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旅行っていいね あの窓をぼーっと眺める瞬間

 「マインドワンダリング」
 と、かっこをつけて名前を出してみる。これは、目の前の課題から注意がそれて、思考をしてしまう状態をいう。心理学の用語で、卒業論文でも研究した。
 
 そして、旅行をするとき、人それぞれ楽しみは異なるだろう。美味しい料理を食べる、仲の良い人と交流を楽しむ、車窓から眺める景色で癒される。こんな感じで、「なぜ旅行をするのか?」という問いの答えは千差万別である。
 
 僕の場合、一番好きなのは「とりあえず交通機関にのって、外の眺めを見ながらぼーっと空想にふける時間」が、一番の旅行の楽しみだ。その楽しみの特性上、やはり、一人旅が身体に合う。

 それは、意図的に考え事をするというよりも、本来なら景色を目で見ているものの、そこからは意識がそれて、脳では別のことを見ているとでも言い換えられるのか。これ、分かる人いるかな?

 とりあえず、僕は、今年も旅をしてしまった。今回は、住むのが苦手な都会。学校をやめた後始末で、足を運ばなくてはならなくて、予定の数日前から食べ過ぎが悪化して胃から出血する。でも、行かねばならない。

 新幹線から降りて、騒々しい人の流れと、過去に当事者であった満員電車の箱を目にして「自分にはやっぱり合わない」と思った。

 しかし、移動の時間は違う。地下鉄は除いて、椅子に座りながら目を外にやる。そして、これからすべきこと、したいこと、好きなもの、好きなひと、過去のことが、ミルフィーユみたいに段々と積み重なってメモを取らなければ脳内に溶けていく。

 その時間はとても心地よくて、部屋や集団の中にいると、「常になにかしなければならない」と、作業や能動的思考を詰め込みすぎてしまう日常には、欠落している時間なのだ。

 だから、僕は、旅行の楽しみが「混迷的思考」「段々積思考」「回転変思考」とか変な名前をつけてみたけれど、いろいろな考え事を楽しむ時間が好きで、これからなりたい拡散的思考のお仕事に役立つのではないか、というお話。

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