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チェコ買い付け日記2023⑦「チーズビルでの出来事」

ブルノ中央駅の横にある郵便局へ行くと、入り口に貼り紙がしてありました。どうやら「移転しました」という貼り紙のよう。地図も書いてあります。

プラハに移動する前に、買ったものを一度日本に送るための段ボールを買いたくて郵便局に来ました。
日本のようにスーパーでもらえるかもしれないけれど、チェコの郵便局の段ボールはデザインがかわいくてテンションが上がります。

移転先の地図を見ながら、ここが現在地で…?とキョロキョロしていました。こういう時にも方向音痴が顔を出します。
私の前にその貼り紙を見ていた若いお兄さんが「May I help you?」と言ってくれました。
「郵便局は移転してあのチーズビルの4階に入っているよ」
「え、チーズビル??」
お兄さんが指差す方を見ると、駅の向かいに確かに、漫画で描かれるチーズのようなビルがありました。色が黄色ければまさにチーズなのに、惜しい。
お兄さんは「僕も行くから一緒に行こう」と言って歩き出しました。

チーズビルはかなり近代的な建物で、4階の郵便局もガラスで区切られたすっきりした空間でした。
番号札を取って呼ばれた窓口へ行くと、さっき案内してくれたお兄さんが切手を買っていました。
窓口で「lepenka(段ボール)」と表示したスマホを見せて、段ボールが欲しいと英語で言うと、あっちの窓口へ行け、とチェコ語と身振りで示されました。なんだか面倒なことになりそうだなと思っていると、先ほどのお兄さんが「こっちだよ」と先に立って歩き出しました。
なんてすてきなお兄さんでしょう。

事前に調べた情報では、ブルノの郵便局は英語が通じるスタッフがほとんどおらず、対応もあまり良くないので心が折れそうになる、というようなことが書かれていました。英語もそんなに流暢ではないのに、私は荷物を送れるのだろうかと心配しながら恐る恐る来たので、お兄さんは救世主です。

「あっち」の窓口でもう一度同じようにして訊ねると、チェコ語と身振りで番号札を取れと言われました。そう、こうなるんじゃないかと思っていたのです。お兄さんはきちんと窓口の人に説明してくれました。
なんてすてきなお兄さんでしょう。
無事段ボールが買えると、お兄さんは「じゃあね」と言って帰って行きました。

段ボールと併せて荷物を送るための伝票ももらっておきました。前回プラハから送ったときに苦労したので、前もって伝票を書いて準備しておけば、少しでもスムーズに送れそうです。

後日、荷物をくくりつけたカートを引いて、もう一度チーズビルの4階にやってきました。
番号札を取ってから気づいたのは、伝票を忘れてきた…。
「前もって書いて準備しておけば、少しでもスムーズに送れそう」と、2箱分書いて、宿のテーブルの上に置き忘れてきました。
間抜けな自分を責めている間に、おじさんが座る窓口で番号が呼ばれました。
荷物を見せながら日本に送りたいと言うと、おじさんはすぐに伝票を出してくれました。私も書くのは3度目なのでスラスラ書けます。

ブルノからの発送はあっけなく終わりました。
窓口のおじさんはとても親切で、私とおじさんは、どちらも片言の英語で協力しながらスムーズに発送を終わらせたのでした。

途中一度だけおじさんが困った顔で尋ねてきたのは、神奈川と横浜、どちらがcityなのか、でした。

チェコから荷物を送るようになって日本の住所が長すぎると思うようになりました。
チェコの住所は5桁の郵便番号と、部屋番号、通りの名前+番地、市の名前、Czech Republic (チェコ共和国)で終わり。プラハやブルノのような大きな街でも同じ。
対して日本の住所は街の規模によって違いますが、私の住む横浜市は長くて、7桁の郵便番号と、部屋番号、町名+番地、区の名前、市の名前、県の名前、Japan。
チェコ人のおじさんが困惑するのもわかります。
そして伝票の記入欄の小ささに、こちらも困惑するのでした。

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