古き良き薬!? 長年にわたり日本人に親しまれてきたオロナインH軟膏の実力とは?
OTC医薬品の中には、僕たちの生活に馴染みの深い、昔ながらの薬も数多く存在します。近年では見かけなくなったかもしれませんが、僕が子供の頃は救急箱のようなものが自宅にあり、総合感冒薬や軟膏剤が常備されていたように思います。
そんな昔ながらのOTC医薬品の一つに、オロナインH軟膏を挙げることができます。株式会社大塚製薬工場が製造販売する同薬は、クロルヘキシジンのみを有効成分とする極めてシンプルな外用剤です。
一方で、その効能効果は「にきび、吹出物、はたけ、火傷(かるいもの)、ひび、しもやけ、あかぎれ、きず、水虫(じゅくじゅくしていないもの)、たむし、いんきん、しらくも」と多岐にわたります。ある種の万能薬であるが故に、古き良き薬として長年にわたり親しまれてきたのでしょう。
副作用の心配も少なく、安全性が高いと認識されているオロナインH軟膏ですが、製剤添付文書には以下のような記載があります。
長きにわたり、経験的に用いられてきたオロナインH軟膏は、その有効性に関するエビデンスを意識する機会も少ないと思います。今回は、オロナインH軟膏の有効性や安全性に関するエビデンスと、販売実務のロジックを整理します。
半世紀もの歴史を有するオロナイン軟膏
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