”青春ブタ野郎はプチデビル後輩の夢を見ない”の感想・考察

注意

このnoteは特定の個人や団体を批判するものでなく
あくまで、一作品に対する私個人の主観による感想です。
そのため、このnoteに関する批判や批評を超えた、特定の個人や団体に向けた攻撃的なコメントなどは見つけ次第排除させていただきます。

このnoteは肯定的な内容であり、
また、このnoteには”青春ブタ野郎はプチデビル後輩の夢を見ない”に関するネタバレが含まれます。

これらをご理解の上で読み進めいただきますようお願い申し上げます。

感想

なかば趣味なようなものなのでダラダラと書き進めていきます。
今回読んだのは青ブタ2巻。めちゃくちゃ面白かった。

最近は自分で書いたやつばっかりだったので、ちゃんとした小説は新鮮ささえ感じた。やっぱりレベルが違った。それがすごく嬉しかった。
読み終わったあと、かなりの衝撃を受けたので、ついnoteを書き始めてしまった。

正直な話、読みはじめの期待値はかなり低かった。青ブタの1巻”バニーガール先輩の夢を見ない”正直刺さらなかったから。
そもそも、これを読み始める切っ掛けになったのは友達に進められたからだった。読んで、映画見に行こうぜとのこと。
出かけるのが楽しみだし、評判もいいし読んでみるか。そんな気持ちだった。

読み終わって、うーんと唸ることになった。あまりよくわからない。それが精一杯の感想。
何がわからなかったのか。終わり方が理解できなかった。
理由は簡単だ。最後に起きたぽっと出の問題。何が思春期症候群だ。なんでここでヒロインが消えるんだ。
もう問題は解決しただろうに。

そこそこ前になるのでうろ覚えではあるが、こんな薄っぺらいことを考えていた。
今回、読み始めてはじめに抱いた感想は
読みやすいこと。会話が多いこと。
自分の中で、どこか小説というのは会話が少なくなければ行けないものだと思っていた。
それがことごとく打ち壊されていくのを感じた。なぜならひたすらに面白かったからだ。
ラブラスの悪魔……?一体何なんだそれは。最高じゃあないか。
実に中二心をくすぐってくれる。それにキャラクターたちがいきいきしている。どこをとっても誰のセリフなのかわかった。
おそらく、これ誰のセリフだ?ってなったシーンは一度もなかった。(自分で書いた作品では多々見られた)
テンポが良くてスラスラ読めて実に楽しい時間だった。

会話文が続くときは基本的に一対一、交互に話していく。話し手が二回重なるときは一文を添える。
こんな風な対話にはそれぞれの性格が見え隠れして実に楽しい。まるで本当に会話聞いているかのようだった。
最初は違和感があった咲太節、気がついたらセクハラと小粋なギャグにやられていた。照れるキャラやあしらうキャラ。それぞれの違いが見えて、キャラクターが色づいていく。

ちょっと絶賛しすぎた。
ここからは批判をしなくちゃいけない。やっぱり、辛いもののあとに食べたほうがお菓子は甘くなるから。
ここからは構成の話だ。
第五章から再度始まったループ。おいおい、いい感じに終わりそうだったじゃないか。何だよ。ここでまたぽっと出の問題が出てくるのか。これを解決して大団円ってそうはならないだろう。

だっておかしいだろう?物語ってのはずっと戦ってきた敵がいるはずで、そいつを倒して終わらなくちゃいけないじゃないか。

魔王は?ラスボスはどこにいるんだ?

実に浅はかな考えだったと思う。自分が読んできた作品は非常にわかりやすく、物語上で乗り越えるべき問題。それを解決する時というのは設定されたラスボスってやつを倒した時だった。

ここで一つ問題、そもそもラスボスって何だ。
ずっと向き合ってきた問題の象徴。概念だけではわかりにくいから仮に問題の権化として物語に配置するのだ。

これが、今回の話とどう関係あるんだよ。

さらに読み進めてラストが近づいて、咲太くんが丁寧に教えてくれた。ああ、ずっと戦っていたんだなと。
今回取り扱っていたのは大雑把に言うと”空気を読む”ってことかなと思う。ここに関しては大いに異論があるだろうけど多めに見てね。
そして、最後が近づいてもう一度起きたループ。今頃現れたラプラスの悪魔。いや、プチデビル後輩。
私は今まで敵を人物だと捉えてきた。物語は一本筋で、ずっとその敵を目指してその過程でキャラクターが成長を遂げ、とうとう倒す。
今作では違った。目に見えてわかる敵キャラがいなかった。それっぽい前沢先輩も倒してしまった。
なのになぜ、いまさら。そうだ。それだ。

