ケトプロフェン貼付製剤による過敏症、どんなことに注意すれば良いですか?
陽ざしが強く降り注ぎ、肌を露出する機会の多い季節に注意しなければいけない薬の副作用として、光線過敏症をあげることができます。実際には初夏よりも少し前の段階でその発症リスクが高まるようで、2004年4月から2016年11月における430587件の光線過敏症事例を解析した研究によれば、そのピークは4月~5月でした【1】。
【図1】薬剤性光線過敏症の月次報告率比(参考文献【1】より引用)
光線過敏症は日光を浴びることにより、かゆみを伴う発疹や、発赤、炎症が生じる皮膚疾患です。そのメカニズムは光毒性によるものと、光アレルギーによるものに分けることができます【2】。一般的に光毒性による光線過敏症の方が、その発症率が高く、発症リスクは光を浴びた量と薬の用量の双方に依存します【3】。
光毒性による光線過敏症は皮膚に残存する薬物、またはその代謝物が光を吸収することで反応性に富む物質に変化し、この物質が皮膚細胞組織を傷害することで発症します。他方、光アレルギーによる光線過敏症では、薬またはその代謝物の光化学反応によって抗原が形成され、抗原抗体反応により発症します【4】。
光線過敏症を引き起こす薬は利尿薬や降圧薬、抗菌薬など多岐にわたります【5】。この記事では、日常臨床で処方頻度が高く、かつ光線過敏症がしばしば報告されているケトプロフェンの貼付製剤について、服薬説明に役立つエビデンスを紹介したいと思います。ちなみに、ケトプロフェンによる光線過敏症が最初に報告されたのは1985年だそうです。
ケトプロフェンの貼付製剤による光線過敏症
ケトプロフェンの貼付製剤を製造販売している久光製薬からは、光線過敏症に関する安全性情報がたびたび発信【6】されており、服薬説明の際にも患者指導箋を添付したり、薬剤使用中は強い陽ざしを避けるよう、注意喚起を行っていると思います。
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