晩夏(5日)

周期的に繰り返される振動と心地いい音と風の中で
青空を 見上げる僕は
意味なんか知らないのに 窓の方に手を伸ばす
行き先なんて どこでもよかった
結局 この手は空には届かないんだから

夏が舞う そんな匂いと
幸せをさがす君の瞳
涙が照らす その横顔を
僕は切り取って胸にしまっていた

足早に季節は過ぎて
夢のような 時は途絶えた
あなたのいない坂道の途中で
僕は あなたの笑顔を待っていた

共に過ごした夏がそっと
終わりを告げるように
この悲しみも やがて過ぎてくのかな?

僕はずっと願っていた
『あなただけは消えないで』
『終わらない夏の中へつれてって』
『初めて会ったあの日のまま時が止まればいいのに』

行かないでと願うだけで
もう一度と願うだけで
こんなにも 痛いのなら
僕は何も知らないままでよかった

いつまでも君たちの未来は
ずっと続いていくと思ってた
だけど通り雨が過ぎていくように
共に過ごした夏は もう二度と戻らない

嗚呼 あなただけは消えないで
戻らない季節を取り戻したいわけじゃない
ただずっと 僕は君を見ていたいんです

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