選びし一枚2

ずんだの青黒フェアリー話 その1【フェアリーってどんなデッキ?】

はじめましての方ははじめまして。そうでない方はお久しぶりです。ニコニコ動画にて「瞬速のずんだ!」というMagic Onlineの動画を投稿している、ぐらと申します。

モダンの【青黒フェアリー】を回してもう4年になるのですが、デッキ構築やプレイングで考えていることについて、個人的に思っていることを複数回にわたってまとめようかと思っております。基本的にほぼ独学でやってきましたので間違いや考察の浅い部分があった場合はご容赦願います。

全体の流れ(予定)

1.【フェアリー】ってどんなデッキ?←今回
2.【フェアリー】にはどんな型があるの?←今回

3.【フェアリー】にはどんなカードが入るの?
4. いつも使っているデッキの紹介。
5. いつも試合中に考え、注意している事。
6. デッキごとのマッチアップ関する考え、サイドボーディング。
7. ここまでの記事でリクエストがあったものに関して。(予定)

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第1回である今回は、【フェアリー】というデッキ、そして大まかな型の紹介をしたいと思います。

1.【フェアリー】ってどんなデッキ?

『ローウィン=シャドウムーア』期のスタンダードから成立し、エクステンデット、そしてモダンへとフォーマットを移して存在する、《苦花》を主軸としたクロック・パーミッションデッキです。

キーカードとなるのは元モダン禁止カードである、通称「2ターンキル」《苦花》。毎ターンのアップキープに1点のライフと引き換えに1/1飛行を持つフェアリー・ならず者トークンを生み出し、それらで攻撃やブロックをしつつ、優秀な瞬速クリーチャーによる展開や妨害、またはインスタントの除去や打ち消しの二択を常に迫りながらライフを削り、勝利を目指します。

理想的な動きとしては以下の通りです。
1T:手札破壊orドローソースor除去
2T:《苦花》
3T:お相手の動きを見てクリーチャーor打ち消しor除去orPW
4T:お相手の動きを見てクリーチャーor打ち消しor除去orPW
…以下省略。

この「お相手の動きを見て」が非常に重要で、お互いのデッキ、手札、盤面等々の状況、そしてインスタントタイミングで取れる選択肢の多さにより、「これがこの展開で最善のプレイングである」が試合ごとに変化するため、定石にとらわれない思考、プレイングを要求されるデッキとなっています。

《苦花》は毎ターン強制的にライフを失うものの、ライフの続く限りトークンが生み出されるため、これを除去する手段が無いデッキやクリーチャーへの対策を単発の除去呪文に頼ったデッキ、プロテクションやトランプル等のブロック不可・貫通能力を持たないデッキ、そして少数のクリーチャーの攻撃を除去でこじ開けて攻撃を通してくるデッキに対し、除去を上回る展開力を駆使することで無類の強さを発揮します。

また《苦花》というカードの特性上、2ターン目に置けたとしても、そのトークンで攻撃ができるようになるのは4ターン目、トークンだけで勝とうとすると最短で9ターン目になってしまいます。その代わり、序盤に手札のリソースを使い切ることなくトークンが生み出され続けるため、デッキとしての動かし方の考えとしては、お相手を早期に圧倒する【ビートダウン】ではなく、やりたいことをさせずこちらに有利な盤面を作る【コントロール】に寄せた方がよいでしょう。

《苦花》が部族:フェアリーを持つ部族エンチャントであることに加え、戦場に出た時、戦場にいるフェアリーの数のマナコスト以下の呪文を打ち消す《呪文づまりのスプライト》や覇権で他のフェアリーを追放する必要がある《霧縛りの徒党》、他のフェアリーに+1/+1修正と被覆を与えるロード《ウーナの末裔》とのシナジーを活かすために採用クリーチャーの多くをフェアリーが占めるため、部族デッキとして認識されています。

