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花まるの土づくり【自閉症の弟を持った私が思うこと】

私には自閉症の弟がいます。


大切な弟です。
子どもの頃は大変でした。
多動で、片時もじっとしてなくて。


子どもの頃の私は、
いつも全速力で走って、
赤信号でも横断歩道を渡ろうとする弟を
捕まえていた気がします。


大人になった今、
弟が信号を無視することはありませんが、
子どもの頃の弟は、
どのくらい社会のルールを
理解していたのかわかりません。


勝手によその家に上がって走り回ったり、
眠ってる私の腹を思いきり踏みつけたり、
私が大切にしていた金魚を死なせたり、



スーパーで床に転がって泣き叫ぶことも
よくありました。
床から起こそうとした私の髪を掴み、
ブチリと音を立てて引き抜くのが日常でした。




子どもの私から見ると、
言葉が通じない獣のようでした。


でも、
弟に関して嫌だったことを書くのは
本題ではありません。



私がこの記事で書きたいのは、
大人になってようやく
弟の話が書けるということ。


ようやく言葉にできるのは、
私の中に花まるの野原が見えたからです。


花まるの野原とは、
くりすたるるさんが書かれた景色です。


くりすたるるさんは、
息子さんが不登校になった経験から
8万字に及ぶ学校への批判を下書きに書いた末、



「8万字の批判より、8万個の花まるのほうが力があるに決まっていました」
「難しくても、ゆっくりとでも、花まるを言葉に添えて使っていく」



という氣づきに辿り着いた
しなやかで強い方です。


この記事を読んで、
自分の中から言葉が引き出されるのを
感じました。


この記事は、
自閉症の子どもを持つお母さんやお父さんを
苦しめる意図はありません。



もちろん
自閉症の方を傷つける意図もありません。


あくまで
子どもの頃の私は
弟が怖かったという話です。


自閉症でも一人一人違います。
この記事はあくまで、
私から見た昔の弟の話です。


きっと弟本人がいちばん大変だったし、
母親は本当によくがんばったと思います。
父親も本当によくがんばりました。



誰も悪くない、
ただ余裕がなかったんです。




私は両親を大切に思っています。
だからこそ、
両親の大切な存在である弟に対し、
いなくなればいいと思う自分が
とても嫌でした。




いつしか、
私が消えればいいという思いに
変わりました。


消えたいとは思いながらも、
自殺未遂に至ったことはありません。




なぜなら、
自殺未遂を繰り返している親族がいて、
その人が命を落としかけた現場に
居合わせたことがあるからです。


ショックな光景でした。
私は小学生でした。


そのときの深い傷を見て、
一命を取り留めた親族を見て、
安堵する一方、



「あんなに深く傷つけても死ねないんだ。
自分で死ぬのは簡単ではないのかもしれない」
と、子供心に深く刻まれました。


ちなみにその親族は、
長い時間をかけて心身の不調から回復し、
今は光射す自分の道を歩んでいます。


こうして考えてみると、
私も弟も親族も
何度命を落としてもおかしくなかったのに
今も生きていることになります。


命は自分のものではないのですね。
自分も含めた、
もっと大きなものの一部なのだと思います。


普段、noteを書くときは
なるべく明るい話題を心がけています。



それは、
私のnoteを読んでくれたあなたに
できるだけ楽しい何かを渡したいからです。


今日、暗い話を書いたのは、
今なら花まるのそよぐ野原を見て、
言葉を紡げると思ったからです。


私の胸の奥に見えた
花まるの野原を育てたのは、
赤いバツだったのではないかと。




あの赤いバツこそが
花まるを育てた肥料だったのではないかと
今は考えています。


赤いバツとは、
自分と他者に向ける否定のバツです。




私やあなたが、
自分に人に赤いバツを出しては苦しみ、
嘆き、涙を流したその日々こそが、
花まるを育てる日々だったとしたら。


自分がきらいで、
人もきらいで、
そんなことを思う自分がいちばんきらい。


だとしたら、
その苦しみは自己嫌悪ではありません。
土壌開発です。


土づくりは、
現実のバラを咲かせるためにも
欠かすことのできない大切な仕事です。


0から1を生み出すときに
おそらくいちばん必要な、
いちばん時間のかかる大仕事なのです。


その大仕事をやりおおせ、
あるいは大仕事に取り組み続けている
勇敢な魂に、


あなたと私の魂に
花まるの野原を贈りたくて、
この記事を書きました。




たくさんの赤いバツを持っている人ほど
あるとき突然、
花まるいっぱいの野原に出るのかもしれません。


あなたの旅の途中で
私のnoteに寄ってくださったこと、
心から感謝いたします。


最後まで読んでくださってありがとう。


あなたの今日が、
かけがえのない愛しい一日でありますように。

毎日読んでくださって感謝します。明日もコーヒーを飲みながら更新します☕️