ダウン症のある子どものリハビリについて 質問&回答 その12

小児地域リハビリテーション研究会に寄せられたQ&A

Q:2020/6/26 11:03 当事者のご家族

10歳の男子の母親です。歩行の際、足の運び方が両足とも真っ直ぐではなく斜め前方向に向かう事が気になっています。歩く時は「足は一直線だよ」と声かけしてますが、何か股関節を上手に使う方法やきれいな歩き方を習得する方法があれば教えてください。

A(真野Dr):10歳になれば筋トーヌスはほかのお子さんと変わりません。身体バランスに影響するのは、筋力低下と足の状態です。動作の癖がついているかもしれません。
立位姿勢を見て、足の状態を見てください。足幅を閉じて、つま先をまっすぐにした姿勢で評価してください。偏平足になっていないか?母趾、つま先、踵のつぶれはないか?足の管理foot management をしましょう。(次回の講演を参照してください)
筋力低下は主に筋トーヌスが低い部位、上肢と腹筋に見られます。理学療法士と評価して、リハのプログラムを決めましょう。
股関節内外旋中間位を覚えてください。すべての姿勢で、この肢位で股関節を動かします。膝を閉じて膝蓋骨が前方になる位置で股関節を動かします。立位、座位、歩行、階段、などすべての動作で必要です。
Part2にのっているスキルを参考に、練習をしましょう。学校、療育の先生方と相談して練習を決めてもよいです


Q:2020/6/26 17:45 当事者のご家族

歩くのが心配です。

A(真野Dr):年齢はいくつでしょうか?ダウン症児が歩けるようになる年齢は様々です。
この本には、筋トーヌスの改善に合わせて、練習方法が載っています。
Part1のstage4 は上肢を使った移動の方法。姿勢を変える練習です。
座って遊ぶことが楽しくなり、尻這い、高這いが上手になると、なかなか歩こうとしません。Stage5は歩くための練習が載っています。参考にしていただくとよいです。

Q:2020/6/26 18:37 当事者のご家族
頸椎についてです。昨年、就学前に頸椎レントゲンを見てもらい「特に問題ない」と言われましたが、今年同じ医療機関で、ダウン症の人は基本的にトランポリンやでんぐり返しはダメと言われました。
今ジャンプが楽しくトランポリンでジャンプを練習していますが、これもダメなのでしょうか?どこかでもう少し詳しく見ていただいた方がいいのでしょうか?
その場合どのような施設で見ていただくといいのでしょうか?(今回見てもらったのは県立子ども医療センターです)

回答)
環椎軸椎が亜脱臼している場合は、レントゲン検査で確認できます。もし環軸椎亜脱臼が見つかった場合には、治療が必要になることもあります。お子さんの場合は、環軸椎の亜脱臼はないようですね。
環椎後頭関節が柔らかいので、頸部を過度に前屈すると事故につながります。これが一般的な注意事項です。特に筋トーヌスが低い時期には注意が必要です。そうであってもstage1,2の時期から下顎を引く動作の練習をします。(写真を参照してください)
歩けるようになった後であれば、トランポリンも可能です。Part2、stage13を参照してください。トランポリンは、アメリカでは制限なく行っています。日本と違うのは、ミニトランポリンを使うことです。上肢で支えてバランスをとることが必要です。
ダウン症児は上肢が短いので、でんぐり返しはあまり向いていない運動です。筋トーヌスが低い時期、歩けるようになるまではやらないほうがよいでしょう。

7歳以降になって筋のトーヌスが改善すると、制限なくできるものと思います。体操競技を行っているダウン症のお子さんもいらっしゃいます。
医療従事者の中には、筋トーヌス低下が一生涯続くものと思っている方もいるようです。染色体を見るからでしょうか?心苦しいことです。この思い込みは、ダウン症児の社会参加を阻害する要因になることが危惧されます。この辺りを説明していければと考えています。

【参考図書】
ウィンダーズ先生のダウン症のある子どものための身体づくりガイド おうちでできる練習BOOK 原著第2版

ダウン症ー書籍

オープンチャット「小児地域リハ研究会」
https://line.me/ti/g2/nDS5i1lxXQ9gIpRVBAHh6g?utm_source=invitation&utm_medium=link_copy&utm_campaign=default
※オープンチャットに登録頂きますと、当日の限定配信URLを10分前にお送りします。

配信会場のご協力:医療法人社団雪嶺会 東京リハビリ整形外科クリニックおおた



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?