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【人事に効く論文】仕事の資源を準備せずに仕事を要求するな! → Job resources buffer the impact of job demands on burnout.

仕事の要求度-資源モデル(JD-Rモデル)について、特に仕事の資源とバーンアウトの関係性を研究した論文です。

Bakker, A. B., Demerouti, E., & Euwema, M. C. (2005). Job resources buffer the impact of job demands on burnout. Journal of Occupational Health Psychology, 10(2), 170–180.

1. 15秒で分かる論文の概要

この論文の重要なポイントは、
(1)仕事の資源は、仕事の要求度とバーンアウトの関係を緩衝する
(2)仕事の要求度だけ高くて仕事の資源が足りないと、バーンアウトのレベルがグイッと高まる
の2つです。

2. 現場目線の解説/感想

仕事の要求度が高い、つまり仕事量が半端なく多い、解決すべき課題が難しい、精神的に肉体的にしんどい、といった仕事の場合、バーンアウト(燃え尽き症候群)になりやすいって、何となく分かりますよね。JD-Rモデルでもそういった主張が展開されてきました。
で、その主張に対し、この論文では、仕事の資源があれば、仕事の要求度が高くてもバーンアウトになりにくいんじゃね、という点に絞って研究しています。そしてデータ分析の結果、仕事の進め方における自律性、仕事ぶりに対するフィードバック、上司との良好な関係、同僚からのサポートがあれば、バーンアウトを構成する要素である疲弊感や冷笑的態度につながりにくい、という示唆を導き出しています。

大企業では、選抜型のリーダー人材育成施策にストレッチアサインメントの考え方を活用することが多々あります。ストレッチアサインメントとは、まんま「仕事の要求度が高い」ことと同意義です。そして、仕事の要求度だけ高くて、仕事の資源は担保されていないストレッチアサインメントがどれだけ多いことか。。。
人事の皆さん、ストレッチアサインメントを人材育成施策として検討する場合、仕事の資源についても一緒に考えてくださいね。でないと、バーンアウトが頻発するかもしれませんよ!

3. 読後の余談

過去、ストレッチアサインメントを適用されたことがある立場として、この論文の内容は心に響きました。仕事の資源なき仕事の要求度は、マヂで撲滅したほうがいいです。

4. 関係性の高い論文

Bakker, A. B., & Demerouti, E. (2017). Job demands–resources theory: Taking stock and looking forward. Journal of Occupational Health Psychology, 22(3), 273–285.

2022年1月19日 初稿作成
2022年1月29日 タイトルを小変更

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