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岸谷香KAORI PARADISEレポ(岐阜/滋賀)

あなたの寝顔…ずっと見てたら…涙が溢れてきた……静かな呼吸……重ね合わせて…夜明け前の片隅で………

開演し、いつものナレーションが流れる。
流れ終わると、
オレンジの照明が強く光り、ステージは見えなくなる。
その強い照明が消えると、
「あなたの寝顔…ずっと見てたら…」
香さんはピアノに座り、歌っていた。
前奏もなく、アカペラでスタート。
この記事を読んだ人は、読み始めてすぐ「なんか急にムーンライトストーリーの歌詞書いてる!」と思ったかもしれない。
ライブもそんな感じだった。
香さんが登場するところを見ようと舞台袖のあたりを見ていたら
急にオレンジの照明でなにも見えなくなり、
気づくと
あなたの寝顔……ずっと見てたら……
と、歌い始めていた。

去年のライブでは、登場し、一礼し、ギターを持って、、と、ゆっくりスタートだったような記憶がある。

今年は急に歌い出した。
しかも、プリプリの曲の中でも僕の個人的超お気に入り楽曲のひとつ、ムーンライトストーリー。

いきなりクライマックス。

演奏はピアノだけなので、CDとは全然違う形。
でも、キーはそのまま、CD通りの音程。

そして、2番の終わりには
CDでは前奏となっているメロディをピアノで忠実に再現。

1曲目から感動して泣きそうだった。

香さんの弾き語りは、
伴奏はCDとは違うアレンジになるが、
基本的に音程,キーがそのままなのが嬉しい。

アーティストによっては、フレーズ終わりの語尾を上げてみたり、伸ばす部分を短く切ってみたり、発音上がったり下がったり
変な歌い方をする人もいる。

でも、香さんは音源通りに歌ってくれる。

弾き語りなので演奏はCDと違うけれど、
イントロの名フレーズなどは必ずどこかに入れてくれる。

1曲目を終え、「こんにちはー!岸谷香です!」と挨拶すると、
「次は1991年の作品。KISS」と、
またしてもプリプリ時代の名曲を演奏。
さらに 世界でいちばん熱い夏 を続けて演奏。

客席みんなで手拍子して、弾き語りライブの限界くらいまで盛り上がると、MCへ。

MCでは「みなさんと共通の話題をつくるために、ライブ前日に前乗りして、その土地での地酒を味わうようにしてるんです。」と、地酒の話へ。

ツアーでは各地の地酒を前日に飲んでからステージに臨んでいるらしい。

岐阜の地酒では、「吉(きち)が好きだった」とのこと。
他にも何種類かあげていましたが、吉が好みだったらしい。
地酒の名前をあげると拍手するお客さんが。
香さんが「酒蔵の方ですか?」と問いかける場面も。(酒蔵の方ではなかった)

滋賀公演では、
同様に地酒の話をしたあと、
「野洲でのライブ、初めてだな〜 なんて思って今日ここに来たんですが、(ライブ会場は、滋賀県野洲市)今日会場に来たら、なんと、この会場、全く同じステージで、30年以上前,1989年にプリプリ時代にライブをしてたみたいで!!当時のポスターと今日のライブのポスターが並べて楽屋に貼ってあって!!」
とまさかの展開。
当時と今では会館の名前が変わっていて気づかなかったそうだ。
「ねぇねぇ、楽屋のポスター持ってきてよ!見せてあげようよ!」と香さんが言うと
すぐに舞台袖からパネルが登場。
当時の貴重なポスターのパネルを観ることができた。

「当時、30年前ここでプリプリのライブ観た人いる?」と聞くと、数人手が挙がる。

「えーー!すごい!客席の電気つけてよ!」とテンションが上がる香さん。

「なんかその時の曲で印象に残ってるのとかある?」と問いかけるが、なかなか出てこず
「もう忘れてるよね。そうだよね。30年前だもんね。まぁでも、さっき演った世界一とかは歌っただろうね〜」と。

僕は内心、「誰か何か言ってくれよ!そしたら絶対その曲やってくれるのに〜〜〜〜」ともどかしい気持ちに。
テキトーになんか好きな曲言えばいいのに…
89年なんだから、なんかプリプリ初期の曲言えば……と思った。
(僕がプリプリ世代のおじさんなら、テキトーに曲名を叫ぶところだが、僕はあいにく20歳なので「ユーアーマイスターシップ!」などと叫んでも「お前30年前生まれてないだろ!」とバレて終わりである)

