私たちは、続けていく

2020年のライブをお休みすると発表すると同時に発信したことは「音楽を続けていく」ということでした。
なんらかの形で音楽を続けていく!という風に、ふわっとした感じでいたとしても、それは容易いことではないように思います。
様々な事情によって音楽を全くやらなくなってしまった人をこれまでに何人も見てきました。
別にそれが不幸なことだとは思わないし、むしろ楽しく暮らしているのを見かけたりもします。



私自身は10年くらい人前で歌うことをやってきました。

今回小休止はしますが、音楽を、歌をやっていきたいので、これからも続けていくであろう方々とお話ししてみることにしました。


第一弾の今回は、クロダセイイチさんをお呼びしました。




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クロダセイイチ

作曲家。 「Human Experiment Records」代表 Genius P.J's(ジニアスピージェイズ)の鍵盤奏者,ギタリスト プログラマー/ミキシングエンジニア/プロデューサー 2014年 冬にはm-floやライムスターのMummy Dとの共作や 中島哲也監督作品 「渇き。」に挿入歌として 「Fog」が使用され 女子高生にしてTOY’S FACTORY からメジャーデビューをはたした “DAOKO”とのコラボレーションシングル”world is yours”を リリースし話題を集めた。




(とんでもねえプロフィールだな……と思いつつ自分のプロフィールも載せます……)


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しずくだうみ

姓はしずくだ、名はうみ。
1992年うまれのシンガーソングライター。シンガーソングライターとしては16歳から活動。睡眠ポップアイドルユニット、sommeil sommeil(ソメイユ・ソメーユ) のプロデューサーでもある。
楽曲提供は、劇団癖者、ジエン社、電影と少年CQ、朱宮キキ(vtuber) ほか。
2016年に1stアルバム『都市の周縁』をなりすコンパクトディスク(ハヤブサランディングス)より、2018年に2ndアルバム『やがて染まる色彩』をミロクレコーズより発売。
これまでに4枚のミニアルバムを発表。5枚目となるミニアルバム「美しい人」を2020年4月に発売予定。
2020年は「美しい人」レコ発ライブ以外のライブを予定していない。



クロダさんはなんか気がついたら近くにいた人で(失礼)、Genius P.J'sで対バンしたのが最初だったような気がしていますがもっと早くに知っていたような気もします。

いつも笑っている印象があるクロダさん。でもきっと秘めている物があるな〜〜と思い、今回オファーしました。




幼少期に歌うことが好きだったクロダ少年が、思春期にヤマハのギターセットを買い、「バンドを組めないから」バンドメンバーの代わりとしてDTMを始めたというお話しを伺ったのですが、

私はなんと前半のデータを飛ばしてしまったので(つらい)、このようにダイジェストでお送りしております。

音楽以外の仕事の話、音楽事務所に入って音楽の仕事をもらえるようになった話も伺ったのですが以下略……。





「私たちは続けていく」というタイトルのこの企画、「ただ漠然と続けるのってしんどくないですか?」と訊きたい節もあり、自分自身の思考をまとめつつお話ししました。




しずくだ

シンガーソングライターであると、例えば集客をゆきだるま式に増やしていって、大きい会場でライブをすることがステータスだったりとか、だんだん目上・格上の人と対バンをしてスター街道を上がっていくことが正解みたいな空気が多かれ少なかれあるじゃないですか。


クロダ

あるね。

しずくだ

ヒップホップの世界でももちろんあると思うんですけど。

クロダ

あると思うよ。


しずく

そうじゃなくても当然いいはずなんですけど。
オアシズの大久保さんがテレビで「今年の目標は現状維持です」っていつだか言っていて。現状維持って大変なんですよね。「走り続けてやっと現状維持ですから。ここにいようと思ってもね、下がってくだけなんですよ」みたいなことを言っていて、その通りだなと思って。

クロダ

そうだね。

しずく

姫乃ちゃん(姫乃たま)も同じようなことを言っていて。「私はロフト系列に骨をうずめると思ってたんですけど〜」って。「なんだよそれ!君はメジャーにいける器があるぞと!」思ってましたね。(注:2019年にビクターからメジャーデビューしました)どうなっていきたいか、考えなくても別にいいとは思うんですけど……。


昔、「35歳のしずくだうみを想像できない」みたいなことを言われて、「えっ」と思って。私は全然想像できていたというか今と何も変わらんわ!と思ってました。


クロダ

そうね、どうだろうな。でもおれ自分の5年後あんまり想像つかない(笑)。音楽はやってるんだろうなと思うけど。

しずく

その辺は私も全然わかんないですね。

クロダ

具体的にどうなってたいとかあるの?


