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『毒酒を飲む民族』

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『毒酒を飲む民族』

■■■地方には毒酒を飲む習慣のある民族がいるとされている。
褐色肌に黒~茶色系の髪の特徴を持っており、目の色は差異はあるものの暖色に寄っている。
定住地は無く、旅をしながら立ち寄った市場で、質の良い織物や発見した鉱石類、肉や魚の干物などを売っては生活に必要な物品を仕入れているようだ。
毒酒を売買することはないが、噂によればその毒酒は実は毒酒ではなく極々希少な酒であるため、盗賊が手出しできないように触れ回った話ではないかとも言われている。

しかし、旅人たちのいくつかの目撃報告によると、かの民族達の連れているポケモンの顔ぶれは『毒』を生成できる者達も多く見受けられたとあり、噂の信憑性は薄い。
実際に毒酒を飲む民族だとして、彼らに身体的異常が出ない理由を考えるのであれば、異様な毒への耐性がついていることが前提になる。
毒を生成できるポケモン達と共に長らく共生してきた歴史があるのであれば、耐性が強いのも頷けるが、全員が全員そうとも限らない。

毒に関する文献で興味深い記述がある。
とある歴史書にある、王権があった時代の話。一時栄えた王国が滅びるまでの記述の中に、不況の波が押し寄せた数十年もの間、口減らしが行われていたとされている。
その口減らしの方法として城下の民に毒酒を振る舞っていたのが一つだとある。
苦しみもがく確実に死に逝くであろう民たちを、兵達が野ざらしに捨て置くようにまとめていたとされることには、時代背景の厳しさや王権制度の逆らえなさを伺える。
ただ、この記述には毒酒を飲んだ民全員の死を確認したということは書いておらず、可能性の話でいえば苦しみながらも死に絶えることはなく、生き逃がれた民もいるかもしれないと思えないだろうか。

この生き逃れた民がいると判明すれば、毒酒を飲む民族のルーツに近づくかもしれない。
とはいえ、一番手っ取り早いのはその民族達との接触及び祖先の歴史を知る者に話を聞くことなのだが、同研究者間でそれが叶ったことは無い。
ここ20年ではこの地方での目撃情報が一つも得られず、別の地方へ移り住んでしまったのか血筋が途絶えたのか謎も多い。
少数民族でありつつも代を重ね各地へ血筋を残し渡り歩いていると信じ、私も自分の足で旅をしながら探すことをしよう。

****/**/**  S.K

過去の論文資料の一部より抜粋

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