シュール会長

X(旧Twitter)にて参加している企画のキャラクター達のお話を主に載せています。

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最近の記事

四叶草

日差しが強くなるお昼時。ラウルタウンで催されている音楽祭の賑やかさも一層溢れかえっている。 人の往来に気を付けながら一通り歩き回っていたタオズは、ハンカチを取り出して汗ばむ額に押し当てた。 暑いのは夏真っ盛りのせいでもあるが、もう一つ理由がある。 「うーん……?キミは誰かの手持ちではなかったりするの?」 肩から首周りにかけて鎮座するピンク色のオオタチに話しかけ疑問符を浮かべる。 冬場ならば、そのふわふわの毛に覆われた身体の温かさが嬉しかったかもしれないが、この季節的には相

    • 記念写真

      『全問正解デス』 誘い沼の試練であるクイズを連続で三問正解すると、ロボットで出来ているモクローが係員からチップをもらうように案内をしてきた。 近くにいるイエローチームの係員からチップを受け取り仕舞いつつ、次はどうするかぼんやり考える。他にも試練があったり、自分の所属するグリーンチーム以外の人とチップを賭けたバトルをしたりすることは出来る。が、手持ち達がはりきって落ちているチップをどんどん拾ってくるものだから、はぐれないように見ているので疲れた部分もある。 近くに居たオワゾ

      • カジノチップ

        ふぅ、と一つ煙を吐き出す。 熱を帯び始めた葉巻のバニラの香りが漂い、室内へ霧散していく。 手元にあるカジノの経営書や雇用に関する書類、自身へ宛てられたパトロンからの手紙の山々を眺める。 傍にはオペレーションディレクターとして業務に携わっている初老の男性がおり、ひと月のカジノ運営の動向や機材設備の不具合の有無、従業員の持ち場配置に関して等々の報告をしている。簡潔に重要度の高い順に報告をまとめてくる彼には、自分がこちらへの不在時の最高責任者ともなるため信頼も厚い。 「つきまして

        • 第一の課題

          「この部屋がレンガの部屋だから、自由に使って良いぞ」 案内されたのは、同じような扉が複数並んでいる内の一つの前だった。 自分よりすごく背の高い兄ちゃんは、オレがそわそわして落ち着かない様子を見て笑うと、その扉の取っ手を掴み開いて中に入るよう促してきた。 「わぁ……!すっげー広い部屋!!」 「そうか?あー、子供目線だと広く感じるのか」 「エンとカシャと一緒に寝そべっても大丈夫そう!!」 な!と、後ろからついて部屋に入ってきたラビフッドのエンと一緒にはしゃいでしまった。 部

          成長抑制

          コランダの秋のイベントも終わりの時間が近づいてきた。 日も落ち始め、木々の葉を揺らす風も温度が下がり始めただろうか。 「……どこまで経験を積んでいるの?」 不意に問いかけられた言葉に私は首を傾げる素振りをするが、目の前の彼が何を言っているかは分かっている。 主語がなくとも、こちらを見てきた瞳が一刻だけ空へ向いたからだ。 鳥が羽ばたく音が聞こえる。 「プリュムは……本当はもう最終進化までいけるぐらいなんでしょう?」 「ドウデショウネ?ドウシテソウ思ッタノカ聞イテモ良イデス

          月光浴

          日が落ちるのが段々と早くなる季節を迎えたある日のこと。 夕食と湯浴みを済ませ、明日の移動に向けて持ち物の整理や地図の確認、そして勉強のまとめを静かにしていた。 自身のルーティンをほとんど崩さないトレーナーのレゼルは、室内の時計を見やりそろそろ就寝時間が近いのを確認する。 規則正しい生活により、こちらの地方へやってきてから身体の成長が著しく感じている。 何ら問題のないことではあるし、この年頃の男子ならば普通のことなのだと一緒に旅をしているオワゾから何度か言われている。 着てい

          『毒酒を飲む民族』

          ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 『毒酒を飲む民族』 ■■■地方には毒酒を飲む習慣のある民族がいるとされている。 褐色肌に黒~茶色系の髪の特徴を持っており、目の色は差異はあるものの暖色に寄っている。 定住地は無く、旅をしながら立ち寄った市場で、質の良い織物や発見した鉱石類、肉や魚の干物などを売っては生活に必要な物品を仕入れているようだ。 毒酒を売買することはないが、噂によればその毒酒は実は毒酒ではなく極々希少な酒であるため、盗賊が手出しできないように触れ回った話で

          『毒酒を飲む民族』

          このゆびとまれ!

          カラカラカラカラ。 ローラーのついた脚で道なりへ進む。 イベント会場であるエリューズシティからヘルヘイムの森へと出発し、一番行き易そうであるチェックポイントの一つ『帰らずの村』へ向かっている。 森の中の木々に囲まれ木漏れ日を度々見上げては、深呼吸をするため立ち止まる。 「私、とてもワクワクとドキドキでいっぱいで落ち着かないの。エルスターはどう?」 傍らにいるヤミラミへ話しかけ様子を見る。 彼はニィっと笑い頷いてその場で少し跳ねてゆっくりと先へ進んで行く。 この森はゴースト

          このゆびとまれ!