しずく

それもわかんなくて。
2ndアルバムのレコーディングメンバーが東京に揃うならバンドを絶対やりたいみたいなのはあるんですけど。
先のことは全然わかんないですけどね。
付き合う人間の選び方とかも活動に影響してくると思うので、自分が一番大事にしているものを見失わないようにすることがかなり重要で。目の前の人間に流されて、自分が一番やりたい/やりたかったことは何なのかということに正直になれない人がどんどんブレていくんだろうと思います。


クロダ

「中途半端に音楽やるやつくるな」って内心思ってる。みんなそれぞれの音楽の楽しみ方があっていいよと思う反面、おれは本当に「生きること」と並行したというか「生きるためにあるもの」だから。


しずく

そうですよね。

クロダ

中途半端に近寄るのはやめてくれっていうのはある。

しずく

音楽を手段としか思ってない人が一番怒っちゃう。

クロダ

おれも嫌いだな。

しずく

音楽が楽しくて楽しくて結果的に売れたみたいな人は「いいぞもっとやれ!」と思うんですけど、君島(大空)くんとか。

クロダ

どう考えても手段の人もいるからね。そういうのはまずこっちくんなと思っちゃうよね。

しずく

君島くんが数字を出してるみたいなことって、私にはすごく希望で。

クロダ

ほんとそうだと思うよ。中村佳穂さんとかもおれはそういう印象がある。なんかいいよね。あれはマジで希望だと思う。

しずく

希望ですね。

クロダ

ちゃんといける部分まだあるんじゃんっていうか。

しずく

ちゃんとクオリティーが高いものが受け入れられてるし、やることやってこうみたいな謙虚な気持ちになりますね。


クロダ

間違いなく言えるのは、だうみちゃんとかすごく真摯な音楽やってるのがすごくわかるし、なんかそれが如実に出るのがツイキャスな気がしてて。ツイキャスで歌ったりしてたじゃん。

しずく

はい。ひたすら歌うだけのツイキャス。

クロダ

あれ聴くの好きで聴いてたんですよ。

しずく

おっ、恥ずかしいやつですね。

クロダ

結構長い時間やってんなと思って。

しずく

無心になれるんですよね。特にコメントとかも見てないし。

クロダ

淡々と曲やってくよね(笑)。2時間くらい。

しずく

そうですね。

クロダ

なんとなくその空気感が好きで、おーやってるやってるみたいな。

しずく

単純に歌うのが好きなんですよね。

クロダ

その時に「この子歌うの好きというか音楽好きなんだろうな」っていうのをすごく感じて、良かった。

しずく

私はずっとなんかしらの形で音楽に関わってるっていう、そういう人生なんだろうなと思います。

クロダ

やっぱりいなくなっちゃうのさみしいからさ。

しずく

ふふふ(笑)。
このシーンにすごく疲れてるっていうのはありますね。

クロダ

わかるよ。なんか、どうにかならないのかなって思っちゃうけどね。システム的に難しいとは思うけど。


しずく

モノを作るみたいなことにみんなお金を払わなすぎる。

クロダ

そうだね、出資の仕方も変わってるから、それをどうしたらいいかまだ見えてない部分もあるのかなって思う。
盤の制作も、売れる数を考えたら昔の予算みたいにはいかないからね。そこのやり方はなんかあるんだろうなっていうのは日々さがしてる。
おれは周りの人が音楽やりたくてもやれなくなっちゃうって感じでいなくなるの嫌だから、そこの人たちにお金落とせるような現場は作りたいとか思ってて。だからおれのギャラ上げないといけないっていうのはここ数年思ってる。

しずく

そうなんですよね!ギャラ上げ交渉とか本当に向いてない!