そして「コンサート始まったばっかりだというのに、楽しくなってついめちゃくちゃ喋っちゃいましたが、、」と
次の曲へ。

「プリンセスプリンセスを解散する時に、私は“プリプリの作曲家として、プリプリっぽい曲、これぞプリプリ〜!っていう曲を最後に書いてあげたい”と思って、Fly Baby Flyという曲を書きました。元気な女の子バンドプリプリだけど、恋の切ないようなバラードを歌う一面もあって。そして、それを表現した、純愛という曲を書きました」と語り出す香さん。

俺は、
え?これどっちだ?Fly歌うのか?純愛やるのか?
いや、Flyだったら純愛の話なんてしないか。じゃあ純愛か

などと思っていると
歌い出したのは、純愛。

最後のフレーズ
「純愛なんて…わがままだよ…さよなら……」
を歌い、
「さよなら……さよなら……さよなら……」
と 数回さよならを付け加えるアレンジが切なくて良かった。

純愛の演奏が終わると、
「プリンセスプリンセス時代の懐かしい曲が続いたので、次は最近の新しい曲をお届けします。私は50歳のとき、Unlock the girlsというバンドを結成しました。そして、2019年、ガールズで人生初の海外レコーディングというのをしてきました。すごくないですか?50歳越えて新しいことを始めるって。次はその、海外でレコーディングした曲を聴いていただきたいと思います」と演奏し始めたのは、 レミニセンス。

レミニセンスが終わると、ピアノからギターに移動する香さん。
そして、
「私はたくさんのアーティストに影響を受けて曲を作っています。あの人みたいな曲を書きたい!と思って書いた曲がたくさんあります。」と語り出す。
「影響を受けたひとりが、ブライアン・アダムスです。次の曲は、仮タイトルがブライアンという曲名だったくらい、特に影響を受けた曲です」
と歌い出したのは、名前のない町。

途中、力強くアカペラで歌っていたのが印象的。

歌い終わると、ルーパーという機材の説明へ。
この説明はおそらく今後も毎年のようにやると思うのでここでは省略。

そして、次はルーパーをたくさん使った演奏を、とWrong Vacationへ。

コロナ禍で急に家族が家に集結。
香さんのお子さんはふたりとも高校生になった時にアメリカに行ってしまい、岸谷家は五朗さんと香さんのふたりだけだった。
でも、コロナ禍でアメリカから子どもが帰ってきて一気に四人に。
和食や、子供が昔好きだったお菓子を作って出せば喜ばれ、4人でのコロナ禍の生活がとても楽しかったのだそうで。
コロナに負けない!とか、そういう曲は
他のアーティストがたくさん出しているだろうから、香さんは
「コロナ禍で家族が家に揃って楽しい。これはバケーションだ。でも、少し間違ったバケーションだ」とWrong Vacationという曲をつくったのだそう。

ルーパーでギターの演奏やコーラスを重ねて盛り上がる。

次のMCでは

「あるお客様が、岸谷香ファンミーティングで、この話はぜひ香さんに伝えたい!といって話してくれたエピソードが、とても素敵で、
皆さんに共有したい、と思ったので、」と
ファンの方からのエピソードを紹介。

そのファンの方は、プリプリの再結成ライブに御夫婦でいらしていたそう。

開演直前、夫婦で「もうすぐ始まるね〜」などと話していた。
隣が空席で「まだ来てない人もいるね〜」と言うと、
その隣の人が話しかけてきて
「いや、ここの席の人は、もう来てます。
私はプリプリの現役時代、友達といつも2人で来てたんです。その友達はプリプリのことが大好きで、でも、東日本大震災で亡くなってしまったんです。今日のコンサート、あるって知ってたら絶対いっしょに来てたと思うんです。だから、私は、今まで通りふたりで行こうと思って、友達の分もチケットを取りました。だから、もう来てます」と言ったのだそう。

素敵な話。僕は、またしても泣きそうになってしまった。

そして、感動的なお話のあとは、
「そんなプリプリ再結成で歌った、印象に残っている曲を歌いたいと思います…」と
I LOVE YOUを演奏。

I LOVE YOU………I LOVE YOU……
という声、コーラスをルーパーに録音し、
ルーパーから声が流れるなか、
香さんはギターを置き、
ピアノへ移動。
そしてI LOVE YOU……の声がフェードアウトしていき、
楽曲はSTAY THEREへ。

