今年やるべきこと
「来年はどうしようか。」
去年の12月に、そんなことを考えていた。
去年は、仕事もプライベートも初めてのことが多い一年で、振り返ればあっという間である。今年やっていない何かをやろうかなあと考えて、ふと独演会をやろうと思った。まあ、今までやったことがないわけではないのだが、都内で自分主催でやるというのは今までにない。
なぜふと思いついたのかと言えば、去年の1月に山形で独演会を開催した。その時にテレビの取材を受けたのたが、その時に師匠昇太もインタビューを受けてくれて、こう答えてくれた。
「よく初めて落語を聴く時に誰がオススメですかってよく聞かれるんですよ。その時に、独演会をやっている人って答えるんです。」
聞くと、自分のお客さんをたくさん呼んで興行として成立させ、自分一人でお客さんを満足させることができる。これが出来る人は、やっぱり面白いということなのだ。
「でも、独演会といっても、それは都内で、ということなんですけどね。弟子にもそうなるよう望みます。」
そう言ってインタビューは締めくくられた。
それが僕の中にやっぱり残っていて、いつかはと思っていたのだ。今の自分がそのレベルに達しているのかと言えば、残念ながらそうではない。まず、お客さんの動員だ。はっきり言ってそんな人気はない。しかし、それを考えていくと、どんどん先延ばしになっていく。なので、
今年の11月に独演会をやる!!
そう決めちゃったのだ。そこに設定すれば、自分は動かざるを得ない。やるしかないのだ。
なぜ11月なのかと言えば、僕の実家はりんご農家なのだ。その月はもっぱら収穫の時期で、家族はもちろん親戚みんなが集まり収穫をし、夜は一年の働きをねぎらう宴会をひらく。酒を呑み、山形名物の芋煮を食べ、大人たちが楽しそうにしている空間は子供の僕にとっては思い出に残る素敵な時間だった。
そして、僕が独演会までに、集客や新作・古典のネタ下ろしをし、それを磨いていく。そのもがき苦しむ姿を、花が咲き、そこに実ができ、大きくなって赤く染まった実を収穫するりんご農家と同じように、お客さんも一緒に楽しんでいただきたいのだ。そして僕が収穫が楽しい思い出として残っているように、お客さんにも独演会を楽しんでもらいたい。
そうして去年の12月中旬に今年のやるべきことが無事に決まったのだった。
是非、ご来場あれ。
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