クロダ

おれもう事務所に入ったからそういうの(ギャラの交渉)やりませんって言ってて、そういうとこウェットになっちゃうから、「先に言ってた額より3,000円多く入れてみました」ってやっちゃう方だから向いてない(笑)。みんなお金ないの知ってるからさ。

しずく

お金があるところから貰いたいですね。

クロダ

そうなんだよね。その時の交渉とかもおれ安くしそうな感じがするから、お任せしますって言う方がいいなと思った。


しずく

高額案件が取れた時はやっぱり余裕がすごかったですね。

クロダ

高額案件が取れた時、「今までそんな額面でやってなかったのに…」とかそういうのはなかったの?額面分の対価を払える作品を作れるか、っていう不安とか。

しずく

うーん、どうだろう。お金の為に曲を作っているわけでは全然ないんですけど、お金いらないってわけではなくて、どちらかと言うと関係性にお金を払われているような気がしていて。なんだろう、労働の時間でもないし、誠実さでもないし、その依頼に合うものを依頼にちゃんと応えて、お客さんが納得できるものかつ私も納得できて、それを聴くエンドユーザーもいいと思えるものを作りたいって感じですね。経験がモノを言う感じはありますよね。最適解を見つける近道を知っているかどうかみたいな。その経験にお金を払われている感じですかね。

クロダ

きっとそうだと思う。





しずく

来年はミニアルバムをリリースします。


クロダ

仕上がりが楽しみだね。


しずく

今までは決めうちでレコーディングしていて、レコーディングって時間でお金を取られるんで、すぐ録ってすぐ帰ってみたいな感じでやってて、ゆっくり検討する時間がなかったんですよ。
今回は時間の制限がないので、じっくりできそうなのがいいですね。

クロダ

すごくいいと思います。楽曲自体は揃ってるの?

しずく

曲は揃ってますね。アレンジ待ちです。

クロダ

いいね、楽しみだね。

しずく

がんばりたい……!


私たちは、音楽をやるために音楽をやっているのかもしれないな、と編集している中で思いました。音楽をやるために音楽をやるってなんだよそれと思う自分もいますが、他のことを目的にする/目的にしているように思うとつらくなってしまいそうだなというのが今の正直なところです。

マクルーハンについて書かれた本を読んでいたら、複製技術の普及が今日の芸術などの文化のあり方を大きく変えていったことが書かれていて、思うところがありました。神への贈り物としての芸術、神の存在を知らせるための芸術として閉ざされていた物が、広く大衆に開かれるようになったことから積もり積もった文化があり、今の私もnoteに記事を書いているわけです。神様と違って、「大衆」は見えないようで応答するし、応答すると思っていると応答してくれなかったりして、そういうことの繰り返しで消耗してやめていってしまう人もいるし、私も疲れているように思います。

「大衆」と書きましたが、「個」の集合体なわけで、昔のインタビューで私が話しているのですが、100人の集客ということは、1対100ではなく、1対1×100なわけです。そういうことを私は考えすぎてしまうのですが、それがいいところであり、シンガーソングライターとして振る舞う時には弱点にもなっているのだろうと思います。


次回はおそらく1ヶ月後くらいに。またお会いしましょう。



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2020.4.4(土)
しずくだうみ5thミニアルバムレコ発ワンマンライブ
「美しい人」

渋谷 7th Floor
東京都渋谷区円山町2-3 O-WESTビル7F
OPEN:12:00 START:12:30
15:00完全撤収
TICET:2,500円(+1ORDER)/DOOR3,000円
O.A.石田力丸
ACT:しずくだうみ


入場順:手売りチケット(整理番号順)→サイト予約

手売りチケット通販 / サイト予約

ディスク情報は今後お知らせします。


2020年は上記のライブ以外のライブを予定しておらず、

新規案件はライブ・楽曲制作ともに受付していません。

文筆・トークイベントなどのご依頼はお受けします。

こちら をご参照の上、ご連絡ください。

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