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忽那の雫第113話 チヌになった?Kさん(無人島実話!)

秋の投げ釣りシーズン、わたしは釣り仲間のKさんを誘い、チヌ(黒鯛)を狙って瀬戸内海の無人島へ渡りました。

この島では、過去に良い釣りをしたことがたびたびあって、特にチヌならここでしょうと、Kさんの首をむりやりタテにふらせたわたしでした。^ - ^

なぜかKさん、当日は機嫌が良く、わたしの分のおにぎりまで用意して来てくれました。^o^←嫁さんと良いことあったにちがいない)^o^(

この日、チヌ狙いに用意したエサは二人で30匹のユムシだけ!
チヌ釣りにユムシは効果抜群なので、あれこれ迷わないように、それ以外のエサは持っていきませんでした。

釣り場に着き二人は小さな砂浜をはさみ左右の岩場でそれぞれ準備をはじめたんです。

わたしは一本目の竿を投入するとき、エサをKさんのクーラーに入れたままだったことを思い出しました。
やれやれと思いながら、Kさんのところまで歩いて行き、とりあえず5匹だけ持ってくねっと、手のひらにのせ、あとはクーラーに残しておきました。^ - ^

足りなくなればまた取りに来りゃいいやと思い、入れ物も持たずに来ていたのでした。

そして自分の釣り座へ戻って第一投!
気持ち良くフルスイングしたあと、2本目の準備をしていると後ろでガタン!
慌てて振り向くと、今投げたばかりの竿の尻が浮き上がっています!(°▽°)

わたしは大きく合わせを入れ、ガンガン巻きました。
相手はゴッくんゴッくんと激しく首を振っている。
チヌにちがいない!^o^

やがて現れたのは40センチを超す良いチヌでした。
よ〜し、幸先いいねーなどと一人ボソボソ言いながら、すぐに次のエサを付けて投入!

するとまたすぐに大きなアタリ!
おいおい、いいの〜?
次もまた良型のチヌだったんです。(^-^)

気分の良くなったわたしは、しばらくご機嫌な時間を過ごしていました。
たまにKさんの方も見ていましたが、ただボーっと竿先をながめてるだけの様でした。

やがて5匹のユムシもなくなり、またKさんのとこへ取りに行くことにしました。
大きなアタリで竿が飛ばないように、リールのドラグを緩めてから、Kさんの方へ歩いて行きました。

すでにわたしのクーラーには良型のチヌが2匹おさまっていたので、歩き方にさえ余裕が漂っていたことでしょう←完全に天狗状態(・∀・)

どうKさん、アタリはある?
この問いに振り向いたKさんの口から、チラッとのぞいた肌色の物体をわたしは見逃しませんでした。( ̄∇ ̄)

ち、チョットー!
Kさん、それ何食ってんのー?
Kさんはニヤニヤしながら、チヌが食わんから俺が食ってやったーなどと澄ました顔で言うんですよ。( ・∇・)

わたしは慌ててクーラーを開けましたが、そこにはすでに一匹のユムシも残っていませんでした。(泣)

こ、この人はまったく〜
アンタはチヌなの?
そういやこのKさん、以前にもメバルを釣りに行ったとき、エサの生きたイカナゴを食っていた。
恐ろしい人である( ̄▽ ̄)

仕方なくその日は竿をたたんだのですが、帰りの船で海におにぎりを放り込んでいたKさんを見て、わたしはゾッとしましたよ。

嫁さんがせっかく持たせてくれたおにぎりを海に捨てて、釣り場ではエサのユムシを食っていたのですから!

わたしは帰りにKさんちへ寄り、奥さんにおにぎりのお礼を言った後、一言だけ言ってやりました。

奥さん、おたくのダンナはチヌですよ!!ってね。(笑)

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