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understand

例えば「人という字は、人と人とが支えあって出来ている」みたいな、言葉の成り立ちにまつわる話が世の中にはある。
それらは理にかなっているものだったり、こじつけのようなものまで様々あるけれど、自分が強烈に覚えているものが一つある。
それは「understand」という単語だ。

この言葉を知ったのは中学生の頃だ。
学校で習う英語の授業で教えてもらったのだけれど、その時に先生が言った言葉が、二十年以上経った今でも忘れられない。

先生は、「understand」という言葉が「理解する」という意味だということを教えてくれた後に、「under」と「stand」を区切って黒板に書いた。
そして「under」は「下」、「stand」は「立つ」という意味だとそれぞれ教えてくれた後で、こんな感じのことを言った。

「何かを理解するには、下に立つ、つまり謙虚になることが大切なんだよ」

その話を聞いた時、凄く感動したのを覚えている。
単語の構成として見事だし、話としても筋が通っているように感じたからだ。
「下に立つと書いて理解する! その心にあるのは謙虚! なるほどね!」みたいな。

ただ、後々になって調べてみると、どうやら「understand」は「下に立つ」ということではないらしい。
ざっくり言ってしまうと「間に立つ」という意味での「理解する」ということらしい。
この場合の「under」は「下に」という意味ではなく「間に」「近くに」という意味合いのようだ。
「間に立つ、近くに立つ」から「よく分かる」というニュアンスらしい。

先生が間違って認識していたのかどうか、今となっては分からない。
けど、自分としては「何かを理解するには謙虚であることが大切」という考え方の方が好きだ。
理屈としてしっくりきたし、人生を生きる上で、大切なものを教えてもらえた気がしたからだ。

で、なんで突然こんなことを書いたかというと、最近「理解すること」「自分が立っている場所」について思い直す機会があったからです。

実はつい最近まで、とある資格の勉強をしていました。
会社から何かしら資格を取っておけよ、とお達しがあり、会社が推奨する資格を受けることになってました。
結果から言うと、なんとか合格したのですが、正直、最初は本当に嫌々ながら勉強していたとう感じでした。

この資格を取っても、直接自分の業務に活きるということはないし、仮に取ったところで給料が増える訳でもない(ボーナスには少し加算されるけど)。
ぶっちゃけ、やらされ感で仕方なく勉強を開始。

んで、こんな感じのメンタルだから、全然勉強が捗らない。
仕事が終わって疲れた状態で勉強をするから、疲れて頭に入ってこない。
参考書を開くけど、言葉が頭の中を素通りしていく。全然理解出来ない。
こんなの勉強しても意味なくね?
そんなことよりも小説の原稿したいのに。
でも、やっておかないと後々面倒になる。
はぁーーやる気出ねぇ。
あ、やべ、時間が足りない。
どうしよう。
みたいな、ちょっとした負のスパイラルにも陥っていました。

で、試験日がいよいよ近づき、「そろそろアカンかも」と危機感が増してきた時に、ふと「understand」の話を思い出しました。

理解をするためには、下に立つことが大切。
自分が理解出来てないのは、下に立っていないから。
なら自分は今、どこに立っているんだ?

そう思った時、自分は「勉強」よりも高い位置にいたことに気付きました。
高い位置にいるから、「勉強する意味がない」とか偉そうなことが言えてしまう。
そこに謙虚の心は何もない。

多分、こういうことって、勉強以外にも言えることで。
例えば、いじられキャラというか、周囲に見くびられている人がいたとする。
その人の話を聞く時、私達はもしかしたら真剣に話を聞いていないかもしれない。
何故ならば、その相手を見くびっているから。
自分がその相手よりも上に立っているから。

まぁ、これは極端な例だけど、身近な例で言えば、「流行に逆らう気持ち」なんかがそうかもしれない。
「そんな一過性なものに乗らないぞ」と、流行よりも高い場所に自分を立たせている、みたいな。

ここまで考えて、何だか少し、視野が広がった感覚がありました。
それこそ、「understand」の成り立ちを聞いた時のような。
やっぱり何かを学ぼうとするならば、下に立つ、謙虚であることが本当に大切なんだな、と。

勉強に限らず、色んなことでも。
例えば、人の話を聞く時とか、料理を教えてもらう時とか、おすすめの小説やアニメなんかを教えてもらう時とか。
あらゆる意味で、誰か(何か)から教えてもらう時は、その下に立って、学ぶ気持ちを養いたい。
だって、それはあまりにも勿体無い
教えてくれたものの中には、自分の価値観を変えるような大きな出会いがあるかもしれないのに。
それをしないのは、結局のところ、損失以外の何物でもない。

今回受かった試験だって、「受かってはい終わり」というスタンスでは、結局のところ、自分が高い位置いるのと同じ。

ま、言うは易し行うは難しだけど。

下に立つ、謙虚な気持ちは、常に心がけていきたいなぁと思った次第。

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