556–563.

1. 75秒で分かる論文の概要

ダーク・トライアドと呼ばれる社会的に悪質な人格について検証した論文です。心理学部の学生245名を対象にアンケートやテストが行われ、ダーク・トライアドを構成する3要素であるマキャベリズム、ナルシシズム、サイコパシーに関して、以下の特徴が抽出されました。

  • ナルシシズムとサイコパシーは、外向性と開放性が高い傾向あり

  • ナルシシズムとサイコパシーは、自己顕示欲が強い傾向あり

  • ナルシシズムとサイコパシーは、自分の知能を過大評価する傾向あり

  • マキャベリズムとサイコパシーは、誠実性のスコアが低い

  • マキャベリズムとサイコパシーは、言語IQよりも非言語IQが相対的に高い傾向あり(=国語よりも算数が得意)

  • サイコパシーは、神経症傾向が低い傾向あり(=不安感を持たない)

  • 3要素には、怒りっぽくて不快な性質(disagreeablenes)が共通する

  • 3要素すべてで、男性の方が有意に高いスコアを示した

2. 私的な解説/感想

マキャベリズム、ナルシシズム、サイコパシーという言葉は、人それぞれで違った印象を持っている可能性があるので、この論文での説明を紹介しておきますね。
まず、マキャベリズムは、冷淡に他人を操作しようとする性格です。君主論で有名なニッコロ・マキャベリ(1469-1527)からネーミングされています。
ナルシシズムは、誇大性、特権性、利己性、優越性といった言葉で表現されます。自分の見た目に酔ってしまうような意味のナルシストとは少し違います。
そして、サイコパシーは、衝動性が高く、スリルを求め、共感性と不安感が低い性格です。
論文の中では、「程度の差こそあれ、3つとも自己顕示欲、冷淡さ、偽善性、攻撃性などの行動傾向が共通している」とされていました。いやー、近づきたくない。

3. 読後の余談

マキャベリズム、ナルシシズム、サイコパシーの3つのうち、最も危険なのはサイコパシーです(個人的見解)。しかし、その特徴から、組織の上部層に少なからずサイコパシー的性格の人物がいるんですよね…。特に共感性の低さに危うさがあります。サイコパシーな上司の部下になってしまうと、本当に悲惨です。

また、ダーク・トライアドという理論の存在は以前から知っていましたが、マキャベリズム、ナルシシズム、サイコパシーについて、いずれも測定尺度が存在することに少し驚きました。それぞれ、Mach-IV、NPI、SPRⅢと呼ばれる尺度だそうです。自分が受けたら結果はどうなるのか、ちょっと怖いですが興味があります。

2022年10月1日 初稿作成

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