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#7『"好きだった人が夢に…”SHISHAMO「夢で逢う」を語る』

今回のは2018年6月20日にリリースされた5thアルバムSHISHAMO5の5曲に収録されている「夢で逢う」という曲について語っていきます。

この曲は簡単に説明すると、”大好きだった人が夢の中に現れて、その人のことを思い返してしまう”ことを描いた歌になっています。残念ながらMVはありませんが、YouTubeにて音源があるので載せておきます。

それでは歌詞や曲について語っていきます。

1番Aメロの歌詞

恋という魔物から抜け出して
ようやく毎日を取り戻した
ご飯も喉を通るようになったし
少しは眠れる
時間はかかってしまったけど
他の男を素敵だって思ったりする心も今は持ってる 
時々笑えてるよ

「夢で逢う」作詞:宮崎朝子

ご飯が喉を通らなくて、眠れなくなるくらいの大失恋をしたけど、徐々にいつもの毎日を取り戻してきたことがわかります。

「恋=魔物」という表現がなんだか共感できますよね。恋愛におけるエネルギー量ってすごいと思っていて、恋が成就したときの喜びもあれば、失ったときの痛みもあるじゃないですか。普段の平常の自分が50%だとすれば、恋愛によって極端な話120%にもマイナスにも人間って変わってしまうと思うんですよね。そういうことを表現してるんだと思います。

「時間はかかってしまったけど 他の男を素敵だって思ったりする心も今は持ってる 時々笑えてるよ」というフレーズ。本当に人間って恋愛に限らず、つらい出来事があっても時間が解決してくれるんですよね。でも、”時々”しか笑えないっていうのがまだ微妙に引きずったままなんだろうなっていうことが伝わってきます。

1番Bメロの歌詞

あなたの写真見つけてしまっても
今では心がチクっとするだけで
あの頃みたいに仕事休んだりもしない
だけど、だけどね、
これは今朝の話

「夢で逢う」作詞:宮崎朝子

好きだった人の写真を見て、心がチクっとする心理はわかりますよね。写真に限らずその人と一緒に行った場所や通った道って記憶に残ってるじゃないですか?ある時ふと思い出して、あの人と私一緒にいたんだよなぁと振り返ってしまうその感じですよね。

「あなたの写真」を失恋しても残していることについて皆さんどう思いますか?いつまでも残しておくと、見るたびにその人のこと思い出して苦しくなるじゃないですか。なんで消してしまわないんでしょうか…。

「あの頃みたいに仕事休んだりもしない」というフレーズ。この歌詞はだんだん気持ちの整理がついてきたことを表しているとは思うんですけど、同時に失恋したての頃は仕事を休んでしまうくらいショックだったということも伝わってきますよね。やっぱり恋は魔物ですね。

「だけど、だけどね、これは今朝の話」はこの後のサビに繋がっていきます。

1番サビの歌詞

夢を見てしまった
あなたに会ってしまった
夢の中だけど、久しぶりで目が見れなかった
まだ好きだって気持ちが
夢を通じてあなたに伝わっていないか
とても不安です
他の誰かじゃないんだな
そうだな、やっぱりあなたが欲しかったんだな

「夢で逢う」作詞:宮崎朝子

夢の中で大好きだった人が出てきたという展開です。夢の中ですら目が見れないってやっぱりまだ好きっていう気持ちがあるってことですよね。

「まだ好きだって気持ちが 夢を通じてあなたに伝わっていないか とても不安です」というフレーズ。夢なんだから伝わるわけないよねって突っ込みたくなりますが、失恋して弱ってる女の子の懸命な感じが表現されていて良いんですよね。

「他の誰かじゃないんだな そうだな、やっぱりあなたが欲しかったんだな」からは、日常を取り戻しつつあった中で他の人を素敵だと思ったりしていたけれど、夢で彼を見た時にハッとして”あっ、私はやっぱり彼がまだ好きなんだ”という本心に気がついたということですね。

このサビの後の間奏部分なんですけど、ベースの音で彼を喪失した悲しさを表現してから、ちょっと激しめのギターソロになるんですけどそこがまた号泣しているかのように感じてグッとくるんです。

Cメロの歌詞

夢の中ですら
あなた何も言ってくれなくて
夢の中なのに、私は涙こらえてた
まだ好きだって言えたら
今も好きだって言えたら
何か変わるのかな

「夢で逢う」作詞:宮崎朝子

夢の中ですら、何も言ってくれないなんて悲し過ぎますね。そりゃあ涙が溢れそうにもなります…。

「まだ好きだって言えたら 今も好きだって言えたら 何か変わるのかな」というフレーズ。現実世界でもう一度彼に会えて想いを伝えれば何か変わるかなという願望ですよね。

この「何か変わるのかな」のところで、デェーンと力強い演奏に変わるのが、メリハリがあって痺れるんですよね。

1番サビを繰り返し

夢を見てしまった
あなたに会ってしまった
夢の中だけど、久しぶりで目が見れなかった
まだ好きだって気持ちが
夢を通じてあなたに伝わっていないか
とても不安です

「夢で逢う」作詞:宮崎朝子

1番のサビを繰り返します。

個人的に好きだった人が夢に出てくるってことはこの歌のように、潜在的に過去の恋愛に未練が残ってるように思えて仕方ないんですけど実際どうなんでしょう…。夢って不思議ですよね。

最後のサビの歌詞

夢の中ならさ
あなたにまた会えるかな
夢の中ならさ
また笑いかけてくれるかな
今はもうどうにもならなくなってしまったけど
またあなたの笑顔が見たい

ただ、あなたの笑顔が見たい

「夢で逢う」作詞:宮崎朝子

最後のフレーズはもうなんだか、夢の中でいいからあなたに会いたい、とにかくあなたの笑顔が見れたらもうそれだけでいいといった叶わぬ恋の魔法にかけられて抜け出せなくなってしまっているように思えます。切ないですよね。

まとめ

夢によって昔好きだった人が自分の中で掘り返されるという曲なんですけど、今回のように失恋して傷が癒えてきた頃にそういう夢を見てしまうのはかなりメンタルにきそうですよね。夢って見ようと思って見れるものじゃないから、防ぎようがないですし…。

この曲は、歌詞の心情を演奏によって表現している部分が魅力的で、曲から伝わってくる熱量みたいなものがあって、それが歌詞に乗っかってよりこの曲の世界観を生み出しているように感じます。

この主人公は夢を通して、私はあの人がやっぱりまだ好きなんだと気づいたじゃないですか。そういう自分の心の奥深くにある本当の気持ちって実は誰しもあると思っていて、夢のように何かのきっかけでハッと気づくものなのかも知れませんね。この曲の主人公は失恋した後なのでどうにもならなかったですけど、そういう気持ちに気づいて、それが誰かに対するものならば、失ってしまう前に想いを伝えてほしいなんて思います。

実はこの曲、宮崎朝子の実体験だそうで、好きだった人が夢に出てきて、朝起きてこういうことってみんなあるよなと思って、これをテーマに書こうってベッドの上でなったそうです。

2023年2月4日にSHISHAMO10周年を記念したコンセプトアルバム「恋を知っているすべてのあなたへ」がリリースされました。そのDisc2の恋の痛みの12曲目にも収録されています。皆さんも聴いてみて下さい。

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