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良い戦略と悪い戦略の違いは?

良い戦略、悪い戦略を読んだ。戦略の本としては孫子と並べて置いておきたいくらい良い本。実例も幅広くて多い。

戦略とは、何か野心を抱いたとき、あるいは何か新しい変化に直面した時に、リーダーシップや決意をいつどこでどのように発揮すべきか、その道筋を定めること

とある。戦略という言葉はクラフトビールという言葉みたいに適当に使われているように思う。戦略は野心・決意。アイディアではなく、迷ったときの道標になれるかどうか。戦いを略せるか。

悪い戦略とは、戦略が何も立てられていないという意味ではなく、また失敗した戦略を意味するのでもない。悪い戦略では、目標が多すぎる一方で、行動に結びつく方針が少なすぎるか、全くないのである

言われればわかるけど、結構やりがちだし、これまでのいろいろな戦略策定で、失敗したなぁと思う瞬間も多い。

悪い戦略が蔓延るのは、分析や論理や選択を一切行わずに、いわば地に足のついていない状態で戦略をこしらえ上げようとするからである。

戦いを略すことが大事であるが、面倒を略すことはしてはならない。徹底的に科学すべき。

あらゆるレベルで共有されたビジョンに帰すのは事業の歪曲と言わざるを得ない。アップルはパソコンを発明したわけではない。その技術は既に存在していて無数の起業家が「誰もが使えるコンピューター」を設計しようと躍起になっていた。アップルがそれに成功したのは、スティーブウォズニアックという一人の天才によるところが大きい。ウォズニアックはアップルIIの心臓部であるモトローラ製マイクのプロセッサを使って画像出力装置とフロッピーディスクを直接動作させる仕掛けを作った。さらに世界初のパソコン用表計算ソフト、ピシカルクが開発されるという幸運に恵まれ、それまで一部の人にしか使われなかったパソコンを誰もが買うようになった。

ビジョン偏重型へも否定的。

戦略本の多くが状況が流動的になったらリーダーはより先を見越して手を打たなければならないと説く。だが、このような指示は論理的とは言えない。状況が流動的になればなるほど、先は見通しにくいからだ。したがって、絶えず変化する先行き不透明な状況では、むしろより近い戦略目標を定めなければならない。目標は将来予測に基づいて立てるものだが、将来が不確実であるほど、遠くを見通すよりも、「足場を固めて選択肢を増やす」ことが重要になる。

個人的に遠くの行き先が好きなので、それに偏重しがちだけど、今の時代はそれよりもこの考え方の方がフィットすると、コロナになってより一層思うようになった。

様々な要素の相互作用を考慮し、全体をコーディネートするという意味で、私は戦略が選択や意思決定より設計に近いと考えている。たくさんのパラメーターを相互に微調整していくと、価値が最大化する最高の組み合わせを見つけることができる。

ジョージ・W・ブッシュがきちんと設計をせずにイラク戦争を行ったことが、皮肉にも父親のジョージ・W・H・ブッシュ湾岸戦争の設計の巧さを際立たせたように、きちんとした調査と設計があるからこそ、結果が圧倒的に変わることがわかる。

水夫は風向きや強さを、スキー選手は雪質を的確に判断しなければならないように、企業経営や政治また軍事戦略のかなりの部分では、人を判断しなければならない。

人の脳は労力の最小化で動いているの、知識と経験がついてくると、判断も自分がこうだと思った直感の正当化に勤しむ(確証バイアス)。

ただ、戦争をするかどうかを一瞬で決めないだろうし、企業買収を一瞬で決めないだろう。企業戦略もきちんとデータを調べあげ、人間の洞察を行い、強みを考えながら戦うべき場所ややり方を見極めて、最後はシンプルで行動に結びつく戦略を作る。自戒。




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