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人口減少先進地から考える地域創生

岐阜県飛騨市と株式会社Another Worksが行う、複業人材を登用する実証実験において、「関係人口創出パートナー」として選出いただいてから3ヶ月、当初の目的であった研究発表会が先日行われました。


飛騨市内外からおよそ80名ほどの方が参加され、当初の目標であった50名を大きく超える結果となり、一安心しました。会の冒頭では僕の制作した動画も活用いただき、少しでも力になれたと思うと嬉しい限りです。


今回は改めて関係人口と地域の関係、これからの地域創生について考えていきたいと思います。



1.関係人口が地域に及ぼす影響

飛騨市において関係人口が地域に及ぼす影響としてわかりやすいのが「ヒダスケ!」と「ふるさと納税」といえます。

ヒダスケ!は地元住民の困りごとを登録し、地域内外の人が解決する参加型プロジェクトです。地元住民は人手不足による悩みを解決でき、参加者は地域の人との交流や、オカエシとして地域通貨をもらえたりと、双方にメリットのある取り組みです。

ふるさと納税は飛騨市と関係人口になる入り口の1つとなっており、市の財政も潤い、最も直接的なメリットのある取り組みといえます。

「人」と「お金」につながるものとして、地域によい影響をもたらしているのは間違いありません。


2.市民の所得増にはつながらない?

関係人口が移住者増につながらないということは、以前の記事でも紹介しました。

当初は、それならば関係人口を増やすことに意味はあるのかと思っていましたが、前章で述べたように、関係人口によるプラスの効果は間違いなくあります。しかし、関係人口の数だけを追い求めても意味がないということが言えると思います。

関係人口は移住者増につながらない、つまり市の財政につなげるためには飛騨市のようにふるさと納税で寄付をいただいたり、ヒダスケ!のように飛騨市を訪れてもらえるようなきっかけをつくる必要があります。

飛騨市の隣の高山市では、観光に力を入れ、訪れる人を増やすことに成功しています。しかし、市民所得は決して高い水準ではなく、岐阜県内でも下位となっております。

https://www.gifu-np.co.jp/articles/-/318333

飛騨市も同様であり、関係人口や旅行者(=交流人口)を増やすだけでは、市民の所得増にはつながらないことを示しているといえます。

市民の所得増にはつながらないと述べましたが、ふるさと納税など、市の財政につながっていることは間違いありません。ヒダスケ!を通じて飛騨市を訪れる人が増えていることも事実です。しかし、それだけでは市民の生活が良くなるところまでは至らないということです。


3.地域の活性化につなげるには

飛騨市の取り組みで認知度や財政は間違いなく向上しています。しかし、市民の方が「生活がよくなった」と実感するにはさらなる取り組みが必要だといえます。どのような取り組みが必要か考えてみました。

3-1.デジタル化

1つ目はデジタル化の推進です。人口減少が日本全体に比べても早いスピードで進む飛騨市では、どの産業や行政でも人手不足が深刻になります。関係人口や交流人口など、飛騨市を訪れる人が増えたとしても、対応する人がいなければ地域の魅力を感じてもらうことはできません。かといって、人口を増やす施策は短期的に成果を上げることはあっても、長期的に見れば、必ず人はいなくなります。考えてなくてはならないことは、人がいなくてもいい仕組みを作ること、行政の対応や各企業の事務作業など、効率化できることは効率化して、人に頼らない仕組みを作っていくことが必要です。


3-2.お金の知識を啓蒙する

人口減少の影響は働き手の問題だけでなく、売上(収入)の減少にも直結します。日本ではデフレが続いた影響で、安いものが正義という意識がありますが、これを変えていかなくてはいけないと思います。よく聞くのが観光客向けの飲食店や宿泊施設の値段が高く、地元の人は利用しないという話です。確かに所得が高くなければ利用できないお店はたくさんあると思いますが、そういったお店が外からお客さんを引っ張ってきてくれるおかげで自治体の収入もあがり、飛騨地域の認知度アップにもつながっているのです。感謝こそすれ、否定する筋合いはまったくありません。そういった意識も、サラリーマンとして給料をもらう生活が当たり前であり、自分で商売をした経験がないことが影響しています。根本にあるのはお金に対する知識のなさ、間違った知識の植え付けです。「お金を稼ぐのは悪」という認識を変えていく必要があります。


3-3.交通物整備

飛騨地域は「1人1台」車が必要な自動車社会です。高齢化が進むにつれて運転のリスクは上がります。いずれは多くの住民が免許の返納をする必要に迫られますが、それにより外に出る機会が減り、孤独な高齢者の増加や健康に影響する恐れが十分に考えられます。バスやJRなどの公共交通機関を充実させようとしても、採算がとれず、人員不足も重なり、住民の足がなくなることは確実です。ライドシェアは当然ながら、自動運転への取り組みを先んじて行ってほしいと思います。


思ったことを書き殴りましたが、どれも言うは易し、日本全体に言えることばかりだと思います。飛騨地域の住民として、1つでも何かに貢献できるように活動していきたいと思います。

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