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【神社雑記】秋葉信仰の聖地へ(3)可睡斎の火祭

秋葉神は火の神で、その祭りは「火祭り」と呼ばれている。
秋葉総本殿可睡斎、秋葉山の秋葉寺と秋葉山本宮秋葉神社の祭りはどれも12月15日(旧暦11月15日の満月の夜)に行われるが、全国にある分社の秋葉神社の祭日は12月15日が多いがバラバラである。(秋葉総本殿可睡斎の「火祭り」は15日、秋葉寺、秋葉山本宮秋葉神社の火祭りは16日で、秋葉寺と秋葉山本宮秋葉神社の火祭りには時間差があり、秋葉寺の火祭りを見てから秋葉山本宮秋葉神社へ移動すると、うまい具合に秋葉山本宮秋葉神社の火祭りが始まる。)

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「秋葉の火祭り」といえば、「火渡り神事」!!!

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護摩を焚き、祈祷する。

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弓ではなく、刀で場を清める。

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秋葉三尺坊(天狗)、修験者、氏子(信者)、観光客の順で火の上を歩く。

以上です。此処から先はおまけです。

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秋葉総本殿可睡斎や秋葉山本宮秋葉神社の火祭りでは、

「手筒花火」の奉納がある。

さて、問題です。

「手筒花火」で有名な場所はどこ?

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「手筒花火発祥の地」は、2020年NHK朝ドラ『エール』で紹介された

豊橋市の吉田神社説と豊川市の菟足神社説があるが、

いずれにせよ手筒花火の発祥は東三河であり、

東三河の各神社では、氏子が「手筒花火」を奉納する。

「手筒花火」を奉納すると、一人前の男として認められる。

通過儀礼である。男の子の成人式である。

なお、全国的に祭事は女人禁制であることが多いが、「手筒花火」の奉納は、最近、女性も可能になった。

 ──とはいえ、「手筒花火」で有名なのは遠州新居である。

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 ──なぜ、東海道新居宿の手筒花火が有名なのか? 理由は2つある。

・上の写真は、JR新居町駅の駅前公園の噴水。

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 牛頭天王社(現・天王社)がある天王山には、浜名湖畔から遷座した新居の総氏神社である式内・猪鼻湖神社(御祭神・猿田彦命)があったが、信州から来た井口嘉末が猿田彦命を境外に追い出し、自分が信仰する建御名方命を祀る諏訪神社を建てた。

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 愛宕大権現を祀る愛宕山の「猿田彦神社」に追い出された猿田彦命であるが、年に1度、旧鎮座地の諏訪神社へ戻る「神輿渡御」が行われた。
 諏訪神社の祭礼時に行われるこの「神輿渡御」において、徳川綱吉の時代(元禄15年(1702年)閏8月)、幕府に代わって新居の関所を管理することになった東三河の吉田藩から、吉田神社の祭礼「天王祭」(豊橋祇園祭り)で披露される花火を取り入れたらどうかという提案があり、「諏訪神社祭典奉納煙火」が始められたという。

【花火の歴史】 徳川家康が駿府城で見たのが日本初の花火だという。新居の花火の文献上の初見は享保10年(1725年)の「新居町諏訪大明神之祭礼、来廿六日之花火、翌日神輿渡之儀」(松平信祝『座右記抄』)である。(花火と神輿渡御は別々で、まだ「猿田彦煙火」はなかった。)

 ──なぜ、東海道新居宿の手筒花火が有名なのか? 理由は2つある。

 三河の煙火(花火)は、
・手筒:各神社の氏子が拝殿前で神に披露(奉納)する小型の筒花火
・大筒:台に固定された大型の筒花火
・その他:仕掛け花火、綱火
であるが、新居の煙火(花火)は、
・手筒
・大筒
・猿田彦
・細工花火(「仕掛け花火」のこと。昭和36年(1961年)に廃止)
であり、「猿田彦煙火」という新居オリジナルがある。これは、「花火野郎」と呼ばれる若衆が、手筒花火を持って東海道を練り歩いたことで、人々は街道の両側の家の屋根の上に登って見学した。神社に奉納する手筒花火のように氏子が次々と登場して点火するのではなく、同時に複数の手筒花火に点火するのである。そして、諏訪神社だけあって、武田信玄の出陣時の法螺貝を吹き、太鼓を鳴らす。これが「東海道の奇祭・猿田彦煙火」である。
 東海道・新居宿の手筒花火「猿田彦煙火」が有名な理由は、①手筒花火に点火して、天狗(猿田彦)を先頭に、法螺貝を吹き、太鼓を鳴らして東海道を練り歩いたので、旅行客に知れ渡ったこと、②豊富な火薬を利用して、複数の手筒花火に同時点火という、ど派手なパホーマンスをしたことにある。(なぜたくさんの火薬が用意できたか? 多くの火薬を用意すると「幕府転覆の謀反の企てか?」と勘違いされるが、新居には関所があって多くの役人がいたので、大量の火薬を集めたり、管理したりすることが許可されたのである。)

参考サイト:「遠州新居の手筒花火(諏訪神社祭典奉納煙火)」
http://www4.tokai.or.jp/horagai/index.html

さて、次回はいよいよ秋葉山へGo!

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