曲が終わって大きな拍手が起こると、そのまま
Mを演奏。

僕は今回のツアーでは
I LOVE YOU→STAY THERE→M
この3曲が、曲順、繋ぎ方込でいちばん好きだった。直前のMCから感動的で、
岐阜公演では正式に泣いてしまった。
音楽ライブで泣いたのは人生で初めてだった。

感動的な3曲が終わると、
再びギターに持ち替えて、Diamondsへ。

岐阜公演では
「みんな、ダイアモンドの手拍子上手!!今回のツアーで2位!!」と褒められた。

裏拍で手拍子するのは難しくて、
表になってしまうお客さんも多く、
いろんなタイミングの手拍子が混ざって
拍手みたいになってしまう会場もあるらしい。

そんなダイアモンドの後は、
曲を書くタイミングについての話。

たとえば、Mは、プリプリのドラム富田さんが振られて香さんの家にやって来て、
タンカレーという強いジンをふたりで飲んで
「よくもうちのドラムを振ってくれたな〜〜!ただで振られたんじゃ勿体無いから、曲にしよう!」とMが出来た。

ダイアモンドは、
お正月に当時のボーイフレンド(彼氏)の家に遊びに行くと、お年玉が貰えてルンルンで帰っている時に出来た

など。

音楽を長くやっていると、
いろんなタイミングで曲ができる。


そんな話から、
最後は今の岸谷香をお届けしたい、と最近作った曲を歌ってくれた。

大切な友だちを亡くしてしまう、そんなときに出来た曲。

Signsという曲で本編は終了。

去年も本編最後はSignsだった。
今年の岸谷香感謝祭も本編最後はSignsだった。

最近はSignsで終わることが多い。

それだけ名曲。

プリプリの曲しか聴かない人にもぜひ聴いていただきたい。


本編が終わり、アンコールではグッズ紹介。

香さんのグッズのロゴがケーズデンキのロゴにそっくりだった話など。

香さんのグッズのモットーは、「岸谷香のグッズだとわからないようにする」とのこと。

「小さくKAORI PARADISE2023ってココに書いてあるけど、老眼では絶対見えません!模様にしか見えません!」と言っていた。

アンコール、最後の1曲へ。


弾き語りでは、ピアノまたはギターだけなので、CDとは全然違う形。
スタジオでひとりで1ヶ月くらいかけて
あーでもない、こーでもない、、とアレンジを考えてきた。
曲をコードだけに分解して、アレンジをつくっていると、いろんなことに、気づく。
人で例えると「この人、こんな一面があったんだ!」と言った具合に、
曲に意外な一面があるのがわかる。
CD通りの曲が聴きたかった…と思う人もいるかも知れないけれど
ピアノだけのアレンジも楽しんでもらいたいと思う。
最後は、プリプリの楽曲のなかでも、いちばんくらい大人数でレコーディングした曲かもしれない。メンバー5人に加えて、弦とか管とかいろいろ加えてレコーディングされた曲。
最後は、それをピアノ1本でアレンジした
この曲を……。


と語って
歌ってくれたのは、
SEVEN YEARS AFTER。

バラードだけど、
2番終わりにイントロの名フレーズを持ってきたり、
原曲の良さは殺さず、
素敵なアレンジに仕上がっていた。

プリプリの名曲でKAORI PARADISE2023は幕を閉じた。



ライブはこんな感じだった。
全公演終わったとはいえ、内容を細かく書きすぎているような気もするが、
これを読んだあなたが
ライブの感動を思い出せたり
ライブに行きたくなったりしてくれたら
書いた甲斐があるものだ。

先日千秋楽を終えたばかりの香さんだが、
Unlock the girlsでまわる
岸谷香バンドツアー 56th SHOUT!が11月末から12月頭にかけて開催される。
名古屋、大阪、東京、福岡の4箇所でのツアー。
僕は東名阪の3箇所に参加する予定。

僕は、ツアーというのは
アーティストが自分の住む街に来てくれるものではないと思う。
アーティストといっしょに日本全国を旅するのがツアーだと思う。

僕は香さんと、東京大阪を旅する。(僕は愛知県に住んでいるので、名古屋は旅にはならない)

皆さんも、是非いっしょに香さんと全国回りましょう。

ではまた。バンドツアー後にレポートを書くかも。。


岸谷香
KAORI PARADISE2023
岐阜公演、滋賀公演 セットリスト

ムーンライトストーリー

KISS
世界でいちばん熱い夏

純愛
レミニセンス

名前のない町

Wrong Vacation

I LOVE YOU
STAY THERE
M

Diamonds<ダイアモンド>

Signs

<Encore>
SEVEN YEARS AFTER


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