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オールドクラリネットへのいざないvol1 Buffet CramponとEVETTE

うちが扱っているクラリネットは若くても40年、お年寄りでも100年ほどです。なぜ「ビンテージ」ではなく「オールド」と書いたのか、ちょっと意味があります。クラリネットっていつからある?って話ですよ。モーツァルトの時代にもクラリネットはありました。つまり200年前。現在主流のベーム式をフルートから流用したのが170年ちょいまえ。つまり100年前ですらビンテージというにはおこがましいかな、ということで「オールドクラリネット」という名前を付けてみました。
そういうことでうちで手掛けている、うちが所持しているオールドクラリネットを少しずつ紹介していこうと思います。

Buffet CramponとEVETTE、EVETTE SCHAEFFER


この2本、右はBuffet Crampon E11、左はEVETTE MASTER MODELというものです。いずれも管体加工はフランスのBuffet Crampon社で行われており、紛れもなく両者ともBuffet Crampon社の製品です。EVETTEというのは諸説あるのですが、Buffet Cramponがアメリカ進出する際にサックスのブランドとして作ったブランド名とかそういうことが有力らしいです。かなり情報が少なくて怪しいですけど。

EVETTE系ではもう一つ重要なプロダクトがあります。

これはEVETTE SCHAEFFERといってフランスのBuffet Crampon社にて製造されたモデルです。この上位にEVETTE SCHAEFFER MASTER MODELというものがあるのですが、国内にはほとんど入ってきていないものと思われます。
EVETTEとE11、EVETTE無印とEVETTE MASTER MODEL、そしてEVETTE SCHAEFFER。これが現在のどのラインナップに適合するか、というところですけど、ぶっちゃけグラナディラのEVETTEはE11、EVETTE MASTER MODELはE12、EVETTE SCHAEFFERはE13ということになっているらしいです。(海外ニキの調査結果)
ただ、使用されている木材は現在よりもいいものが使われていたりするので現在のEシリーズとは同等レベルと扱うのには無理があり、EVETTEシリーズやオールドEシリーズ(ほぼEVETTE)はそういうもんだと思ったほうがいいです。はい。

EVETTE MASTER MODELとEVETTE SCHAEFFER

また話がややこしくなります。
EVETTE MASTER MODELですがシリアル番号のプレフィックスにKがついてるものとついていないものがあります。
KがついているものはフランスのBuffet Crampon社製造、K及びプレフィックスがついていないものはドイツSchreiber者とCramponの合弁会社製造、それ以外のAとかそういうプレフィックスが付いてるのはMalerne社製造らしいです。あーややこしい。
基本、EVETTE SCHAEFFERについてはBuffet Crampon製造のKシリアルばっかりかと思います。何故ならばR13に木目がふさわしくないとかそういう理由でボツにされたやつがEVETTE SCHAEFFERに回されてきたらしいです。
(これもはっきりした情報がない)
で、EVETTE MASTER MODELの方です。
わたし自身、EVETTE MASTER MODELは現在育ててるやつ含めて2本手掛けましたが、一本目はKシリアルでフランス製でした。で、いまプリメンテの段階にいるEVETTE MASTER MODELについてはMade in Germanyの表記こそないものの、パーツの作りがSchreiberのE11と全く同じで間違いなくドイツSchreiber製造分のようです。この差は何。もはやわからん。

いちおうSchreiberかどうかの見分け方は見つけました。
EVETTE MASTER MODELは基本、下菅レバーが階段式になってます。ピン差しじゃなくて。(EVETTE SCHAEFFERはピン差し)。その中でもSchreiberのものは階段をまたぐようなキーの形状をしています。この点がフランス製のEVETTE MASTER MODELとの違いでした。あと、うちの子帯だけかも知れませんが、Schreiber製のものはクッション材にコルクよりもフェルトを使っている部分が多いです。

さて、長々と書きましたが基本管体加工自体はフランスのBuffet Cramponでやっているので出る音はBuffet Cramponです。今は売れちゃいましたがフランスEVETTE MASTER MODELはちゃんとBuffet Cramponの音してました。

同じモデル名でも生産国が違う、違う理由がよく分かんねぇ、などなど、こういうのはオールドクラリネットあるあるです。Buffet Cramponでさえこういう断片的な情報しか集まりません。
ただ、製造担当がどっちであれ、主役の管体がBuffet Cramponで製造されている限りきちんとBuffet Cramponの音がします。安心してください(何が)


あーーー、あと、E11/EVETTE MASTER MODELとEVETTE SCHAEFFERの大きな違いが一つありました書き忘れるところだった。EVETTE MASTER MODELはチムニーが樹脂の埋め込みです。それに対してEVETTE SCHAEFFERはグラナディラ削り出しです。このあたりからもEVETTE SCHAEFFERがR13の木目NGモデルと言われる所以かも知れませんね。


完全に余談ですが私と私の息子、ふたりともEVETTE SCHAEFFERを使用しています。まぁ、私はいずれ必ず書くであろうAugust Buffetがメインなんですけどね。

ということでオールドクラリネットコラム第一回でした。

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