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チェコ買い付け日記2023⑬ 「また、電車に乗って」

朝8時に宿を出てトラムに乗っていると、10歳くらいの子どもたちが乗ってきました。20人ほどの子どもたちに引率の大人が二人。遠足のようですが、英語で話しているので少し遠くから来たようです。それにしては景色にワクワクしているふうでもない。もしかしたら海外の日本人学校のように、チェコにある英語圏の国の学校なのかもしれません。
私はプラハ中央駅でトラムを降りましたが、子どもたちはそのまま乗っていきました。どこに行くのだろう。もしかしたら動物園かな、などと考えながら中央駅に続く公園の道を歩きます。

今日はプラハ中央駅から電車で1時間ほどの街パルドゥビツェへ。年1回の障害物競馬やジンジャーブレッドで有名だそうです。
初めての鉄道会社 Leo Express に乗ってパルドゥビツェを目指します。電車は前がずんぐりと丸っこい真っ黒な車体が、駅舎に一番近い端のホームに止まっていました。やはり汚れています。ただ、中はきれいでシートもゆったり。テーブルも付いています。

日本では電車が終点の駅で折り返す時に二人掛けシートを進行方向に向けますが、こちらではわざわざシートの向きを変えることはしません。この時も、中央駅で買ったハムとチーズを挟んだフランスパンのサンドイッチを食べながら、私は後ろへ向けて運ばれていきました。

パルドゥビツェもなかなか大きな駅です。今回は駅を間違えずに済みました。
駅舎は天井の高い長方形の箱のような作りで、上の方のタイルガラスの窓から光が差しています。壁にはチェコの地図に大きな街の建物を描いたタイル画があり、反対側も星座を描いた時計が壁を飾っています。
割と大きめの空間ですが店やチケット売り場が壁を埋めていて、電車を待つ人もおり、がらんとした感じはありません。

駅舎の隅にヤン・ペルナー(Jan Perner)という人を紹介するパネルがありました。調べてみると、1800年代にチェコ初の鉄道敷設に大きく貢献した人でしたが、30歳の若さで、しかも鉄道の事故で亡くなっています。視察旅行でパルドゥビツェへの帰りに、走る列車から身を乗り出して柱に頭をぶつけ、翌日亡くなったのだそう。かなり衝撃的な事故です。何か気になることがあったのでしょうか。ペルナーがチェコで最初の鉄道事故の犠牲者だというのは皮肉なことです。

30歳といえばまだまだ若者です。その年齢でプラハとパルドゥビツェを結ぶ鉄道建設という大きな事業を任され、それを成功させ、表彰までされていたペルナー。プラハで最初のターミナル駅マサリク駅の設計と建設にも関わっています。
私がこうやってチェコで電車に乗っていろんな街へ行けるのも彼のおかげです。

駅舎の外にもペルナーの銅像が建っていました。ペルナーは台の上ではなく、地面にすっくと立っていて、こういうところはチェコのおしゃれなところだなと感心します。ただし、暗い時間にここを通りかかったら、どきっとするかもしれません。


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