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消費生活相談員としての専門職大学院修了

 2024年3月16日、温かな春の日に、昭和女子大学専門職大学院 福祉社会・経営研究科 福祉共創マネジメント専攻の修了式を迎えることができました!1年間のオンラインを活用した大学院生生活は、それは実り多く、また、怒涛の日々ではありましたが、その話はまた後日。

 題目を「マルチ取引契約者家族における財産的・精神的被害の質的分析-『マルチ被害をなくす会』会員へのインタビュー調査から-」として、修士論文に取り組みました。
 
 専門職大学院への進学、研究への取り組み、そのほか、本当にたくさんの方々に支えていただき、導いていただき、修士論文を完成することができました。その謝辞を、ここに公開します。皆さま、本当にありがとうございました。

謝辞

 この研究のきっかけのひとつは、2021年に突然、私の職場に、本研究の引用文献のひとつでもある『妻がマルチ商法にハマって家庭崩壊した僕の話。』と、本に添えられ作者ズュータンさんからの手紙が届いたことです。手紙には「消費者相談員として様々な注意喚起をされているツイートをいつも参考にさせていただいておりました。」と書いていただいていて、嬉しくて、涙が出ました。序論に書いたとおり私は、全く個人的な活動としてX(旧Twitter)やFacebookなどのSNSを活用し、情報収集、ときには注意喚起を目的として消費者問題に関する発信をしています。同じくズュータンさんは、マルチ取引に家族を奪われた苦しみの中、Twitterで情報収集や、マルチ取引への憎しみの思いを発露されていました。ズュータンさんはTwitterを通じて繋がった、同じようなマルチ取引に大切な人を奪われた境遇の人たちから話を聴いて、7年かけてまとめたものを『妻がマルチ商法にハマって家庭崩壊した僕の話。』として、出版されたのです。

 そんな思いのこもった本を、わざわざ私の職場に贈ってくださったことが嬉しく、しかし、読ませていただいて、マルチ取引の被害防止や救済に、消費者行政はもっと真剣に取り組むべきではないかと、消費生活相談員として胸が痛く、申し訳なく、情けなく、涙が出ました。ズュータンさんは、著書のはじめに、「マルチ商法の問題は、たしかに長年存在していた。しかし、ずっと臭いものとして蓋をされてきた。僕は、その蓋を、開けたい。」と書かれています。その蓋を、少しでも開けることに役立てばという思いで、この研究に取り組んでいました。

 調査の実施にあたっては、「マルチ被害をなくす会」発起人の藤本亮氏はじめ、快く温かくインタビューにご協力くださった協力者の皆さまには、ひとかたならぬお世話になりました。ありがとうございました。

 研究にあたって、学術論文の目指すありようから、細やかな「お作法」まで、終始熱心なご指導を頂いた指導教員の粕谷美砂子先生と、消費者法、消費者行政のスペシャリストとして幅広く、また深く細やかにご助言をくださった加納克利先生、落合英紀先生、黒木理恵先生はじめ昭和女子大学専門職大学院福祉社会・経営研究科福祉共創マネジメント専攻でご指導くださった先生方に深く感謝の意を表します。

 また、本研究に取り組むにあたり、高橋久仁子先生から「フードファディズム」の、石戸谷豊先生、住田浩史先生、高嶌英弘先生、坂東俊矢先生からは「マルチ取引家族被害」の社会的構造的背景はじめ、多くのご教授をいただきました。FacebookなどのSNSで繋がる方々には、消費者問題ヲタクが講じた社会人大学院生に向け、たくさんの応援をいただきました。板倉陽一郎先生、加藤進一郎先生、宮下修一先生、山田茂樹先生からは、本研究の参考文献をご教示いただき、また、関澤純先生、町村泰貴先生、横田明美先生には、学際的な研究に消費生活相談現場に立つ者が取り組むことの意義を教えていただき、心より感謝申し上げます。

 更に、本研究期間中に参加した、日本消費者政策学会、日本消費者法学会、情報ネットワーク法学会でお目にかかった先生方には、「マルチ取引の契約者ではなく家族の被害」という困難なテーマの研究であることを聞いていただき、多くのご助言や励ましのことばをいただきました。このテーマの先行研究のなさをご教示くださり、同時に研究への励ましのことばをくださった、河上正二先生、田口義明先生、松本恒雄先生、薬袋真司先生、学会後に本研究引用文献でもある『まんがでわかるだましの手口』に激励の手紙を添え贈ってくださった堺次夫先生はじめ、学会員の先生方に心より感謝申し上げます。

 また、離島在住の身でオンラインを活用し研究を進めるにあたっては、LINEやZOOMで繋がる粕谷ゼミの皆さんはじめ、専門職大学院でともに学ぶ皆さんと切磋琢磨できたことは、かえがたい財産となりました。本当にありがとうございました。

 最後に、本研究が少しでも、マルチ取引契約者家族被害の防止や救済に役立つこと願いつつ、専門職大学院への進学を心から喜びずっと研究を支えてくれた家族に深く感謝します。