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Yell note :Page10 朗読劇『Blue Love Theater』 感想

上記のつぶやきは会場に到着してアウェー感に打ちひしがれているぼく。

ということで2月16日~19日に開催された朗読劇の4日目に行って参りました。BLをテーマにした作品に触れるのは人生初ということで、推しさんこと荒井 瑠里さんの出演告知がされた瞬間から心理的ハードルがストップ高!
女性ファンが多い現場というと男性声優のみが出演する某イベントで最前席をぶち当てて小野友樹さんから爆レスをもらうという偉業を成し遂げた経験があるのですが(男性客が少なすぎて目立ってた)、イベント参加への躊躇はその時の比ではなかったです。

はてさて、そんな私は無事に朗読劇を楽しむことができたのか?順を追って振り返ってみます。
※内容のネタバレしていきますのでその点はご注意ください。

1.参加イベント概要

・イベント名
朗読劇『Blue Love Theater』(公演4日目 第1部)
・開催日時
2023-2-19 (日)  11:30~13:10頃
・開催場所
浅草花劇場(東京都)
・出演者(順不同、敬称略)
田中稔彦、平井雄基、梅田修一朗、荒井瑠里、竹田海渡、野辺シュウ
・syuの位置
8列目中央指定席
・備考
浅草「はな」劇場じゃないよ!浅草「か」劇場だよ!(今回初めて知った)

2.各話感想

今回の朗読劇には原作マンガが存在しているそうでオムニバス的にそれぞれの物語が展開されました。ちなみに私は原作未読勢なのですが、ポイントとなるシーンではステージのスクリーンに原作のコマが映し出されていたのですんなりとキャラの雰囲気を掴むことができました。

①「鮫は桜に恋をする」

普通の高校三年生である主人公・桜木 淳がある日オラオラ系の高校二年生・鮫島 理人にいきなり告白されて…という導入。30分くらいの短編ストーリー。
淳は「理人のようなイケメンヤンキーが自分のような平凡なヤツに告白してくるなんて何かの間違いでは?」みたいに戸惑っていましたが、「いやそこかい!!」と早速心の中でツッコミを入れていました。男から告白されること自体には疑問を抱かない世界観なのか…。

この回は理人役だった田中さんのワイルドさが存分に発揮されていて、少女マンガだったら間違いなく主人公に「おもしれー女…」とか言ってそうなキャラになっていました。椅子に座っている姿もガラが悪い感じになっていてファンはたまらなかったのではないでしょうか。

そして恋愛ドラマといえば欠かせない横恋慕さんとなる女生徒を荒井さんが担当。悪い顔してやがるぜえ~という表情に負けないくらいの悪辣さを発揮してましたね。こういう役柄はアニメとかでは中々お目にかかれないと思うので結構驚きでした。
だからこそ「淳を呼び出した清楚系女子」→「理人を狙う性悪ギャル」という役柄の変遷に驚いたお客さんも多かったのではないでしょうか。あのギャルは「焼きそばパン買って来いよ!」って言ってそうだあ…。

ストーリー的には王道の恋愛マンガだったので短い時間ながらもすっきりとまとまっていました。押しの強い理人がずっと「追う側」だったというのが女性向け作品っぽいなあ、と。男性向けの作品って淳のような冴えないタイプの主人公がハイスペックヒロインを攻略しよう!っていう流れが多いじゃないですか。(最近のラノベ系はまた違ったりするんですけどそれはさておき)

そして淳がトラブルに巻き込まれた後、彼の親友ポジションだった尾田っちも恋愛バトルに参戦してくるかと警戒していたらそんなややこしい展開にはなりませんでした。めでたしめでたし。

②「普通の恋愛」

会社の上司・文原 一良と部下・東 慶伊が共通の趣味をきっかけに付き合い始め、同性の恋愛にまつわる問題に向き合っていく…という60分ほどの中編ストーリー。

このお話は同性の同棲(ややこしい)や結婚における社会的立場についてストレートに描写されていて、普段そういった話題に触れることのない私にとって新鮮な作品となりました。
途中で出てくる未来ちゃん(未来くん?)が吐露していた「アセクシャル」という単語についても「聞いたことあるけどどういう意味だっけ?」と思っていたので自然な流れで解説の台詞があったのも助かりました。

