医療に癒しはあるのか。

あらゆる身体不条理は「もの」ではなく「こと」なのであり、「出来事」に過ぎない。僕たちは”疾患”という「もの」が確かに存在するよう確信しているが、疾患とは本来、病名により具体化、つまり「もの」化された「こと」なのだ。この「もの」化、すなわち「こと」から「もの」への思考プロセスを師匠は「医療化」1)あるいは「事例化」2)とよぶ。

医療はあらゆる身体的な出来事を「事例化」するものであり、その本質は「こと」の「もの」化にほかならない。身体の出来事という抽象的な事象をコトバつまり病名により具体的なモノとして記述する。

そこに癒しはあるのだろうか。地域医療ジャーナル特集記事にむけて思索中。

[参考文献]
1)名郷直樹.医療化の功罪.精神医学;2013.28(11)1401-1406
2)名郷直樹.精神疾患への早期介入の是非 ─認知症を例に─.治療.2016;98(5)

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