【四冊目】銀河英雄伝説

言わずもがな、藤崎竜は天才だ。

特にコミカライズにおいて、藤崎竜の右に出る人物はこの世にいないと思う。

誰しもにそう思わせた出世作にして代表作が「封神演義

”中国の伝記をコミカライズする”という荒唐無稽なことを少年ジャンプ内でやり遂げてしまったことは偉業と言わざるを得ない。

封神演義」はもう20回は読み返しているのでいつか書くとして、今回紹介するのは「藤崎銀英伝」。

銀河英雄伝説と言えば田中芳樹によるSF小説の名作で、言わずと知れた大ベストセラー。

そしてこの大ベストセラーを最初にコミカライズしたのが道原かつみ。これはアニメ化にもなる大ヒットを記録する。

つまり藤崎銀英伝は、コミカライズで大成功を収めた作品を、もう一度コミカライズしてみる。という大チャレンジなのだ。

何をやっても前コミカライズ作品と比較されてしまうのは明らか、前作封神演義では大胆な解釈でコミカライズしただけに、銀英伝もオリジナルの解釈で進んでしまうのでは?との不安も界隈ではあったがなんのその。


もちろん藤崎オリジナルの解釈はあるのだが、原作に対して大変忠実かつ、道原銀英伝もリスペクトしながらの構成に従来ファンの納得度も高いはずだ。


ヤングジャンプで連載中の本作品、ネタバレするようなことは書く気がないのだが、映画や漫画の面白さの一つに「マクロとミクロの対比」があると思う。

なんでもない日常が実は世界につながっていたり、スケールの大きな戦いも元をたどれば個人同士の些細な争いだったり。

銀英伝も「宇宙」を舞台にストーリーが進むのだが、元をたどれば思想の違う二つの勢力が互いに互いを敵視している(あるいはそう扇動している)だけで、それは今この瞬間もこの地球上のどこかで、この国のどこかで、どこかの学校のクラス内で起こっていることなのだ。


しかもこのスケールの大きさを書くのが抜群に上手いのが藤崎竜。

絵、展開でのスケール感の見せ方が圧倒的で、庭園でお散歩するシーンがあったかと思えば、次のページでは別の惑星が俯瞰で描かれていたりする。何倍ズームよって話よ。

あと藤崎竜はマシンを書くのが超かっこいい。

見たことないマシンなのに動いている気がする。レーザー銃とか斧とかももうめっちゃかっこいい。欲しい。

圧倒的な描写力と封神演義で証明済みのストーリーテリングに、ますます目が離せない。


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