緩和ケアにおけるセデーション

Effect of continuous deep sedation on survival in patients with advanced cancer (J-Proval): a propensity score-weighted analysis of a prospective cohort study.

かなり貴重な報告だと思います。緩和医療において死亡前の持続的鎮静、いわゆるセデーションですが、これまであまり良いイメージに乏しく、生存期間を短縮するのではないか、という懸念すらありました。

この研究は日本の58施設で行われた大規模前向きコホート研究の二次解析です。20歳以上で緩和ケアを受けた進行癌患者さん2426人が研究対象となり追跡できた1827人が解析されています。この内269人がセデーションを受けています。生存期間中央値はセデーション群で27日、非セデーション群で26日と、その差は-1日で統計的有意な差はありませんでした。ハザード比は0.92(0.81~1.05)

傾向スコアマッチング後はセデーション群で22日、非セデーション群で26日と、こちらも統計的有意な差はありませんでした。セデーション開始からの生存期間ではないものの、緩和ケアにおいてセデーションを実施することがネガティブな選択肢ではなく、治療の一つとしてポジティブな選択肢になり得ることを示しています。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26610854

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