しかし、【人間】や【マーフォーク】に代表される部族デッキは「優れたステータスや強力な能力のあるクリーチャーを多数展開し、それらのステータスをロードで底上げして攻撃する」スタイルが一般的です。一方【フェアリー】はクリーチャーの展開を《苦花》に依存している部分が大きく、クリーチャーよりその他の呪文が多く入っているのが特徴です。

そのため、部族デッキとしては珍しくクリーチャーの枚数が8~12枚程度と少ない上に、マナコストもバラバラかつ瞬速持ちであるため、呪文を唱える時の色事故や手札事故を減らすために《魂の洞窟》や《霊気の薬瓶》が採用されないことがほとんどです。(その代わり、他のデッキでも採用される汎用的な呪文が大量に入っているため、結構なお値段がします…)

というデッキ【フェアリー】ですが、《苦花》のトークンをはじめとする大半のフェアリーのタフネスが1であるため、《レンと六番》や《疫病を仕組むもの》のような継続的にダメージや-1修正を与えるカード、インスタントタイミングでの二択を迫る動きでアドバンテージを取っていくため、《時を解す者、テフェリー》のような呪文を唱えるタイミングを阻害するカード、色拘束が厳しく2色土地をはじめとした特殊地形が多いため、《血染めの月》のような土地から出るマナを制限するカードが弱点です。

また、展開のスピードが基本的に1ターンに1~2体かつステータスは低いため、序盤に1/2以上のクリーチャーを大量展開する部族デッキのような【ビートダウン】、自分からライフを失っていくため、直接ライフを狙う【バーン】、墓地のカードに対応できる手段に乏しいため、それを活用する【発掘(ドレッジ)】、手札破壊や打ち消しを用いて捌いていくため、土地セットによりマナを加速する【トロン】や【アミュレットタイタン】をはじめとする【土地コンボ】との相性はあまりよくありません。

2. 【フェアリー】にはどんな型があるの?

先述の通り、このデッキはロードのためにクリーチャーを一定数入れる必要が無く、かつこの呪文を確定で入れなければならないという縛りが緩いために自由に採用できるカード枚数の枠が広く、一口に【フェアリー】と言っても様々な種類の型があります。

では「デッキを【フェアリー】と定義するカードは何か?」という疑問になるのですが、個人的には《呪文づまりのスプライト》だと思っています。

《苦花》は単体でも【苦花変身】や【白黒トークン】、そしてモダンの枠を超えてレガシーにも入ることがありますが、《呪文づまりのスプライト》の能力は戦場のフェアリーの数を参照とするため、追加のフェアリーや《変わり谷》等、このカードをデッキに入れて使うためにはある程度構築を考える必要があり、このカードの有無が【フェアリー】の定義かなと。

続いて「型を定義するものは何か?」という疑問になるのですが、こちらに関しては《苦花》以外の戦術、そしてそれを実現させるためにどのカード、特にどのクリーチャーを採用するかに影響されるものだと思っています。

「2ターンキル」の異名の通り、ライフをコストに強力なアドバンテージを得るカードですが、エンチャント破壊やフェアリーの全体-修正等でこれを無力化される場面も多々あります。そのため、これ以外の勝ち手段を考える必要があるのですが、ここの枠に何を採用するかによって、型の種類の分岐につながると思っています。

実際のデッキでは完全に特化して分割された形ではなく、いくつかの型が複合された形という方が大半だと思われますが、以下、青黒ベースのものについて、大まかな分岐を5つに分けて記しました。

①青黒クロック・パーミッション型
②青黒コントロール型
③青黒忍者型
④青単型
⑤白青黒(エスパー)型

①青黒クロック・パーミッション型

スタンダード時代の【フェアリー】をモダンに移行した型。私が使っている【フェアリー】は基本的にこれがベースになっています。
お相手のドローステップに《ヴェンディリオン三人衆》で手札の確認、アップキープに《霧縛りの徒党》で土地のタップでお相手の取りたい行動を的確に妨害しつつ、高打点の飛行クロックで速やかに勝負を決めていきます。《霧縛りの徒党》を採用する場合、能力:覇権で戦場にいるフェアリーを追放するため、《苦花》や《変わり谷》を含めたフェアリーの採用枚数を多くする必要があります。

