不動産を相続しても放置して大丈夫?
自宅を相続したけど、何も手続きはしなくてよいのか?
相続登記って聞いたことあるけど、どんな手続き?
不動産を相続された方からこのようなご相談を受けたことがあります。
登記は生活していく上で必ずしも必要な手続きではないのであまりなじみがないでしょう。
登記とは不動産の記録簿で、たとえるならその不動産の履歴書のようなものです。
登記にはその不動産の所有者に関する情報(名義)や不動産の所在、面積などが記録されており、法務局に申請することで情報が更新されます。
法務局とは不動産登記、会社法人登記に関する事務処理を担当する国の役所です。
不動産を相続したら相続登記をしましょう。
もし、相続登記を放っておくと様々な問題が発生します。
本記事では相続登記について、相続登記を放置するとどのような問題が発生するのか、という点を中心に解説しています。
1.不動産の相続登記とは
相続登記は、その不動産を持っている人が亡くなった場合、
残された人の名義に変える手続きです。
亡くなった方を被相続人、残された方を相続人といい、
相続に関する様々な決まりごとは民法で詳しく決められています。
相続登記の大まかな流れは以下のとおりです。
・相続した不動産の調査
・相続人の確定(戸籍謄本等の収集)
・必要書類の準備
・遺産分割協議の実施
※遺産分割協議は必ずしも必要ではありません。民法で決められた割
合通りに相続する場合は協議不要です。これを法定相続といいま
す。
・相続登記の申請
2.相続登記を放置してはいけない3つの理由
不動産を相続すればその所有権が相続人に引き継がれます。しかし、法
務局が勝手に相続登記をしてくれるわけではありません。
自分で相続登記をして初めて相続人の所有となったことが証明されるの
です。
それを知らずに相続登記を放っておくと以下のような問題が発生しま
す。
2-1 手続きがややこしくなる
以前、相談者よりも4代前の方の名義になっている不動産相続の依頼を
受けたことがあります。この依頼に関係する相続人は15名でした。
何代も前の相続なので、相続人同士全く面識も交流もない方もいまし
た。
このように長期間相続登記を放置すると、普段まったく連絡を取ってな
い相続人と協力して手続きを進めないといけない場合があります。
この場合、手続きに協力的ではない、もしくは協力する代わりに何か見
返りを求められる可能性もあり、トラブルに発展しかねません。
2-2 売却できない
例えば、だれも住んでいない自宅を相続したので、売却したいと考えた
とします。しかし、亡くなった方の名義のままですと、売却できませ
ん。
不動産を売却する場合、まず現在の所有者の名義に変える相続登記が必
要です。
先述のとおり、長期間相続登記を放置していた場合、関係する相続人が
増えますので、手続きに時間がかかる可能性があります。
手続きに時間がかかると売却までに時間がかかり、条件の良い売却のチ
ャンスを逃す可能性もあるので注意が必要です。
2-3 相続登記が義務化される
これまで相続登記をするかどうかは相続人の自由でした。
そのため、相続登記がされていない所有者不明の不動産が増加していま
す。
不動産の所有者が不明ですと連絡先が分からないため、不動産取引の妨
げとなります。また、不動産の管理が行き届いていないことにより、近
隣住民とのトラブルに発展する可能性もあるのです。
このような社会問題を解消するため、令和6年4月1日より相続登記が
義務化されます。注意すべきポイントは以下の3点です。
①令和6年4月1日以前の相続も対象となる。
②義務を果たさないと原則として過料(罰則)の対象となる。
③新制度・相続人申告登記が始まる。
義務化される前の相続も対象となりますので、今のうちに相続登記をし
ておきましょう。
相続により不動産を取得したことを知った日から3年以内に義務を果た
さないと、10万円以下の過料(罰金みたいなもの)が科されることが
あるので注意が必要です。
ただし、正当な理由があれば過料が免除されます。
例えば相続登記を放置しすぎて相続人を確定させる作業に時間がか
かっている場合、正当な理由があると認められる可能性があります。
相続人申告登記とは、何らかの理由で相続登記の義務を果たせない場合
に利用できる、相続登記の代わりとなる登記です。
相続開始したこと、自分が相続人であることを登記官(法務局の事務処
理担当者)に申告すると相続登記の義務を果たしたと認めてもらえま
す。なお、この申告登記は法務局の権限(職権)でなされます。
3.まとめ -不動産を相続したら相続登記をする!-
相続登記を放置してはいけない理由をまとめますと以下のとおりです。
・相続人の把握をする作業に時間がかかり、手続きがややこしくなる
・売却ができない
・登記の義務化により過料の対象となる
労力も時間もかかるので、不動産を相続したらすみやかに相続登記をし
ましょう。
相続登記をご検討の方は、①法務局の無料相談を利用する、②司法書士
に相談することをおすすめします。
法務局は相続登記手続きの中身や必要な書類について無料で相談を受け
てくれます。一方で登記手続きについては自分でする必要があります。
司法書士への相談には報酬が発生しますが、必要な書類の準備(一部不
可)や作成から登記申請まで司法書士へ依頼可能です。
司法書士法人トウキでは、日本全国の不動産に関する相続登記の対応が
可能です。
不動産相続について、お気軽にお問い合わせください!
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