ずっと取り扱ってきた”空気を読む”という問題。コイツをまさに体現した敵がいたじゃないか。
”空気を読む”という概念から、直接影響を受けることでまさにその問題を描写している敵。
思春期症候群だ。そうだよ。今作、いや青ブタでは思春期症候群が仮想敵として置かれている。
それを退治することで変化を、それぞれの答えを出していたんじゃないか。

ようやくそれが分かった時、物語のすべての流れがストンと胸に落ちた。なんて面白い作品なんだ。最高じゃないか。
そうして、はじめの日に戻る。ずっと戦ってきた空気に打ち勝って新しい友達だってできた。
ここだってどうだろうか。一度、ハブられた描写があることで変化がより明確にわかる。

思春期症候群という実態のない物が、仮想敵として配置された物語。今まで実態のみを見てきた。でも見るべきは”空気を読む”という概念。そしてそれを投影した仮想敵。

リアルタイムに反映される思春期症候群は、キャラクター達の心情を躊躇なく浮き彫りにしていく。
更に、私のようなおバカさんにもわかりやすいよう、咲太くんがかなり本質的な部分まで説明してくれていた。
なんて素晴らしい作品なんだ。

すこし繰り返しになってしまったがそれぐらい感動したのを理解してほしい。

だって、どうだろう。おいおいおいおい。
これじゃあ結局批判するところがないまま終わっちまうぞ。
だって、わからないって思ってた箇所がまさかの最高ポイントに変わっちまったんだから。

いや、まて。
まだ最後のシーンが残っている。こんなに面白い作品にだってアラぐらいあるはずだ……

「わたしは、牧之原翔子と言います」

!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

クリフハンガー!!!!!!!

まさか、文庫本でそれをやっちゃうのか?次の巻が気になって気になって仕方がなくなってしまうその手法。
おいおいおいおい。やめてくれよな。私の財布はすでに空だぜ。

ということで結論

”青春ブタ野郎はプチデビル後輩の夢を見ない”は最高に面白い。

もしまだ読んでいない人がいるのであればぜひ手にとってほしい。
君の感性に刺さってくれることを密かに祈っている。

ちなみに私はアマゾンで最新巻までカートに入れた。次の給料日が待ち遠しい限りである。

考察

ぶっちゃけ余談。ここからは完全に趣味だ。

今作、人物でない思春期症候群という現象を敵として設定した話。実に面白かった。

全体の構成として、仮に7パートに分けるとしたらどうだろうか

Aループの開始
a時間が進んだ
B恋人契約期間
b良くない噂が流れてる
C良くない噂と嘘
c振ってあげる
D思春期症候群の終わり

こんな感じだろうか。bCあたりの精度が非常に悪い気がする。
取り敢えずこうだと仮定して考える。
Aで現象やキャラクターの説明があった。aで状況が変わった。
Bで恋人契約をすることで問題解決に励んだ。
bで不穏な空気が流れた。
Cで戦った。
c嘘を貫く決意をした。
D答えを出した。

ざっと印象だとこんな感じ。
気になった点はまず、物語の中心にいるのが主人公でなくヒロインであったこと。通常取られる主人公の成長物語でなく、ヒロインの成長物語であった。
これに関してはこの作品そのものがAaBbCcDに当てはめた際、まだ変化点にいなかったためだと考える
まるっきり7つのパートに当てはめるのは無理だと思うのだが、おそらくこのシリーズは全体を通して構成が考えられていると推測する
これについてはまだ全巻を読破していないのでかなり憶測の割合が多い。給料が入ったら全巻買う予定なので、また後日感想を含めて考察していきたいと考えている

次に、cでの決意とDの答えが違った点。自分が思っていた構成としてはcで答えを決意して、Dでそれを証明するのが理想。しかし今作ではそうでなく、本当の答えを見つけることになる。
実は大半の作品がそうなのか?それとも思春期症候群と戦うために必要だったから?ここもまだすぐには結論を出せなそう。
要考察。

そして、始まりと終わりのシンクロ。なんとも綺麗すぎる締めだった。脳汁出た。
なぜこんなに綺麗だと感じたのか。理由は変化だと思う。同じ状況に戻って違う状況になる変化。ループという題材であるからこその完璧すぎる回答

クリフハンガー。文庫で使われているのは初めて見た。次巻の購買意欲が倍々的に増幅される。

取り敢えずこんな感じです。
もし、ここまで読んでくれた方がいたら別解釈などを聞けたら嬉しいです!

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