生産力を飛躍する仕事術⑱

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同僚や他の社員に対する意識

今日のビジネス界のトレンドになっているのは、「競争こそが生産性を高めるための最上の方法である」といった考え方のようです。

中には、そのように信じ込んでしまって疑わない人までいるようです。 しかし現実には、どのような職種に就いていたとしても、この競争という手段は、結局は裏目に出てしまう方法だといえるのです。

理由は２つあります。 第１に、競争よりもチームワークの方がはるかに重要であるということです。 つまり、社員全員が会社の１つの大きな目標に向かって働いているというスタンスの方が、最も大きな結果を生み出す力になるということです。

環境が目まぐるしく変化する現代においては、変化にすぐに対応できるようなコミュニケーションが重要なファクターとなっているのです。 チームのメンバーは、それぞれの得意分野というのは違っているものです。

それぞれに得意分野を持つメンバーが知恵を出し合い、仕事を進め ていくということが、生産性を高める上では欠かせないことなのです。

ずばぬけたエースがいたからといって、チームとして良い仕事ができるわけではありません。 チームのメンバー全員が、自分の持っている力を発揮することが求められます。

社内での競争意識を排除することによって、それぞれがそれぞれの部署でやるべきことをよく理解し、そのことに専念するようになります。 そのような職場では、同僚よりも少しでも抜きん出たいという気持ちがなくなり、その代わりにチームワークが強まっていきます。

誰もがチームの一員として働き、チームのみんなが同じ１つの目標に向かって全力を尽くして働いていくことになるために、生産性は向上します。

第２に、誰もが自分は会社にとってなくてはならない必要な存在であると実感することができる環境でなければならないということです。 このことは、職場においてだけ言えるようなことであってはなりません。

最高の社員、つまり最も多くのものを生み出すことができる社員というのは、自分の仕事が認められているということを感謝できる人です。 生産性を高めるためのもう１つの要素というのは、緊張や軋轢や職 場でのいざこざなどの量をできるだけ減らしていくような方法なのです。

他の同僚と上手くやっていこうとしない社員というのは、たいていの場合において、誰か他の人が代わりに自分の仕事をやってくれるだろうと期待していたり、ただ単にまわりと同調しなかったりしています。

このような問題には、できるだけ早急に対応していく必要があるのです。 どんな会社でも１人か２人は、常に誰かといざこざを起こしていたり、自分の仕事を人に擦り付けていたりと、職場の環境を不快な状 態にしてしまい、仕事への集中を妨げているような人がいるものです。

このような問題を１つ１つ排除していくことによって、職場にいる誰もが自分のやるべき仕事にようやく集中できるようになるわけです。 生産力は職場の環境に比例するのです。

職場のみんなの関係がうまくいっているようなところが最も生産性が高いものです。 職場のみんながうまくいくということは、おしゃべりをして無駄な 時間を過ごしたり、遊び歩いたりしているということではありません。

要するに、みんなが会社の１つの目標の達成のためになくてはならない必要な存在であるということを十分に理解しているということです。 職場というものは、どの社員にとっても快適なものでなければなりません。

誰もが１つの大きな目標を共有しているのだということを、社員の １人１人が十分に理解しているような職場でなければならないのです。

誰もが会社の重要な一端を担っているということを知っていて、チ ームの重要な一員であることを理解していることで、それぞれが自信を持って、より生産力向上に全力を尽くしていくようになるのです。

継続的にモチベーションを維持するためにも、１つの大きな目標に向かって、チーム内の信頼関係のもとに、深い議論というのも必要になります。 そのような議論がない状態だと、技術や情報の共有もできなくなり、組織の全体の生産力の向上も見込みにくくなってしまうのです。

組織で仕事をする場合には、この「継続的なモチベーションの維持」と「知識の共有」は生産力の向上をめざす上で欠かせない要素 です。 社員同士を競争させるのではなく、それぞれに得意分野を持つメン バーが知恵を出し合い、信頼関係を築き、深いコミュニケーションをしていきながら、１つの大きな目標に向かって全員で取り組んで いくような職場こそが、生産力の向上を見込める健全な職場といえるでしょう。

景気が先行き不安な現在だからこそ、チームワークを強化し、会社との目的意識共有の意識を高めることで、会社への忠誠心も育まれ、 人的資本の蓄積も可能となります。 人的資本が蓄積されれば、さらに生産力も高まっていくことでしょう。

チームワークの強化は、職場により良い循環まで生み出すことになります。