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低用量ミノキシジル内服の脱毛症に対する効果と安全性

<メモ>
内服ミノキシジルの効果と安全性を評価したレビュー論文です。
内服ミノキシジル(1日あたり0.25mg~5mg)を男性型脱毛症だけでなく、様々な脱毛症に対し使用しています。
まず効果は、男性の男性型脱毛症治療には2.5mgないし5mgの内服ミノキシジルがより有効で、0.25mgでは有効性がみられなかったという論文もありました。
次に副作用は、頭以外の多毛症が最も多く、内服ミノキシジル5mg投与患者では半数以上にみられています。一方で投与初期(3~6週程度)には一時的な抜け毛の増加がみられ、患者説明を要します。続いて、浮腫、低血圧、心電といった心血管系の副作用が報告されています。論文によって様々ですがいずれも10%未満です。

<コメント>
歴史的を振り返ると、高血圧の治療薬として開発されたミノキシジルに、多毛の副作用があると分かり、安全に使用できる薬剤として外用剤が開発されています
ところが、接触皮膚炎や使用者の怠慢(頑張れ!)から継続が難しいという欠点があり、従来の使用量(1日10~40mg)よりも少ない量(1日5mg以下)での使用が考えられ、様々な論文で効果と副作用が検証されているわけです。
インターネットで調べると、オンラインクリニックを中心に内服ミノキシジルは入手が簡単なようです。男性には5mgが処方されることが多いようですが、今回のレビューをみると半分の2.5mgでも良いかも、副作用も減るし、といった感想をいだきました。
内服ミノキシジルをどの程度の方が実際に使用しているのかは不明ですが、問題が表に出てきてないことから安全性に問題はないのかもしれません。ただし、内服ミノキシジル使用が公的に認められている国はないことを理解し、例えクリニックが処方するとしても自己責任で使用する必要があります。


<紹介論文>
Randolph M, Tosti A. Oral minoxidil treatment for hair loss: A review of efficacy and safety. J Am Acad Dermatol. 2021 Mar;84(3):737-746. doi: 10.1016/j.jaad.2020.06.1009. Epub 2020 Jul 2. PMID: 32622136.

要約
背景:外用ミノキシジルは脱毛症に対し有効な治療法であるが、日に2回塗布しなければいけないこと、髪質の問題、頭皮の痒みといった問題のため、多くの患者はコンプライアンスに問題を抱えている。

目的:近年、低濃度経口ミノキシジルが、安全な代替品として提案されている。この研究は経口ミノキシジルを脱毛症に使用した文献をレビューし、外用ミノキシジル製剤の代用としての効果と安全性を評価することを目的とする。

方法:PubMedで、2020年4月までに発行されたミノキシジル内服で初期治療を行った脱毛症の記事を検索した。

結果:経口ミノキシジルを脱毛症の初期治療に使用した、634名の患者を対象とした17の研究を同定した。対象疾患として男性型脱毛症が最も多く、他に休止期脱毛、毛孔性扁平苔癬、成長期脱毛症候群、連珠毛、円形脱毛症、そして化学療法誘発性脱毛症も含まれていた。

限界:最も優れた治療方法を明らかにするためには、症例数を増やし、均一化したうえで異なる用量を比較する無作為化試験の実施が必要である。

結論:経口ミノキシジルは、外用療法の実施が困難な健康な患者に対し、効果的であり、忍容性があった。

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