②青黒コントロール型

《瞬唱の魔道士》を活用した、現在おそらく最も多く見られる型。
墓地のインスタントやソーサリーにフラッシュバックを持たせて再利用するため、クリーチャー少なめにして枠を多く取り、手札破壊、除去、打ち消しと状況に応じて必要なものを再利用できる対応力が魅力的。その分打点が低くなってしまいますが、継続的にアドバンテージを稼ぎ、勝利条件も達成するプレインズウォーカーが多く採用されており、《苦花》のトークンはこれらを守るための途切れない壁としても非常に強力です。

③青黒忍者型

元々フェアリーの「戦場に出た能力」と「飛行クロック」、そして忍者(忍術)の「戦場のクリーチャーを手札に戻すコスト」と「ダメージを与えた時の能力」の相乗効果はパウパーの【青単】でも活用されていましたが、「モダンホライゾン」の新規忍者《堕ちた忍び》により大きく強化を受けた型。
飛行クロックでブロックしづらいものの、そのパワーの低さで決定打とはさせづらい《呪文づまりのスプライト》を忍術で回収して再利用しつつ、《堕ちた忍び》の強力な打点と能力で計2枚分以上のアドバンテージを取る動きは強力です。また、忍術の攻撃してブロックされないという条件を達成するため、青黒コントロール型とは逆に、こちらはクリーチャーが比較的多くなります。

④青単型

上に上げた【フェアリー】は青黒、そして無色しか出せない《変わり谷》も採用することで実施3色デッキとなっているのですが、《苦花》以外のフェアリーが青に集中しているため、あえて《苦花》を採用しないことでマナベースを安定させた型。
以前は《ウーナの末裔》による部族ビートを活かしたものが主流でしたが、《執着的探訪》を採用したイクサラン~基本セット2020期スタンダードの【青単テンポ】と《深き刻の忍者》を採用したパウパーの【青単】を融合してモダンに投入した型も現れ、モダン参入への障壁は最も低い方だと思われます。(そして私が少し気になっているデッキでもあります)

⑤白青黒(エスパー)型

《苦花》と同じ2マナ、そしてライフを減らす面展開型とは対となる、ライフを増やす一点突破型、《石鍛冶の神秘家》パッケージを統合させた、モダン版【エスパーブレード】。
2ターン目にゲームを決めるカードが最大8枚となることでキープ基準が大幅に下がり、青黒の【フェアリー】でも元々《饗宴と飢餓の剣》が採用されていたこともあり、装備品をつける先は《苦花》で供給、ライフレースは《殴打頭蓋》で逆転と、それぞれの相性はとてもよく、最近上位入賞者デッキリストが掲載されているのをよく見かけるようになりました。

その他、除去とダメージソースになる赤の火力を投入した別名【ライトニングフェアリー】と呼ばれる青赤型や、そして《スクリブのレインジャー》を投入した青緑型…等々あります。

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では今回はここまでです。次回は【フェアリー】に入るカードの説明とデッキ内における役割や相互のシナジーについて、書いていく予定です。

ここまでご覧いただき、誠にありがとうございました!

全体の流れ(予定)

1.【フェアリー】ってどんなデッキ?←今回
2.【フェアリー】にはどんな型があるの?←今回
3.【フェアリー】にはどんなカードが入るの?←次回予定
4. いつも使っているデッキの紹介。
5. いつも試合中に考え、注意している事。
6. デッキごとのマッチアップ関する考え、サイドボーディング。
7. ここまでの記事でリクエストがあったものに関して。(予定)

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おまけ【どうしてこの型のフェアリーになったのか】(以下1,205文字)


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