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東和&サワイ;後発医薬品2社の第1四半期決算を徹底比較!

 後発医薬品企業大手2社、東和薬品とサワイグループホールディングスの2025年3月期 第1四半期決算が出そろいました。
 この記事では、両社の決算資料や決算短信の情報を踏まえて、両社の強みや弱み、今後の成長戦略などを分析します。なお、本記事はAIによって分析を行っております。正確な情報につきましては、以下の開示資料でご確認ください。

サワイグループホールディングス株式会社
2025年3月期 第1四半期決算短信〔IFRS〕
2025年3月期第1四半期 決算説明資料
東和薬品株式会社
2025年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)
決算補足説明資料

東和薬品とサワイグループホールディングスの成長性に関する批判的考察

東和薬品
**売上高の成長**:

 2025年3月期第1四半期の連結売上高は、前年同期比14.7%増の625億円と好調である。 これは、為替レートが円安に動いたこと、欧州においてBtoBとBtoCの両方が好調であったこと、国内製品への需要の高まりなどが要因である。
 しかし、2025年3月期通期の売上高予想は2,615億円であり、前期比では14.7%の成長であるが、2024年3月期が22.8%増であったことと比較すると、成長は鈍化する見込みである。
 
**収益性の低下**:
 売上高は堅調に推移しているものの、2025年3月期通期の営業利益予想は196億円で、前期比11.1%増にとどまる見込みである。 これは、研究開発費などの販管費の増加が要因であると考えられる。 特に海外セグメントにおいては、研究開発費の増加などにより、セグメント損失が拡大している点が懸念材料である。
 
**ジェネリック医薬品への依存**:
 東和薬品の事業ポートフォリオは、ジェネリック医薬品への依存度が高いジェネリック医薬品市場は、薬価改定や競争激化などの影響を受けやすい市場であるため、収益が不安定になる可能性がある。
 
**海外事業の収益化**:
 東和薬品は、海外医薬品事業の強化と拡大を成長戦略の柱に据えているが、現状では赤字が続いている。 海外事業の黒字化は、今後の重要な課題と言えるだろう。
 
サワイグループホールディングス
 **売上高の成長**
 2025年3月期第1四半期の連結売上高は、前年同期比2.7%増の443億円と、東和薬品と比較して低い成長率である。
 これは、2020年末以降、医薬品業界全体で発生している供給不安の影響により、同社のジェネリック医薬品の出荷停止・限定出荷が影響していると考えられる。
 しかし、同社は供給不足解消に積極的に取り組み、2024年度の生産数量は前期比18億錠増を見込んでおり、2025年3月期通期の売上高は2,020億円と、前期比14.2%の成長を見込んでいる。
 
**収益性の向上**:
 2025年3月期第1四半期の連結営業利益は、前年同期比31.6%増の609億円と、増益を確保している。 これは、原価高騰への対応として、生産効率の改善や低薬価品を中心に価格に影響分を転嫁したことが要因である。
 
**不適切試験による影響**:
 サワイグループホールディングスは、子会社である沢井製薬において不適切な試験を行っていたことが発覚し行政処分を受けた。 この影響で、信頼回復のための費用が発生しており、企業イメージの低下による売上への影響も懸念される。

**新規事業の創出**:
 サワイグループホールディングスは、デジタルヘルス領域への積極的な進出や、健康食品事業への参入など、新規事業の創出にも力を入れている。 これらの新規事業が、今後の成長の柱となるか注目される。

東和薬品とサワイグループホールディングスの財務指標比較

●経営成績概観:
 
売上高は東和薬品がサワイグループホールディングスを上回る。 売上高営業利益率: 東和薬品は2025年3月期第1四半期で8.9%、通期予想では6.9%と、サワイグループホールディングスの同時期13.7%、通期予想12.9%と比較して低い数値となっている。
 これは、東和薬品の外部委託製造関連費用が想定より少額になったことで売上原価率が低下したものの、ジェネリック医薬品業界全体が厳しい価格競争にさらされていることが影響していると考えられる。
 一方、サワイグループホールディングスは、原価高騰の影響分を価格に反映することで収益性を維持している。
 
 親会社株主に帰属する四半期純利益はサワイグループホールディングスが東和薬品を大きく上回る。
 これは、サワイグループホールディングスが米国事業を売却したことによる一時的な関係会社株式売却益151億5300万円 の計上が大きく影響している。
 
●自己資本比率:
 
東和薬品は2025年3月期第1四半期で36.1%と、サワイグループホールディングスの同時期57.4%と比較して低い数値となっている。 これは、東和薬品が長期借入金を積極的に活用して設備投資を行っていることが影響していると考えられる。 一方、サワイグループホールディングスは、自己株式取得による資本効率の改善を進めている。
 
●自己資本比率:

 東和薬品は2025年3月期第1四半期で売上高に対する研究開発費の比率が5.3%、通期予想では5.4%と、サワイグループホールディングスの同時期5.3%、通期予想5.4%とほぼ同水準となっている。 両社とも、ジェネリック医薬品事業に加えて、新規事業や新薬開発にも積極的に投資を行っていることがうかがえる。
 
●生産能力:
 東和薬品は2024年3月末時点で年間生産能力140億錠、2026年度中には175億錠に拡大予定である。 サワイグループホールディングスは2024年度中に年間生産能力250億錠体制を目指している。 両社とも、ジェネリック医薬品の安定供給に向けて積極的に生産能力の増強を進めている。

