ダウン症のある子どものリハビリについて 質問&回答 その14

小児地域リハビリテーション研究会に寄せられたQ&A


Q:2020/6/29 19:03 療法士
日本では40年に渡ってダウン症のある子どもの運動発達の特徴から生まれた「ダウン症児の赤ちゃん体操」があります。ダウン症のあるお子さんを授かったお母さんのある種バイブルのような存在です。この赤ちゃん体操の理論と今回ご紹介いただいているアメリカの運動療法との違いをどのようにお考えですか?

A(真野Dr):ありがとうございます。このようなご指摘をいただき、本当にうれしく思います。
今回の翻訳にあたって、赤ちゃん体操に関わっていらっしゃった先生方、小口クリニックの小口先生、「あおぞら共和国」を主宰していらっしゃる元新生児学会長仁志田先生にご意見を伺ったこともあります。先生方が取り組んでいらっしゃった業績は、素晴らしいもので、多くのお子さんとそのご家族の支えになっていると思います。
私のような若輩者があえて意見を言えるには、ダウン症児に対する立場が違うからだと思います。いままでダウン症児にとりくんでいらっしゃったのは、主に小児科の先生方でした。私はリハ専門医です。小児期だけでなく就学後も対象にしています。社会参加を念頭に、関わっていきたいと考えています。そのためにbig pictureを描きたいと考えています。
もう一点はリハ専門医として、ダウン症児の運動学的評価を模索していた中で、この本にたどり着いた経緯があります。日本では筋トーヌスに関する研究、論文がほとんどありません。ダウン症以外でも、筋トーヌスが低下しているお子さんはいらっしゃいます。今後研究が必要な分野であると考えています。

もう一点付け加えるならば、7歳以降になると筋トーヌスは正常になります。就学以降のダウン症児は「赤ちゃんの頃の身体の状態とは違う」という事を明確にしたかったのです。ご家族は、この柔らかい身体が一生涯続くと思っていらっしゃるようです。そして小児科の先生方もそのようなイメージを描くことがあるようです。

アメリカでは理学療法、作業療法、言語療法、心理士などの専門職がダウン症児に関わっています。療育の成り立ちから、日本ではそのような体制は難しいかもしれません。そうではあっても、ダウン症児にとってはPT、OT、STが必要と考えています。
そのうえで、社会参加を目標にしたリハプログラムを模索しています。

【参考図書】
ウィンダーズ先生のダウン症のある子どものための身体づくりガイド おうちでできる練習BOOK 原著第2版

ダウン症ー書籍

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