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素敵な不毛

彼の愛する人がGUの服ばかり着てると知った日から私はそのお店に行かなくなった

平凡な人が家庭を持ち、小さい人を養うということは
そういう自分にかけるお金を削って
生活していくことなんだろうなと頭では分かる
だけど格安スーツを着させられて出勤する彼を見ると
「幸せとは何か」と考えずにはいられない

——まだオレンジの光の先にある「退屈」を
「幸せ」と思えるほど私はまだ歳を重ねてない







今年も、あと半月で終わる


最近やたらと枕詞のように付いてる”平成最後”
というワードは流行語大賞1位でいいんじゃないか
なんて事を思ってしまう


そうだ、今から平成最後のクリスマス、大晦日に
お正月がやってきてバレンタイン、ホワイトデデー
が過ぎ去ればいつのまにか新しい元号になり
私は長い長い人生のモラトリアムが終わる

あぁ、、、
「無知」であることが
最大の魅力だった今までから一転して
あと数ヶ月後には「無知」であることは
最大の罪になって知らないことは自己責任として
自らの不利益になり降りかかってくるようになるのだ

絶対的価値のあった女子大生ブランドも残り数ヶ月...
有限なモノはいつだって最高に美しくいづれ朽ちる
造花より生花の方が美しいのはそのせいだろう



いつもそうだった
私は私が一番欲しいものを目の前にすると
圧倒されて引いてしまい
「そんなの欲しくないフリ」をしてしまう
そのうちに次第と自分が分からなくなって
何かを埋めるために孤独を愛した

そしてまた、孤独を愛する男たちに惹かれ
彼らとどちらからともなく有限の時間を過ごすのだ

私の大学生活はこういった不毛な
出来事の繰り返しだったのかもしれない

だけど、こんな不毛な時間でもあの瞬間の私は
たしかに彼らに愛でられていたし大切な時間だった
私にとっても彼らにとっても大切な事だった
だから、これを「素敵な不毛」だと呼ぶ事にしよう



———土日やクリスマス、お盆にお正月など連休は
パタリと連絡がこなくなる彼に嫉妬して
私は彼からのLINEを未読無視する。という
ちっぽけな反逆を時々する、いま




......あぁ素敵な不毛である




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