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第6回 少女の頃(3)

香子が10歳の時に、父為時は弟惟規(のぶのり)に漢籍の講義をします。『史記』の勉強をしていて、香子は近くで聴いていました。

ある日、暗唱の試験をすると、弟惟規が言えないのに、ただ聴いていただけの香子がすらすらと言うのを聞いて、為時は、
「ああ、この子が男の子だったら・・・」と嘆いたと、香子の『紫式部日記』に回想として載っています。女では当時学者になれなかったので。

しかし弟の惟規は優秀な姉にコンプレックスを抱いていたでしょうか。38歳の時、行かなくてもいいのに父為時がいる越後へ行こうとして途中で客死してしまいます。

為時の兄に為頼、為長の二人がいて、特に長兄の為頼も歌人であり、香子はこの伯父から感化されたようです。そして祖母富子から、昔のいろんな話、例えば葵祭りで兄が大怪我をした事なども聞いていたでしょうか?(続く)


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