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「あなたがアイドル短歌を詠む理由は?」アンケート全文版【短歌アンソロジー『アイドルが好き』】

この記事では、短歌アンソロジー『アイドルが好き』内のアンケートコーナーの質問「あなたがアイドル短歌を詠む理由は?」の自由記入欄にいただいた全回答を公開しています。

参考:「あなたがアイドル短歌を詠む理由は?」で用意した選択肢は以下の7つでした。
ファンアートの一種/自己表現/コミュニケーションの手段(SNSのやり取り等)/アイドルへの自分の気持ちの整理/アイドルの気持ちを想像する行為/アイドルはあくまで短歌の題材のひとつ/上記にはない

  • 35〜37ページがアンケートコーナーです。

  • 誌面と異なりカテゴリー別には並んでいません。

  • ひとつずつコメント(企画者としてというよりは個人的なコメントです)をつけていますので不要な方は「ここが回答の切れ目なんだな〜」とだけ思ってください。

以下、この文字の部分は鷹野のコメントです。

A01「アイドルの気持ちを想像する行為」に該当するアイドル短歌を(結果的に)詠んだことが何度かありますが、なんとなくチェックをつけるのを躊躇います。おそらく、本当はそれを避けたいという気持ちが根底にあると思います。

▲躊躇する気持ちはわかります。他人の気持ちなんてわかるはずもないので。特定の○○くんの気持ちを想像・代弁するというよりは、アイドル側・ステージに立つ者の気持ちを想像する、くらいに留めるのが詠み手としての自分を納得させられるラインかもしれないですね。

A02「気持ちの整理」の項目にかなり近いですが、私は「好き」を考えるとき語りたいとき、どうしても長文(5000字以上)になってしまうので、要約の練習としても詠んでいます。

▲語ると長くなってしまうので短く表現できるところに良さ・面白さがある、という回答多かったです。

A03「自担の誕生日に短歌を詠むの、雅じゃね?」という俗な理由です……

▲その入り方はとてもいい!やってることは雅でも内容は必ずしも雅でなくても短歌は詠めるし読めますしね。

A04アイドルの姿や発言、楽曲などをうけて詠んだものはファンアートに近いです。それ以外にアイドル短歌を通して自分がそのアイドルをどんな人だと捉えているのか、どのような気持ちを抱いているのかを整理し言語化しているのだと思います。

▲自分で選択肢つくっておきながらなんなんですが「ファンアート」自体が人によって捉え方変わるよなと思って見てます。

A05アイドルを推す中で、アイドル以外(公演中止などのアクシデント、同担など)に対して生じた気持ちも含みます。

▲「アイドルへの自分の気持ちの整理」を選択していただいていました。短歌にすることで落ち着いて客観視できたり、ひとときでもスッキリするという面はありますね。

A06アイドル短歌を読むことで、あくまで自分を通した好きなアイドルの形を考えておきたいから。

▲「あくまで」が重要な回答に感じました。

A07コンサートに行ったときなど、リアルタイムの感情をそのままの鮮度で保存しておくため。

▲振り返って読んで当時のことを思い出せるような短歌が詠めたらすてきですね。

A08そのアイドルに対する他者の解釈を知ることができるから

▲もしかして読む(鑑賞する)ときのことかもしれない……詠み、読み合うことで解釈を深めることができますね。

A09ファンアートの一種として詠むことが多いです。元々文章を考えることが好きなのと、限られた字・音で表現することがとても面白いので。

▲文章表現のなかでも音や響きが印象に残る形態ですよね。

A10元々アイドルのファンアートとしてイラストを描いてきました。イラストで表現したいこととは別に、自分の言葉として表出したいものや伝えたいことがあるときに短歌として昇華しています。

▲絵と文両方かかれる方は、自分の短歌を絵にしたり絵を短歌にしたりってことってできるんでしょうか?やはり表現したいものが別だから、それは別ものという感じなんでしょうか。

A11個人的に、選択項目にあるほかの理由は表現媒体がイラストやブログでも共通なのですが、「アイドルの気持ちを想像する」、またそれの延長として、アイドルの視点になって表現を試みるというのは短歌に特有だと感じています。
わたしの好きなアイドルは音楽に精通し、多忙な中で作詞作曲活動も日夜精力的に行っています。短歌を詠むことで、創作者としての産みの苦しみや、作品と自分の感情との折り合いのつけ方など、好きなアイドルに少しでも共感できる部分があるのではないか、と思いながら短歌を作っている瞬間があります。
また、短歌は31文字と短いながらも、その中に物語を創造することが十分に可能です。その物語の主人公としてアイドルを据えることで、逆説的に、自分がアイドルをどのように捉えているのか、客観的に理解することができる時もあります。同じ物語を紡ぐ表現として小説などと比べると余白が大きいからこそ、想像の余地を固定させすぎず残しておくことができるし、登場人物と詠/読み手の視点が曖昧になったりするところに、独自のおもしろさを感じる瞬間が多くあります。

