懐かしくなったので友について記す 2
彼と出会った時、僕は15歳だった。
とある年の4月、芸術系の高校受験を失敗し、普通すぎる学校にひっかかった僕は、元々暗い顔をさらに暗くして学生証の撮影に臨んでいた。
そこで初めて話した人間がりょうだった。
全員が初対面という空間で、多くの人がそうであるように、いや多くの人よりもかなり高めに警戒レベルを上げていた僕に、隣に立つりょうは笑顔で話しかけてきた。
みんなに見られてると緊張するよね。
そうだね。
これしか返さなかった根暗な僕に、りょうは何を感じたのだろう。今となっては確かめるすべはない。
出席番号が隣だというだけの偶然で、たまたま隣に居合わせた彼が、3年間の学校生活にとどまらず、これからの人生で最も長い時間を過ごすパートナーになるのは、運命の悪戯というほかない。
鬱屈した青春を謳歌する僕らとはいえ、恋に恋する年頃、やがて偶然にも遺伝子を同じくする二人の女性に惹かれ、僕は双子の姉と、りょうは妹と、それぞれお付き合いをはじめることになる。
僕とゆかとりょうとみか、という四角関係。四人の情報は、恐ろしいほどの筒抜け状態だった。
ノスタルジーの任せるままに綴る、なんの足しにもならない友人譚、つづく。
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