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チェコ買い付け日記2023⑨「蚤の市と街の造り」

週末は蚤の市です。
土曜と日曜は飲食店以外のほとんどの店が閉まっているのですが、その代わりに蚤の市が開かれています。

プラハではU Elektryで毎週土日に開かれる大きな蚤の市が有名です。
ここでは入場料が必要。去年は20czkだったのですが今年はなんと50czkに値上がりしていました。円のレートも変わっているので、去年は100円余りで入れたのが今年は320円ほど。もちろんそれでも安いのですが、蚤の市に限らず全てのものが去年より少しずつ値上がりしていて、中にはこの入場料のように倍の値段になっているものもあり、買うのを躊躇うことも何度かありました。
それでもU Elektryの蚤の市は満足のいく、というかとても楽しい買い付けでした。

U Elektryには朝8時半ごろに到着しました。蚤の市はすでに始まっていて全ての店が品物を並べ終わっていています。会場は買いに来た人で賑わい、会場へ入る車が列を作っています。
値上がりした入場料を払って中へ。なんせ広いのでどんどん見ていかなければ間に合いません。早い店は14時ごろには撤収してしまいます。
本当にいろんなものを売っていて、食品や洋服、文房具、電化製品や自転車も。本当は自分が買わない物もゆっくりじっくり見たいけれど、そんな時間はありません。

今回一番嬉しかったのはチェコ語の活字セットと昔のゲームを見つけたこと。
活字セットはゴム製のアルファベットスタンプとスタンプ台やピンセットなどが紙の箱に入っています。箱のイラストもレトロで可愛い!
スタンプ台はインクがない状態で、アルファベットも欠けがありそうですが、迷わず買います。
ゲームは今でもパッケージを変えて売られているもので、小人の帽子をシーソーのような台で飛ばして落ちた穴の点数を競うシンプルなゲーム。これも箱のイラストが可愛くて迷わず購入です。

大きな蚤の市以外にも、プラハの街のあちこちで、今週はここ、次の週はあそこ、というふうに小さな蚤の市が開かれているようです。
今回は運良く2つの蚤の市に行くことができました。SNSを介してプラハ在住の方に教えていただいた蚤の市で、どちらも出店者30〜40人くらいの小さなもの。その時々で出店者も品物も違う、ほとんどが家の不用品を持ち寄って開かれているようです。
事前に調べてもなかなか情報に辿り着けなかったので、本当にありがたいことです。

中にはアパートの中庭で開かれている蚤の市もありました。
蚤の市は近くまで行けば人だかりですぐにわかるはず、と思っていたのに、アパートが立ち並ぶ通りは閑散として、どこにもそれらしいところが見当たりません。
ウロウロ、キョロキョロしていると、私と同じようにウロウロ、キョロキョロする人たちが、通りがかった地元の人に何かを聞いていました。これは蚤の市に来た人だろうと当たりをつけ、私もついていきます。
そこはさっき近くまで来た場所。どう見ても行き止まりに見えたので引き返してきたのですが、建物の中庭に回る道があり、それを抜けると緑に囲まれた素敵な蚤の市がぽっかりと顔を出しました。まるで別の世界へ出てしまったようで、しばらくは呆然とその風景を眺めていました。

日本ではあまりないけれど、建物の裏側にそのブロック共有の中庭があるという造りは、世界中でよく見られる街の構造のような気がします。外側の道沿いはぐるりと建物が密着して囲んでいて、内側の空間を駐車場として使ったり、共同で洗濯物を干す庭として使ったり。行ったことはないけれど、ヨーロッパだけでなく中東や中国でも、そういう場所が本に出てきたり映像で見た覚えがあります。
そういえばプラハでもブルノでも、ブロックの中に通じる通路があって、そこにカフェやお店があったり、向こう側へ抜ける通路になっていることもあります。オープンになっているとなかなか気がつかないけれど、確かに同じ構造です。
これから街を歩くとき、このぐるりと隙間なく囲まれた建物の内側に、ここに暮らす人たちの、外には見せない場所があるのだなと想像するのは、新しい楽しみです。

蚤の市で出されているものを見ながら歩いていると、なんだか見慣れたものの絵が見えたような気がしました。なんだろう。
近づいてみると、コットンバッグに電柱と張り巡らされた電線のイラストがプリントされていました。アジアっぽいけれど、もしかしたら日本かな、と思いながら重ねてあったプリントの絵を見ていくと、鯉のぼりや鏡餅、門松などが描かれています。
聞くと売り手のお兄さんの奥様がアーティストで日本が大好きなのだとか。今も日本にいるそうです。
日本人の私がチェコを好きで、チェコの風景が描かれたヨゼフ・ラダの絵を探したり、チェコの街の写真を撮り、チェコ人のアーティストが日本の風景を描く。誰がどこから見るかによって風景や物はアートになったり日常になったりします。
せっかくの出会いなので電線プリントの丹色のコットンバッグを購入しました。
今、日本で活躍しています。


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