このストーリーでは何といっても梅田さん演じる周弥(本日の横恋慕さんその2)の演技が抜群で、生気が薄く退廃的なのに(あるいはだからこそ)そのミステリアスさに真面目な文原は惹かれてしまったのかなあ、とか。文原との関係性は爛れていて湿度が高かった。そんな二人の顛末は恋愛における「執着」という側面が存分に描かれていたと思います。
そういえばラストで周弥はBarで働いてたっぽい描写がありましたが、付き合ってはいけない職業「3B」の「バーテンダー」ということでいいんですかね…。

そして文原と東を取り巻く人々ということで荒井さんは東のお姉さんやマンションのお隣さんである漫画家さん(この人男性ってことでいいんでしたっけ)などを演じていました。
彼女らは同性カップルに寛容で文原と東を応援してくれていて、人目をはばかることに悩んでいた二人にとって、そしてその二人を見守っていた観客にとってもほっと一息つけるキャラクターとなっていました。

とはいえ時折挟まれるモブキャラの会話や視線は必ずしも温かいものではありませんでした。昨今は性的マイノリティについて議論が活発になってきてはいますが、私を含め市井の人々にとってはまだまだ稀有な存在であり物珍しく見えてしまうのも事実でしょう。そういった「普通」を求められる空気感がじわじわと二人の行動や選択に影響を与えているというのもリアリティの一助になっていました。
だからこそ東のお姉さんや漫画家さんといった理解者であったり、Barのコミュニティは社会的制度とは別の意味で二人にとっての支えになってくれているのだと思います。そういう意味で「変わりつつ価値観にあなたはどう向き合いますか?」という問いを投げかけられたような気もしています。

それにしても東くんはしっかりしてるな~。自分が23歳の頃はあんなにちゃんと物事を考えてなかった……それは今も変わらんだろ!って言われそうですけど。

3.全体感想

普段の舞台や朗読劇は最前席(S席)狙ってるんですけどさすがに今回は日和りましたよねえ。客層どんな感じかなとTwitter見たら「(推しに会うから)ネイル可愛くしました~☆」みたいなキラキラ女子がたくさんいたもんだからギェエエエエエエエ!!ってなってました。陽のオーラを浴びすぎると奇声が止まらない病気に罹患しているので…。

まあ私の事情はどうでもいいので劇全体で感じたことをいくつか。

まず劇中で何度かキスシーンがあるんですけど、唇だけで音を出している人もいれば手の甲を使う人もいて面白いな~と思って見てました。話には聞いたことあるけどほんとにやってる!という職人芸に対する驚き。

あとはいわゆる「アンサンブルキャスト」として主役の脇を固めてくれたキャストの皆さんについて。
本編は基本的に主役の二人、ないしもう一人で話が進んでいくので、担当のサブキャラクターが出てくるタイミングって5分に1回とか10分に1回とか結構間が空くことになります。となると話の流れに上手く乗るためには喋っていない待機時間中もテンションや集中力を維持しなければならないわけで、当たり前といえば当たり前なんですけどやっぱりプロの皆さんはすごいなと思いましたね。

本編後のキャストトークについて。
荒井さんによると稽古は全てzoomで行われ直接の顔合わせは本番当日だったらしいのにも関わらず、息の合った掛け合いが披露されていたのはさすがでございました。
しかも主演を務めた平井さんと田中さんは朗読劇の経験が少ないようなのでなおさら大変だったのではないかと思います。体を使って表現する普段の舞台劇などとは色々と勝手も違ったでしょうし。

また、お知らせがあったとおり公演の模様は後日配信もされるということで参加できなかったファンの皆さんはもちろん、自分が参加した回を見返すもよし、別の回で役が変わったのを見てみるのもよしと色々な人に見てもらいたい朗読劇でした。
原作持ってる人はオーディオドラマみたいな活用もできるかもですね。

4.余談

今回会場となった浅草花劇場はドラマ推し武道第8話における「めいぷる♡どーる」のライブシーンのロケが行われた場所らしく、勝手にテンション上がってました。
探検がてらバルコニー席にも行ってみたんですけど映像で見たより狭くてイメージと大分違いましたね~。あそこでえりぴよさんが舞菜ちゃんたちと出くわしてテンパってたんだな~。

そしてちょうど1年前に同会場で朗読劇「銀河鉄道の夜」が開催されてたんですけど脚本演出が今回のBラブと同じく藤原 新太さんだったんですね。なるほどですよ!(私信)