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「妻がマルチ商法にハマって家庭崩壊した僕の話。」とアムウェイ、そしてマルチ商法規制を変えるための活動のこと。

2年前、突然私の職場に、一冊の本が届きました。
「妻がマルチ商法にハマって家庭崩壊した僕の話。」

著者は「ズュータン」さん。
Twitterやnoteで、マルチ商法被害について、情報発信されていた方です。
彼のnoteは30万PVを超える大きな反響を呼び、この本ができたのです。

「ズュータン」さんが贈ってくださった本に、添えられたお手紙に「消費者相談員として様々な注意喚起をされているツイートをいつも参考にさせていただいておりました。」と書いていただいていて。
嬉しくて、涙が出ました。

と、同時に。
記された被害の数々(この本には著者、「ズュータン」さんの体験の他、SNSを通じて知り合った「被害者」の方々の体験を記してくださっています)を読ませていただいて、相談員として胸が痛く、消費者行政はもっと、マルチ商法の被害に真剣に取り組むべきだったのではないかと。
申し訳なく、情けなく、涙が出ました。

本を出されたあとも、「ズュータン」さんはマルチ商法の問題を伝えてくださっていました。

しかし、「ズュータン」さんの活動を快く思わない人たちもいて。
昨年1月、「ズュータン」さんは、Twitterアカウントを消し、noteも消してしまわれたのです。

その年の10月、マルチ商法業界に大きなニュースが流れました。

「日本アムウェイ合同会社」が特定商取引法違反により、消費者庁より行政処分されたのです。アムウェイはこの前年に、違法勧誘を行い逮捕者を出していました。

この「日本アムウェイ合同会社」こそが、「ズュータン」さんの家族が崩壊することになった原因のマルチ商法業者です。

「妻がマルチ商法にハマって家庭崩壊した僕の話。」には、マルチ商法にハマった妻が、「X社の空気清浄機なら寝ている間に花粉はもちろん、セシウム、インフルの菌など完璧にとれることを知りました」など、X社の商品について誇大な説明を繰り返すことや、X社会員が「子宮頸がんのワクチン、娘さんに絶対受けさせちゃだめよ」など不安を煽る言動を繰り返していることが、記されています。

なぜ、「ズュータン」さんは、「X社」がマルチ商法業者「日本アムウェイ合同会社」であると書けなかったのか。
なぜ、マルチ商法の被害者である「ズュータン」さんは、アカウントを消すまで追い込まれなければならなかったのか。
「消費者相談員として様々な注意喚起をされているツイートをいつも参考にさせていただいておりました。」と、贈っていただいたことばを思っては、考え続けています。

「ズュータン」さんがTwitterを去るとき、鈴木エイトさんがツイートを贈られていました。

鈴木エイトさんのことばには、同じ巨大組織・カルト問題と闘い続ける思いが込められているよう、感じました。

「ズュータン」さんが残された功績は、とてもとても大きいものです。
マルチ商法契約当事者ではない、家族やパートナー、友達、周囲の人たちの苦しみ、被害を記し伝えてくださいました。

 悪質なマルチ商法にハマり、騙されるのは個人の責任である。
 この社会は、そう思うことでこの問題を片づけた気になってきた。しかし、それは騙された人、つまり弱い立場に置かれ、困っている人の自尊心を傷つけ、沈黙させることであり、問題の先送りにしかなっていない。本書は、マルチ商法を「個人の問題」ではなく、「企業の問題」でもなく、「社会の問題」として捉えなおす試みでもあるのだ。
 マルチ商法の問題は、たしかに長年存在していた。
 しかし、ずっと臭いものとして蓋をされてきた。
 僕は、その蓋を、開けたい。

https://www.poplar.co.jp/book/search/result/archive/8008310.html

「妻がマルチ商法にハマって家庭崩壊した僕の話。」はじめに、こんな風に書かれています。

「ズュータン」さんの開けた蓋、「社会の問題」として捉えなおすために、マルチ商法という深刻な被害を出し続ける取引類型の、規制のあり方を変えたいのです。

「ズュータン」さんの活動に共鳴し、「マルチ商法二世」として情報発信、「マルチ被害をなくす会」を立ち上げた、「Rio」さんが、日本弁護士連合会が主催する「特定商取引法」見直しに向けた院内学習会で報告されます。

マルチ商法を「個人の問題」ではなく、「企業の問題」でもなく、「社会の問題」として捉えなおすために、多くの方に、この会に参加いただきたいのです。

※申込は21日締切 https://form.qooker.jp/Q/auto/ja/tokutoriigmo/AoSCT/

どうかご参加ください。

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