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『袖ヶ浦由来記』(2/3)椎ヶ脇神社と岩水寺(静岡県浜松市)

・龍宮山岩水寺
・住所:静岡県浜松市浜北区根堅
・宗派:高野山真言宗別格本山
・御本尊:嵯峨天皇が病魔退散の祈願をした薬師如来

『袖ヶ浦由来記』によると、坂上田村麻呂の東征時、袖ヶ浦(現在の袖ヶ浦霊場の分布地域)の増水によって対岸に渡れず、船岡山の陣で待機している時、地域住民に、
「大蛇(赤蛇。袖ヶ浦の主)を退治して欲しい」
と頼まれたという。(浜名湖の主も「丹蛇」(現在の表記は「短蛇」。赤蛇であり、海蛇だという)である。)
実は、この大蛇(赤蛇)は美女に化け、坂上田村麻呂に取り入って坂上俊光を生んでいたので、殺すことは出来ず、坂上俊光に「潮引玉」(袖ヶ浦に投げ入れると水がひく玉。有玉神社の社宝)に授け、椎ヶ脇に退いた。(椎ヶ脇神社の社宝は坂上田村麻呂献上の太刀であったが、何者かに盗まれ、まだ返されていない。)

坂上俊光は母を恋しく思い、その姿を地蔵菩薩として刻み、岩水寺に奉納したのが、国重要文化財「厄除子安地蔵様」である。

※赤い大蛇がいたのは「赤佐(あかさ。「あかじゃ」の転訛)郡於呂(おろ。「おろち」の転訛)」で、「潮引玉」があるので「麁玉(あらたま)郡」を「有玉(ありたま)郡」に変更した。

■岩水寺縁起

 征夷大将軍・坂上田村麻呂公東征時、天竜川の龍神様が薬師如来の功徳により、玉袖姫という美しい女性に変身され、将軍様と恋に落ちられました。
 その後、一子坂上田村麻呂俊光将軍は、人々の救済と幸せを願い、お母様(龍神様)の魂が刻まれた厄除子安地蔵様(伝弘法大師作)を岩水寺に安置されました。
 昔から”家をまもるは岩水寺”と言われております。これは厄除子安地蔵様(龍神様)が母であり、実際に子供を産んでいる女性が神仏になったという、非常に珍しい仏様であるからです(お地蔵様は普通男性)。

 高野山真言宗別格本山である龍宮山岩水寺は、神亀2年(425年)、人々の病気平癒、健康長寿を祈念した行基菩薩が薬師如来の尊像を刻み、開創されました。
 この総本尊様である薬師如来様は、弘仁6年(815年)春、先年の「薬子の変」で心身痛められておられました嵯峨天皇が病魔退散の祈願をされ、天皇の健康を取り戻したと伝わっております。

※龍宮山岩水寺公式サイト
http://www.gansuiji.jp/

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