▲「作中主体」って言葉にあるように短歌に特徴的ですよね(前半)。余白の面白さもありますね。

A12始めたときは「ファンアート」の感覚が一番ありましたが、続けるうちに「自分の気持ちの整理」の占める割合が高くなりました。
詠む理由というほどではないのですが詠むときの傾向が一つあり、選択肢で一番近いのは「アイドルの気持ちを想像する」です。特定のアイドルについて詠もうと思ったときに❶外から見ている私(ファン)視点の場合と❷そのアイドルの魂を下ろしてその人の目で世界を見る視点の場合とがあり、後者がそれです。個人的には「そのアイドルになりきって言葉を紡ぐ」感覚で詠んでいます。他者として対象のアイドルの気持ちを想像するというよりも、そのアイドルと一体化しているような感覚です。

▲「魂を下ろす」はすごい表現ですね。個人的に、ファンもそのアイドルをつくる一要素であると考えることがあるので、一体化しているような感覚というのもわかる気がします。

A13私にとって創作意欲を掻き立てる存在がアイドルなので、短歌にしろイラストにしろアイドルを題材にしたものが多くなるなと思ってます。

▲「ファンアートの一種」の選択肢選んでくださってますね。こういうときはイラスト、こういうときは短歌の創作意欲をかきたてられる、みたいなお話聞いてみたいですね。

A14自担がフライデーされた折り、一番気持ちの整理が出来たのが歌を詠むこと、だったから

▲友達にも気軽に話せないようなことを短歌なら言葉にできるのかも。

A15主体がアイドルの歌は、気持ちを想像、あるいはステージ側から見た景を詠んでいます。
主体が応援する側の歌は、ファンアートや自己表現、コミュニケーションの手段、気持ちの整理として詠んでいます。
他に、当該アイドルっぽいな〜と思った景を、ファンアート、自己表現として(?)詠むこともあります。
分析するのって案外難しいですね。

▲「当該アイドルっぽいな〜と思った景」の短歌好きなんですよね…わたしはイメソン(イメ短歌)って呼んでます。

A16書こうと思ったら原稿用紙何百枚分もかけてしまうアイドルについての自分の気持ちを、コンパクトに、だけどまるでちいさな缶カラに宝物をちんまり集めるように、その時その時の温度で表現できることがアイドル短歌の魅力だと思います。

▲「ちいさな缶カラに宝物をちんまり集める」良い〜短歌についてのこのような比喩、無限に聞きたい。

A17情景や感じたことを形に残して忘れないようにするため。

▲コメントすることもないほどシンプルでこれぞという回答ありがとうございました。

A18人生の大部分にアイドルが存在しているため、多くの歌人が家族や友人/仕事のことを自然に詠むのとおそらく同じ感覚でアイドルを詠んでいると思います。染み入りすぎてアイドル短歌のつもりがない短歌にもアイドルの影響が出でいる気がするほどです。

▲わ、わかります〜わたしはふだんもつい無意識にアイドル文脈を詠み込んでしまって伝わりづらい短歌つくってしまいます。

A19二次元アイドルの二次創作はイラスト、漫画または小説という媒体で行われることが多いが、短歌はそれらよりも受け取り側の想像力に委ねる部分が多く、読んでくれた方の感想等からさらなる広がりが生まれることがあるのがとても楽しい。こちらが詠んだ短歌から別のファンがイラストを書き起こしてくれたこともあった。

▲「感想から広がりが生まれる」、楽しいですよね!!わたしも短歌をイラストにされたい

A20普段はイラストを描いています。描くことで昂った感情を発散し、心を整えています。写経みたいなものです。短歌もイラストと同じで、対象への想いがでかくなりすぎてどうしようもない時のアウトプット方法のひとつとして私の中に存在しています。なので、なんとなくだったり、テーマを決めたりして詠もうとしても中々詠めないのが難点です。ちなみに、短歌が表現の選択肢に入ったのはNHK短歌の矢花くんと本髙くんの影響です。短歌侍Forever

▲イラストにも写経の側面あるんですね!短歌侍から短歌へ興味を持った方も多いと思うので感謝ですね。

A21普段はどうしても長文になりがちな大好きなアイドルへの想いを極限まで限られた文字数に凝縮させて考える時間がなんだか贅沢に感じて好きなので、時々企画に参加させていただいています。

▲ふだんは詠まないけれど企画のときは参加するという方も多いんでしょうか。わたしは短歌人口が多ければ多いほど嬉しいのでいつでも詠んでほしいのですが、思いついたときにすぐ取り組めるのも短歌のよさですもんね。

A22文章にすると色んな思いがあちこちに散って冗長なものになってしまうので、短歌という制限的な31文字の枠組みがあることでその中に如何にして万感の想いを閉じ込めるかを考えることが楽しい

▲散らかってる文章読むのも好きですけどね、長文好きな人もいればなかなか読めない人もいて、一手段として短歌があるのもいいかもですね。

A23文章を書くのは好きだが、思うことはたくさんあるのに対し、それを全て余すことなく納得のいく文章に書き起こすのが難しいため、短歌で単語に様々な意味を持たせ組み立て、詰め込んでいる。

▲「単語に様々な意味を持たせ」詩歌のよいところですね。

改めまして、送ってくださった皆さまありがとうございました。

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