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このゆびとまれ!

カラカラカラカラ。
ローラーのついた脚で道なりへ進む。
イベント会場であるエリューズシティからヘルヘイムの森へと出発し、一番行き易そうであるチェックポイントの一つ『帰らずの村』へ向かっている。
森の中の木々に囲まれ木漏れ日を度々見上げては、深呼吸をするため立ち止まる。

「私、とてもワクワクとドキドキでいっぱいで落ち着かないの。エルスターはどう?」

傍らにいるヤミラミへ話しかけ様子を見る。
彼はニィっと笑い頷いてその場で少し跳ねてゆっくりと先へ進んで行く。
この森はゴーストポケモンも多く、波長が合うのだろう。たまにこちらを伺っては姿を消していくポケモンの姿も見受けられた。

普段はコンテスト会場や所属している会社へいるため、活動的なイベントへの参加をするのが久々だ。マネージャーへの交渉はかなり難儀を示されたものの、新しい物事への挑戦はコンテストでの演技演出へ大きなインスピレーションを得られるはずだと力説した。
自分自身あまり我儘を言うべきではない立ち位置なのは分かっている。危惧するべき事柄が他人より多いのも分かってはいるが、人並みに遊びに行きたい欲はあるのだ。

「色んな方と勝負をしたり協力したり、お話も出来たら嬉しいのだけど。冒険心ってこのことを言うのね、きっと!」

両の手を胸元へ当て、もう一度深呼吸をした後、先にいるエルスターを追い越す勢いで地面を蹴った。
「チェックポイントまで競争ね」と彼にアイコンタクトをし、どんどん森の奥へと進んでいく。
途中何度か道端の木々や石で転びそうになったのは森に住む悪戯っ子のせいだから大丈夫と、ここに居ないマネージャーへの言い訳を思い浮かべていたのは普段の行いのせいかもしれない。


▼チェックポイント『帰らずの村』

廃墟と化しているその村に到着し、近場の丸太へと腰を下ろす。
さて到着したは良いものの、ここでの試練はどうやってクリアするべきかと思案する。
村の住人であるゴーストポケモン達と『かくれんぼ』や『おにごっこ』をして勝つと良いという事前情報はあるが……。

「こういう遊びはジュナミが好きでしたね」

今回はお留守番させている色違いのエルフーンの名前が出る。それに同意するようにエルスターも二度頷いた。

「ゴーストポケモンを探すのも追いかけるのも難しそうね。かしこさ部門のトップであるあなたなら上手な連携が出来そうだけれども、連携相手がいなければそれも難しいかも?」

勿論自身も動くことは動くがやれることの限界もある。村の範囲もそうそう広いわけではないものの、壁などをすり抜けられたり姿を消したり出来る相手を対処するには手数が必要かもしれない。
手持ちを全て出すのも一つの案だが、どうせならと考えることもある。

「遊ぶなら、皆で遊びましょう」

手をパンっと叩いて立ち上がる。
村の入り口付近に陣取り、試練の同行者(遊び仲間)を募るため手を挙げる。

「一緒に遊んでくださる方は『このゆびとまれ』!チップを賭けた遊びでも、かくれんぼやおにごっこの遊びでもお集まりくださいな♪」

エルスターはその募り文句を聞いて首を傾げる。試練の同行者だけでなくバトルオアトリートの募集もし始めるとは、ちゃっかりしているトレーナーだ。
かしこさ部門のトップに君臨している身から言えば、コンテストマスターが居るという名乗りを上げれば集まりはもっと良いのではと思わなくもなかったが。……いや、彼女――ラリマールという人間は一参加者として楽しむことを望んでいるのが常だった。
それならば、こちらはその『てだすけ』をするまで。

「ヤーミッ!」

普通のヤミラミの手とは違う、キラキラと青く輝く義手を挙げる。物珍しさに村のゴーストポケモン達が近寄ってくる気配が感じられた。
こちらの面子集めは問題ないと思われる。

楽しい遊びとなるか厳しい頭脳戦となるかは、始まるまでは分からない。



帰らずの村入口にてラリマールとエルスター(ヤミラミ)が試練の同行者orバトルオアトリート対戦者を募集しております!
エンカウント自由となりますのでお気軽に!


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