読者の気持ちが分からない
今週は丸4日、1つの記事を書いていた。入社して1年10ヶ月、特集を1人でやったことはなかった。特集を書くには最低4日はいることが分かった。
中でも時間を使いすぎたのはタイトルとデザインだ。タイトルは短く、ありきたりにならない、この2つにこだわった。他の雑誌を見ても良いなと思うタイトルは大体短い。
記事ができると編集部の先輩に見せる。先輩に見せないと、校了日前日の修正作業が多くなる。僕が書く記事はまだまだダメ。僕が100%に近いと思った記事も、大量の赤字を入れられることだってザラ。だからまだまだ、事前に先輩に校正してもらう必要がある。
タイトルは予想通り「再考」と書かれていた。それは薄々分かっていた。しかし、再考と言われるとしても、自分の考えを発表しておきたったのだ。タイトルを直される理由は「そこまでトリッキーにしなくても良い」から。僕はどうしても誌面をトリッキーにしたい気持ちがある。直されるたびに「こっちの方がいいと思うんだけどなあ」と思いながら「はい」と言う。
確かに僕が思うトリッキーなタイトルは未熟でちょっと恥ずかしいものなんだろう。しかし僕はそういう雑誌、具体的にはBRUTUSの言葉選びや写真の使い方が好きだから、抗えない。BRUTUS は一般誌で、僕がやっているのは業界誌。だから「BRUTUSは一般誌だから、そういうことができるんだよ」と言われたら何も言い返せない。
自分が業界誌を読まないので分からない。僕が雑誌……というかBRUTUSを読む理由は、BRUTUS編集部のセンスを吸収したいから。真逆の単語を組み合わせたり、急に敬語を使ったり、意味のわからない写真を特大サイズで使ったり。そういうのを見るとハッとする。でも僕が書いているのは業界誌。読者の気持ちを想像できない。読者は情報を求めているのか、それとも野性を求めているのか。
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