東和薬品とサワイグループホールディングスのSOWT分析

東和薬品
**強み (Strengths)**
* **高い技術力と豊富な製品ラインナップ:** 東和薬品は、ジェネリック医薬品業界において長年の実績と高い技術力を有しており、322成分749品目(2024年6月時点) のジェネリック医薬品を提供している。
* **積極的な設備投資による生産能力の拡大:** ジェネリック医薬品の安定供給という社会的責任を果たすべく、東和薬品は積極的な設備投資を行い、2024年3月末時点で年間生産能力140億錠体制を確立した。さらに、2026年度中には175億錠体制を目指し、増産を計画している。
* **M&Aによる事業規模の拡大:** 東和薬品は、2024年1月にカマタ、同年4月には九州医薬とサン・フレイルラボラトリを連結子会社化するなど、M&Aを通じて事業規模の拡大を図っている。
 
**弱み (Weaknesses)**
* **海外セグメントの収益性:**
東和薬品の海外セグメントは、為替レートの変動や研究開発費の増加などにより、2025年3月期第1四半期においてセグメント損失を計上している。
* **研究開発費の増加:** 東和薬品は、新製品開発やニトロソアミン類への対応などにより、研究開発費が増加傾向にある。
 
**機会 (Opportunities)**
* **ジェネリック医薬品市場の拡大:** ジェネリック医薬品に対する需要は依然として高く、市場の拡大が見込まれる。
* **健康関連事業の多角化:** 東和薬品は、「ヘルスケアパスポート」を軸に、治療・予防・介護支援の観点から健康関連事業の多角化を進めており、新たな収益源獲得の可能性を秘めている。
* **海外市場への展開:** 東和薬品は、Towa Pharma International Holdingsを通じて欧州及び米国市場でのジェネリック医薬品事業を展開しており、海外市場での更なる事業拡大の可能性を有している。
 
**脅威 (Threats)**
* **薬価改定による収益圧迫:** ジェネリック医薬品業界は、薬価改定による収益圧迫という課題に直面しており、東和薬品もその影響を受けている。
* **ジェネリック医薬品に対する信頼感の低下:** 一部企業における品質問題に端を発したジェネリック医薬品に対する信頼感の低下は、東和薬品にとっても大きな脅威となる。
* **原材料価格やエネルギー価格の高騰:** 原材料価格やエネルギー価格の高騰は、東和薬品を含むジェネリック医薬品業界全体にとって収益を圧迫する要因となる。
 
サワイグループホールディングス
**強み (Strengths)**
* **業界トップクラスの生産能力:**
サワイグループホールディングスは、2024年度中に年間生産能力250億錠体制を目指しており、業界トップクラスの供給能力を誇る。
* **積極的な事業ポートフォリオの転換:** サワイグループホールディングスは、米国事業を非継続事業に分類し売却するなど、収益構造の転換を積極的に進めている。
* **デジタルヘルス領域への進出:** サワイグループホールディングスは、PHR管理アプリ「SaluDi」の開発や、NASH領域におけるDTxの開発など、デジタルヘルス領域へ積極的に進出している。
 
**弱み (Weaknesses)**
* **過去の品質問題によるブランド毀損:**
サワイグループホールディングス傘下の沢井製薬は、過去に品質問題による行政処分を受けており、ブランドイメージの回復が課題である。
* **米国事業からの撤退:** サワイグループホールディングスは、米国事業を売却したが、売却に伴い損失を計上しており、その影響が懸念される。
 
**機会 (Opportunities)**
* **ジェネリック医薬品の安定供給への貢献:**
サワイグループホールディングスは、高い生産能力を活かして、ジェネリック医薬品の安定供給に貢献することで、信頼回復を図ることができる。
* **PHR事業の拡大:** サワイグループホールディングスのPHR管理アプリ「SaluDi」は、自治体や医療機関との連携を拡大させており、今後の成長が期待される。
* **新薬開発への挑戦:** サワイグループホールディングスは、オーファン疾患領域における新薬開発にも取り組んでおり、新たな収益源獲得の可能性を追求している。
 
**脅威 (Threats)**
* **薬価制度改革:**
薬価制度改革は、サワイグループホールディングスを含むジェネリック医薬品業界全体の収益に影響を与える可能性がある。
* **業界再編の加速:** ジェネリック医薬品業界では、業界再編が加速しており、サワイグループホールディングスもその影響を受ける可能性がある。
* **競争の激化:** ジェネリック医薬品市場は、新規参入や既存企業の事業拡大などにより、競争が激化しており、サワイグループホールディングスもその圧力にさらされている。
 
 現時点では、サワイグループホールディングスの方が売上高営業利益率、売上高経常利益率ともに高く、収益性で優位性を持つ。
 東和薬品は、M&Aによる規模拡大と、国内事業の安定収益を基盤に、海外事業の収益性改善、健康関連事業の多角化による更なる成長を目指す。
 サワイグループホールディングスは、業界トップクラスの生産能力を背景に、過去の品質問題によるブランド毀損を払拭し、デジタルヘルス領域などの新規事業を育成することで、収益の柱を築くことが重要となる。

強みと機会の活用、弱みと脅威の克服

 東和薬品は、国内ジェネリック医薬品市場で築いた強固な事業基盤を活かしながら、成長市場である海外市場での売上拡大を目指していくと考えられる。 そのためには、海外事業の黒字化が課題となる。
 また、薬価改定による収益圧迫リスクを軽減するため、健康関連事業などの新規事業の育成にも注力する必要がある。 さらに、ジェネリック医薬品に対する信頼回復のため、品質管理体制の強化は不可欠である。
 
 サワイグループホールディングスは、業界トップクラスの生産能力を活かして、ジェネリック医薬品の安定供給体制を強化し、市場シェアの拡大を目指していくと考えられる。
 その一方で、不適切試験問題による信頼失墜を克服するため、品質管理体制の抜本的な改革を進め、信頼回復に努める必要がある。 さらに、デジタルヘルス領域への積極的な投資を継続することで、新たな収益源を確保し、持続的な成長を実現していくことが期待される。

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