ダウン症のある子どものリハビリについて 質問&回答 その20

小児地域リハビリテーション研究会に寄せられたQ&A


Q:2020/7/19 18:26 当事者の家族 1歳3ヶ月
毎回楽しみに配信拝見しております。 一親がこのような機会を提供して頂き感謝しております。 1歳3ヶ月のダウン症の娘がおります。 開脚から座位になり、ずり這い(尺取虫のような)で動いています。 そこで身体をL字にして横に起こすという動きを行っているのですが、得意な方向(右)と絶対やりたがらない硬い(左)があります。 座位中も脚を伸ばしていることが多いのであぐらのように曲げるよう補助するのですが、普段から左の膝が曲がりにくく、寝返りも片側にしか回りません。 利き足と言うものもあるかと思いますが、片足の高ばいなどに繋がってしまうのではないかと思っております。苦手な左の訓練を重点的に行った方がいいのでしょうか?もし他に注意する点などがあれば教えて下さい。 また、甲状腺の疾患で成長への影響がある。と仰っておられたかと思います。それは初耳だったのですが医療関係の方からすれば有名な事なのでしょうか?疲れやすく、脳までエネルギーが届きにくいとゆうようか解釈でしょうか? なお、7歳以上では低緊張が無くなる。とこ事ですが、7歳以上ダウン症の方の姿勢が悪かったりするのは低緊張ではなく筋肉が弱く(使えてなく)癖がついてしまっているという理解で合っていますでしょうか? 長文となってしまいましたが、ご回答頂けると嬉しいです。よろしくお願い致します。

A(真野Dr):ご質問いただきありがとうございます。この動きはstage4で解説しています。開脚から座位は148ページの動作です。
シャクトリムシの動き(Inchworm movement 124ページ))は、床を移動する独特のスキルです。絶賛している報告もありました。
スキルの練習は苦手なこともやりましょう。左右を交互に行ってください。苦手な練習は、機嫌のよい時に、楽しみながら行うことが大切です。性格の特性もあります。無理にやっても効果がないことが指摘されています。
左の膝が曲がりにくいのはなぜでしょう?仰臥位にして股関節、足関節、膝関節を順番に曲げ伸ばしをして、評価してください。硬い場合には整形外科やリハの担当に相談してください。
甲状腺機能低下が筋トーヌスの低下につながることがあります。甲状腺機能低下を疑う場合は、小児科に相談していただくとよいです。血液検査で診断ができます。内服治療で補充すると症状が改善します。
「ダウン症児は7歳以上になると筋トーヌスが回復する」ということを、こういった場面でお話しするのは初めてのことかもしれません。むしろ「低緊張はいつまでも続く」と思っていらっしゃる方が大半だと思います。

7歳以上のダウン症児の姿勢や動作に関しては、ご指摘のとうりで、筋力低下や癖が影響していることがうかがわれます。足や膝を痛めても、訴えないか我慢しているお子さんもいます。私は、アキレス腱の不全断裂(肉離れ)や、膝の靭帯損傷があったお子さんを経験しています。
個別の評価が必要です。評価に沿ってリハビリテーションの計画を立てましょう。

Q:2020/7/20 0:07 当事者 2歳
1歳半頃から、物をよく投げます。2歳になって、やっと少しは落ち着いてきましたが、それでも投げます。どうやって接したらいいのかわかりません。叱っても良くないと言いますし、ボールの使い方を導いて出来たら褒める、という方法でもまだ理解してくれません。どうしたらいいでしょうか?上手い手の使い方がありましたら、教えてください。

A(真野Dr):座位バランスはどうですか。座位を保持していくためには、殿筋の筋力が必要です。歩行を含めたスキルに練習、長い距離を歩くことなどが必要になります。
早い時期から上肢の練習が大切です。上肢は肩甲骨を動かして、正中に持ってきて使うことが大切です。Stage1の内容です、早い時期から練習することが必要です。上肢を広げて、バランスをとること、引く力、押す力、握る力も必要です。
視力はどうでしょうか?2歳以降になると手と目の協調動作を覚えますが、まずは焦点の距離を測ります。近視、乱視、遠視、斜視などいろいろな症状があります。手元までの距離に焦点があっていますか?顔を近づけて、目を合わせて評価しましょう。眼鏡が必要か?早めに評価しておくとよいでしょう。

Q:2020/7/20 12:21 当事者の家族 3歳半 男の子
3歳半の男の子なんですが、言葉の発達が遅いです。発語に関わる筋肉は低緊張の影響を受けるとのことですが、どんなことをして鍛えたらいいでしょうか?(単語は出ますがかなり不明瞭です)

A(真野Dr):3歳半の年齢は、まだ低緊張が残っていますね。低緊張は腹筋、体幹筋、喉頭筋、軟口蓋、舌などに見られます。
焦らすに成長を待つのが大切です、
構音障害のために、言葉が伝わらないことがあります。苦手な言葉の練習をしましょう。閉口、口唇の突き出し、口元を引く動作、かむ動作などは覚えやすいものです。舌先音、破裂音などがなかなかできません。これは言語訓練で、相手の口の形を見ながら練習することが大切です。
ご家族の間でも、言葉をつかって伝えることを習慣にしましょう。Out put の練習
「ダウン症児にSTが必要である」ということは、まだ一般的ではないかもしれません。
現状では、Man to manの言語訓練ができる場面を探しましょう。


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