【東京の暮らし#6】麻布十番駅のポスター
青山一丁目から大江戸線にのり、麻布十番駅で降りる。
「降りる」といっても、大江戸線は地下深くを走る電車のため、外に出るためにいくつもの階段やエスカレーターを登る。
大江戸線を使った事がある人は、外に出るまでの移動距離にうんざりした事が一度はあるはずだ。
はるか昔、こんなに地下深くトンネルを掘って電車を走らせようと考えた事は尊敬に値するが、何もこんなに深く掘らなくても・・・と思いながら汗だくになる。
私はいつも麻布十番商店街の出口を目指して歩く。
階段を登り、改札を通り、南北線の改札を横目に駅構内をずんずんと進む。
細長い道を歩くと両脇にいくつかの広告のポスターが見える。
似たようなポスターだった。みんな白衣を着ている。
病院の広告か。
いや、よく見るとただの医者ではない。
何故か、顔がテッカテカしている。
バチバチにみなぎった目と、白すぎる歯を見せながら、こちらに微笑んでいる。
美容整形の広告だった。
白衣をまとっても隠しきれないギラギラ感。
男も女も。
シワ取り、たるみ取り、二重、小鼻縮小、豊胸手術!
ヒゲ脱毛、増毛、包茎手術!
左右から「人は皆、美しく、若々しくあるべきだ!」という強迫観念が迫ってくる。
港区らしい・・・というべきか。
この道を通る時、自分の容姿を見られているような気がして恥ずかしくなる。
麻布十番駅のルッキズムロード。
昔、こんなに美容医療のポスター、貼ってあったかなぁ・・?
コロナ禍を終えて一気に増えたような。
エスカレーターを登ると、やっと商店街入口にたどり着く。
月野うさぎちゃんはここが通学路だったんだよなぁ〜とどうでもいい事を思い出しながら外へ出る。
昼ごはんでも食べて仕事するか〜〜
額の汗をぬぐい、食べログで「麻布十番 ランチ」と検索。
今日もまた夏の暑い太陽が、私の顔にシミを増やしていく。
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