          鼓草の綿毛の行方

          気付けば崖に立っていた。  地平線の向こうまで続く深い青が瞳の奥を刺激する。  掌をふと見ると赤かった。 視界がぼやけていく中、その色ははっきりと自身の脳に警告を表す。  陸上だというのに酷く息苦しく、溺れるような錯覚に私は両の手で喉元を押さえた。   『海がいつまでも綺麗だったなら』  そう音に出したはずだったのだが、空気が抜けていくだけだった。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――― 木々の間を飛び抜ける。 拙者は四枚の羽を動

          鼓草の綿毛の行方

          企画や作成キャラまとめ

          【ポケ擬アパート】メデュー 【君と進むシオウの旅】あも&もにゃ 【ポケモンたちとトランプのセカイ】めろ 【トレーナー進化録2】ジェラート&シャーベット ・一期 ・二期 【海賊団オリジナルトレーナー】プラネット&メテノ達 【僕としっぽといちばん星】 ・ふぃな ・エルヴィス 【ノイトラール事件簿】ゾーイ&チュチュ 【トレーナー進化録3】 ◆モーメント◆ ・みなも&むらさめ ・一期 ・二期 ・すみもり&すす ・一期 ・二期 ・しらつゆ&くろむ ・一期 ・二期 【アル

          企画や作成キャラまとめ

          『呪いの物語』

          これはとある『ア≒イ』のお話。 魔法使いがいる湖畔からの帰り道。 イリーは一人思い悩みながらも歩みを進めます。 すると、木々の合間からお化けの友達や森の住人達が、元気のないイリーを見て周りに集まってきます。 「イリー元気ないね、大丈夫?」 「……えぇ、大丈夫。ちょっと考え事してるだけよ」 「ニアのこと?コルーのこと?」 妖精は様子を伺いつつ、葉っぱと木の実で作った冠をイリーに被せてきます。 返ってくるのは無言でしかなく、困ったように皆は顔を見合わせます。 「コル

          『呪いの物語』

          『呪いの物語』

          これはとある『ア≒イ』のお話。 雲一つない晴天だとしても、その光は届かないぐらいに暗い暗い森がありました。 そこには古びた廃墟のお屋敷があり、人気は一切無い。 人気は無いのですが、住み着いている人形のお化けの少女はおりました。 そのお化けの名前は『イリー』で、訪れる他のお化けのお友達や森の住人達と仲良くお茶会を催したりと楽しく過ごしているのです。 そんなある日。 お化けの少女は、素敵な素敵なお人形を作ろうと思いつきました。 自分だけの理想の素敵なお人形を。 組み上げる

          『呪いの物語』

          月のない踊り子

          パシャリ…パシャリ…。 足元に寄ってくる波を踏みしめ、夜の海を散歩している。 とても静かな黒く青い空間を照らすのは空に浮かぶ月。 この場所は7年前の合宿でもよく来ていた場所。 「おつきさま…」 月を見上げぽつりと呟く声は、波の音にさらわれていく。 風が長い髪をかき上げていく。 夜に考え事をするのは適切では無く、どんどん自分の暗い部分が漏れ出すようで嫌なのだが。 なんとなく、命の潮時を感じてしまった今では、別段もう良いだろう。 自分の大好きな『おつきさま』も、今はいない

          月のない踊り子

          花嫁の白金の剣

          きらめく無数の星。 高らかに吠え、素早く動く黒い狐へと向かって降り注ぐ。 自身を奮い立たせるために鼓舞した勢いで、その星を受けつつ真っ直ぐに向かっていく。 間もなく衝突。 同時に声が上がる。 「くろむ!猛進よ!」 「イモ!まるくなる!」 外殻のある星はその場で軸をずらさずに回転する。 くるくると回る残像は綺麗な円として存在した。 派手にぶつかる音。 回っていた星は衝撃を分散させていた様子で、あまりその場から微動だにせず、浮かんでいた。 対する狐は思い切りぶつかった反

          花嫁の白金の剣

          花嫁は人で無し

          すてきなはなよめさんになるためにはお料理が大事だと思ったの。 合宿に来て祭りごとの合間に暇をみては、炊事場を借りてお料理の勉強をしていた。 食堂のおば様方にレシピを学びつつ、応用ができるお料理や要領の良い時間短縮の秘訣などをメモしては実践に移してみたり、レパートリーの幅を増やす為にお料理ができる他の参加者さんと交流をしたり、充実していた。 そんな折に出会ったのがセンカ様。 お腹を空かせた様子で炊事場にやってきた様子だったのだが、どうやらお野菜が好きではないらしく、丁度出来上

          花嫁は人で無し

          光と影は対等に

          緊張した。 「トサキントっていうんだね、この子」 こんな感覚いつぶりだろうかと思う位に。 「釣ったら係の人に見せると良いんだっけ。探してこようかな」 あまり失礼のないように、敬語で、話を…したつもりだった。 違和感。 なんだろうか。勉強不足か…。分からないことがあるともやもやする。 「………あの」 当たり障りのないやり取りをして一瞬目線を逸らしたが、聞きたいことがあって顔を向ける。 彼は釣ったトサキントを、釣り竿と一緒に先へと行ってしまったようで、少し先の波打

          光と影は対等に