【日記】R040207 中学生の頃の日記

 私がはじめて「日記」という体裁の文章を書いたのは、中学生の頃だ。それは、ブログというのでもなく、パソコンのメモ帳に記された純然たる日記で、誰に見せるわけでもないが、平均すれば2日に1回程度の頻度で、かなりの量の文章が約6年間にわたって書かれた。残念ながら、その後の引越しに伴うちょっとした事故で、この内の後半は消えてしまっている。
 当時の日記は、特別なモチベーションからはじめられた行為である。どうやら少年である私は「孤独」に高い価値を認めていて、それを守り抜くために、これら大量の日記を書くことを決心していたようなのだ。
 その内容は、あくまでも身辺のこまごまとした観察が主でありながら、今でもそんな信念めいたことまで覚えていられるのは、はっきり文字にそうと書かれている日記が少しは残されているからだ。それがなければいまの私が彼がなにを考えていたのか「わかる」とは言えない。つまり、当時のありありとした感覚に彩られた記憶はもうなくなっているし、なにを言わんとしていたのか、論理的に推測することも難しい。守ろうとしたものが守れたのかどうかで言うと、報われなかったのかもしれない。ただ、それはそれとして、私は文章を書くということの手応えを、この経験の中で培った。おかげで「小説」を書くときにあまりにも勝手が違い、その違いに苦しむことになる。そのことも当時の私は知らない。

 ところで、つい最近その頃の私が書いていたような文章を、一個の作品として書いている作家に出会った。それが誰の何という作品であるであるかは秘密にする。それを読んでまた私も日記のような文章を書いてみようと思ったのだった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?