論文結果を多面的に考察する2つの視点

 この連載(マガジン)の最後に、臨床医学論文の結果を多面的に考察するために役立つ2つの視点を紹介しよう。一つ目は「効果の絶対的な大きさ」、そして二つ目は「効果に対する割引現在価値」である。

効果の絶対的な大きさ

 一つ目の視点として、効果の絶対的な大きさについて解説する。一般的に臨床医学論文における薬の効果は、アウトカムに関するパラメータを介入(あるいは曝露)群と、非介入(あるいは非曝露)群の比で表現する。追跡期間当たりの発症率の比であればハザード比、曝露割合のオッズの比であればオッズ比などの指標が用いられる。しかし、これらはいずれも相対的な指標であり、アウトカムを発症しなかった集団についての視点が大きく欠けている。

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