ダウン症のある子どものリハビリについて 質問&回答 その17

小児地域リハビリテーション研究会に寄せられたQ&A

Q:2020/7/10 15:31 当事者の家族 3歳半
1歳10か月で独歩できるようになり、今は階段もジャンプもスイスイできるようになっていて下肢の成長は割と順調なのに対し、口周りの成長が遅れてます。(まだ離乳食で、お喋りはかなり不明瞭です)言語に関する筋肉は発達が遅いとのことですが、運動面で何かやれることはありますか?(言語のリハビリも摂食指導も受けてはいます)

A(真野Dr):言語のリハビリは、口の形、表情などの模倣から入るとよいです。閉口の動作が大切です。下口唇の突き出し(アヒルの口)、かじり取りなども確認して下さい。オトガイ筋を押して下顎を突き出すとで口腔の動きがうまくなります。
高口蓋の場合は、開鼻声(鼻声)になりやすいです。同時に中耳炎になりやすいです。チェックしておくとよいです。
コミュニケーション能力の向上には、Man to man の指導が大切です。舌先音はどうしても不明瞭になりますが、筋トーヌスが上がってくれば明瞭度も改善します。
ご家族が指導する際には、口腔、顔面、喉頭を触りながらアシストしてみて下さい。
腹筋は背筋と一緒にサポートして(前後から押して姿勢を整えます)、腹圧を上げることを教えてください。
くすぐってもよいです。息を止める動作が大切です。息こらえが軟口蓋の挙上につながります。(メンデルソン手技)

Q:2020/7/12 2:15 当事者の家族 2歳

初めまして。2歳になったばかりの息子です。最近、外反扁平足を予防するため、足首の装具を作りました。ウィンダーズ先生の本にも出ている、プラスチックの短いタイプのものです。嫌がらず付けていて、足首の安定も良いように思いますが、ひとつ質問があります。整形外科の先生やPTの方によっては、ダウン症の子供に装具の必要性をあまり感じてない方もいらっしゃるようで、装具士さんとの考え方の違いのようなものも感じました。もちろん足の状態によると思いますが、うちの場合、病院や療育で一度も装具を勧められた事はありませんでしたが、装具師さんからはやはり必要な状態だと言われました。装具士さんと整形の先生で、装具の必要性についての認識が異なるというのには、なにか理由があるのでしょうか??

A(真野Dr):日本には、ダウン症児の装具治療に関して、統一された見解がなかったのが現実です。
医師の見解も異なることがあります。身体能力に関しても同様です。年齢によって筋トーヌスが回復するので、補装具も変えていく必要があります。
ダウン症児の場合、装具の適応は、変形を治すためではなく、姿勢と動作を見て決めます。(これもわかりにくい点かもしれません。)
装具の適応に関しては、個別の評価が必要です。困ったときはご相談ください。

Q:2020/7/15 23:05 療法士 6歳

6歳(就学後)までダウン症のお子さんの低緊張は正常になるというのは、恥ずかしながら全く知らず、ご両親への指導方針もガラッと変わりました。ちなみに、ダウン症ではない発達の遅れのあるお子さんの低緊張についても、同様に正常に戻るものなのでしょうか?本題と異なる質問でしたら申し訳ございません。

A(真野Dr):ありがとうございます。その点を明らかにしたいと思っています。ダウン症児の低緊張が回復することは、自分なりに感じていたことです。アメリカのお子さんの膨大なデータから得られた見解と同様であり、ようやく皆さんに報告できたものです。経験的には、他の染色体異常のお子さんも同様ではないかと考えています。特に常染色体異常のお子さんです。
脳性麻痺、PVLなどは、低緊張に注目して評価しなおすとよいと思います。
また、発達障害、学習障害、知的障害などのお子さんに、低緊張のお子さんがいることがあります。
皆さんのご意見を伺いたいと考えています。

【参考図書】
ウィンダーズ先生のダウン症のある子どものための身体づくりガイド おうちでできる練習BOOK 原著第2版

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