行き尽くしてしまった今がスタート地点
酒場をめぐり、20年。
いまは、ある程度の都市ならば、飲み屋街でも地図なしで歩ける自信があります。
昔は、初めてその街の中心駅の改札を抜けた瞬間、どんな飲み屋街が広がっているかと想像し胸が躍ったものです。
いまは、淡々と歩いたことのない地図の黄色いところを歩いています。
なんだか塗り絵をしている気分。
なにか、天国のよな場所が見つかるのではないかとワクワクしていたころもありますが、いまはすっかり落ち着いて、街や酒場を系統立てて見るようになりました。
これまでは、一種の冒険だったんだと思います。新しい街へ行き、店をめぐり、ハードルが高そうな老舗で飲んで、二軒、三軒とハシゴをし、宿へ帰る。翌朝、地元の人達とワイワイと飲んだ昨日のことを思い出し、レベルが上がった気分で宿の窓から街を眺める。
まるで、子供の頃に遊んだRPGのような流れです。
せっかく来たのだから一日に10軒近くハシゴし続けたコト。
次いつ来れるかわからないからと、1時間の列車乗り継ぎ時間を使って急いで飲んだコト。
いま思えば、だいぶ無茶をしていました。もうできません。
今年で飲酒歴20年。
日本中の飲み屋街を一通り歩いた今が、私の居酒屋探訪のスタート地点なのだと感じています。
これからは、冒険ではなく、地方で活躍する名店をじっくり巡り、記録する旅にします。そして、できることなら、お役に立ちたい。
飲み屋街から見ても、地方都市の衰退は年々顕著になっています。このままでは、私が生きているうちに良い酒場が町ごと消滅してしまいそう。
大手のショッピングセンターやファーストフードにニーズが移っしまった従来の商店や軽食店と比べ、コト消費である居酒屋は空洞化する中心市街地でも強い存在です。なんとか、グルメやお酒、飲み屋で活性化できると良いのですが…。
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